香川県さぬき市でのタマネギづくり
栽培する品種
早生タマネギ【ジェットボール】(2022年に購入)
晩生タマネギ【ノンクーラー】(2022年に購入)
基本情報
タマネギはアフガニスタン周辺の中央アジアが原産地で、栽培の歴史は古く、紀元前にもさかのぼる。日本には1871年に北海道で栽培されたのが最初とされている。しかし、当時の日本人の食生活にはなじまず、多くはニュージーランドなど海外に輸出された。戦前は北海道、大阪、兵庫などで栽培されていたが、食事の洋風化にともなって、需要は拡大し、現在は全国各地で栽培されている。
低温には強いが、雪の下では生育できない。このため、普通栽培は関東以西の太平洋側、あるいは日本海側では、根雪にならない海岸地帯で栽培される。本州では初秋に播種・晩秋に定植、冬期間育成させて、初夏に収穫する。
成功のコツ
若苗を植えて根張りより。保存のきくタマネギを育てる
タマネギは過湿を嫌うものの、水に溶けた養分を求める。化成肥料では簡単にできるが、有機肥料や自然菜園では比較的難しい野菜。とはいえ自然菜園でしっかりと根を張ったタマネギは締まりがよく風味豊かで保存性が高い。水持ちのよい粘土質の畑で育てやすく、砂地や火山灰土ではかなりの土づくりが必要。前作でほかの野菜がよく育った場所を選ぶ。
早うえは春先にとう立ちし、遅いと冬までに十分に根が張れず、春の生育が悪い。ほどよいサイズの新鮮な苗を適期に植えるのがポイント。耕さない自然菜園では根張りに多少時間がかかるので、一般の適期よりも少し早めに植える。
種まき時期は植えつけから逆算して決める。水やりせずに鎮圧し、発芽後はしっかりと水やりをするのもポイント。
苗の大きさで収穫時の玉の大きさが決まるため、苗の大きさを揃え、間隔を加減して植えつける。冬に根が霜で浮き上がったときは、温かい日に根を植え戻す。春先の肥大期に雨が多いとうまくできる。雨がないときは日中たっぷり水やりするとよい。タマネギは保存できるし、葉タマネギとして5月から早どりもできるので、スペースに余裕があれば多めに育てると重宝する。
小さい株は植え直し新タマネギとして収穫
500円玉ほどのサイズにしか育たなかったタマネギは、葉が折れてから収穫し、網袋などに入れて吊り保存したのち、8月に再び畑に植え直す。浅く溝を切り10~12cm間隔で置いていき、10日後に根が張って抜けなくなったら頭が少し見える程度に覆土する。こうすると玉も葉もやわらかくておいしい新タマネギが12月に収穫できる。特に、貯蔵性の低い赤いタマネギにはおすすめ。
栽培のポイント
・ヒガンバナ科ネギ属
・よい苗を植えることが大切なので、自分で苗を育てる。
・育苗時はしっかり除草し、徒長しないように管理する。
肥料について
肥料がなくても育つが、初心者は施肥するのがおすすめ。元肥を入れるとよい。追肥をする場合は1月末までに済ませる。
種まき・育苗(9月中旬頃)
肥沃な畝を苗床に/育苗用の苗に種まきし、50~60日育苗する
植えつけ適期にほどよい大きさの苗に仕上がるよう、種まきの適期を守る。育苗用の畝を畝幅60~70cm、畝高5~15cmでつくる。畝の上に腐葉土を、下の土が見えなくなるギリギリの量を薄くまく。種をばらばらとまく。10cm四方に10粒が目安。手のひらを上にして指の間から種を落とすとよい。
畝の周囲の畑の土を薄くまいて覆土。両手で土を持ち、畝の上で左右に動かしながら薄く均一にかける。たっぷり水やりする。
プロのコツ
発芽まで遮光ネットかワラをかけて乾燥を防ぐ。約1週間後、発芽がそろったらとり除く。
ポットまきの場合
家庭菜園ではポット育苗してもよい。ポットに数粒ずつまいて、植えつけまで育てる。
苗とり・植えつけ(11月上旬~中旬頃)
箸の太さの新鮮な苗を植えつけ/鉛筆よりやや細めが目安
生育中は、徒長しないようにときどき除草してよい苗を育てる。
苗を掘りとる。草丈20~25cm、太さは直径7~8mm、鉛筆以下くらいが目安。中旬なら25mmくらいがよい。根を痛めないように移植ゴテで掘る。
ポイント
小さすぎると冬に枯れやすく、大きすぎると春にトウ立ちしやすい。ちょうどよい苗を選ぶ。
畑に植え穴を掘る。白い玉の部分がしっかり埋まる深さで、かつ分けつ部が地上に出る深さに植える。株間条間ともに13~15cm。植え溝の上をしっかりと草マルチで覆う。この上から米ぬかと油かすを半々に混ぜて1㎡当たり1ℓほどまく。補うのはこの一度だけ。鎌の背などでたたいて補いをなじませる。草マルチはタマネギの根元を保湿し、補いはゆっくり分解されて春の玉の肥大期までに養分になる。植えつけ後は、しっかり水をやりする。
冬場に霜が下りると苗が盛り上がってしまうので、霜柱が立ったら足で苗のまわりの土を踏んでおくとよい。
トウ立ち
タマネギは、一定の大きさの苗が一定期間低温に当たると、「とう立ち」する性質がある。
そのため、本来は収穫期の後でとう立ちするはずが、収穫期前にとう立ちしてネギ坊主(花芽)ができてしまうことがある。
放っておくと、タマネギの中に固い芯ができて食べられなくなってしまうため、見つけたらすぐに摘み取る。
収穫と貯蔵(早生:3月上旬~、晩生:5月上旬~6月上旬)
晴天が3日続いたら一斉収穫
収穫は全体のタマネギのうち5~8割の葉が倒れたタイミングで。置きすぎると玉が劣化する。適期は品種で異なるので、品種ごとにいっせいにとる。長期間保存するには、晴天が3日続いたときに収穫する。湿った日にとると傷みが早くなる。長雨に当たると傷みやすいので、梅雨入り前までに収穫。抜き取ったらそのまま畑に置き、天日で2~3日乾燥させる。抜き取った後は多少雨に当たってもかまわない。
保存期間は一般に早生種で短く、晩生種のほうが長い。生育後半に養分が多すぎるととう立ちしやすく、しかも葉のつけ根の締まりが悪くなり保存性が落ちる。
乾燥させたのち、5~6個まとめて葉のつけ根を縛って束ねる。
ひもの両端に2つの束をつけて真ん中で振り分ける。葉は10cmほど残して切り落とす。風通しのよい軒下に吊り保存する。つるせないときは茎を切ってコンテナなどに入れて保管。
切り落としたタマネギの葉は夏のナス科やウリ科などの草マルチに重ねると虫避けの効果も期待できる。
2024年
種とり(9月上旬~10月中旬頃に母本を植えつけ)
生育がよく、トウ立ちしなかったもの、左右対称で病気がないものを20株以上母本に選んで保管しておく。9~10月に種とり用の上にマルチをして、株間50cmで植える。球が3分の1ほど埋まるくらいが深さの目安。
4月頃、花茎が伸びる。150cmほど伸びるので、周囲に支柱を立て、ヒモを渡して倒伏を予防するとよい。
乾燥して種がこぼれそうになってきたら、ネギ坊主の下30cmくらいで刈りとる。さらに1~2週間追熟させる。ネギ坊主をトントンして種とりし、保管する。
人工受粉は必要?
受粉は昆虫にしてもらってもよいが、人工受粉をすると確実。ほかの品種のタマネギと交雑しないように注意。
手のひらで花を包むようにさわる。手に花粉がつくので、他の花をやさしくつつんで受粉させる。受粉すると結実してくる。
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