見出し画像

畑は名刺

10月22日、今年の初霜が降りました。
本日24日は二十四節気のなかでは「霜降(そうこう)」。暦通りの気候となりました。

霜が降ると、寒さに弱い植物の葉は、黒く変色して溶けたようになります。
さつまいももそんな植物のひとつ。霜が降りる前日に急いで掘り起こしました。
虫食いもそこそこありましたがよく採れました。
さつまいも好きなので大歓喜👏

霜が降りて溶けたさつまいもの葉


朝晩と日中の寒暖差が多い長野県。15℃くらい差があるのは当たり前。
身体がしんどいですが、しんどいのは野菜も一緒。寒さに負けぬよう糖分を体に溜め込むので野菜の甘みがぐんっと増します。

採れたてシャキシャキの野菜を齧ると、水分がパンッと破裂して口に飛び込む。爽やかな甘みが口いっぱいに広がります。
心にまで風が吹くような、この新鮮な感動が忘れられなくて農家になった、といっても過言ではありません🕊

なぜ人は農地を貸すのか

先週末、地主さん(親戚)がやってきて、「道路に草が出ていると農地委員会に注意されちゃうんだよね〜、水路周りもさ、刈ってくれない?」と。

野菜畑に加えて、お借りしている田んぼが2つあるのですが今年は手が回らずそのうちのひとつを大豆畑にしています。
そこは、周囲も田んぼに囲まれ、人や車がよく通る目立つ場所。
手が回らず、どうしてもメインの野菜畑を優先しがち。
去年農業法人で稲作をしていたので、周囲に迷惑をかけないために畦の草や、みんなで使う水路周りは定期的に刈って、しっかり管理することが重要だってわかっていたのに…
草刈りや管理作業がかなりおろそかになっていました。

草がすごいのよ〜

地主さんは、わたしの祖父の家にまで連絡してたそう。祖父にも「草刈ったか?」と声をかけられる始末。

地主さんは直接私には言わずとも、近所の田んぼの人から文句が来ていたりしたのかもな…と反省。

なぜ人は畑を貸すのか。
高齢になって、自分では畑を耕し、管理する体力気力が無くなっても、「畑がちゃんと耕されていること。畑であること」をとても大切にしているからだと思う。
ちゃんと、畑を維持してくれる誰かに、大きな覚悟を持って託しているのだと思う。

先祖代々続いてきた土地を守りたい
という主張はよく聞く。
そして、祖父が農家といえども東京に生まれ育った私にはその感覚を完全に理解することは難しいと思う。

それでも、やはり一縷の望みをもって、託してくれた土地を守る覚悟がわたしにはもっと必要だと、反省した出来事でした。

ある友人農家が
「畑は名刺」と言っていて、言い得て妙だと。
近所の農家は、周りをよくみている。
私が畑をしていると目の前をゆーっくり軽トラで通り過ぎていく。
こいつはどんなもんかな、と見定めているんだろう。
私の畑の両隣は放棄地になっていて、もし私が今貸してもらっている土地をしっかり、管理して守っていけたなら、
いつか、「俺んとこもどーだい?」と声をかけてもらえるかも。
そんな未来を目指して、毎日今ある土地を守っていこう。

光と色が教えてくれること

一日中畑にいた先週末。
夕暮れが早くなり、太陽の動きが夏場よりもよくわかるようになりました。

大根を育てている畝は、
真ん中だけとてもよく育ち、入り口付近は葉の緑色が薄く、ひょろひょろ。
なんでかなーと心配していたのですが太陽の動きを見ると納得。
ひょろひょろ大根の西側には桑の木があって、1日の大半が日陰になっているからでした。
一方、真ん中は陽の当たる場所。
肥料のやり方は同じでも、環境によってこんなに差が出るんだなと、目で見て理解。
当たり前やん、と思うかもですが畑で目の当たりにすると謎の納得感があるんです。
「やっぱり、太陽すごいわ🌞」という。笑

右側が大根。真ん中だけモサモサ。

霜が降りた日、
実は本当に霜が降りたかは畑に行った時点ではすでに溶けていてわからなかったのですが
さつまいもの葉が溶けているのをみて確信しました。
こちらもさつまいもの畝の真ん中西側に桑の木があり、その部分だけ霜の降り方が顕著なのもわかる。
ああ、こうやって植物が教えてくれる。
勉強になるな…と感慨深く畑作業をしたのでした。

霜降りたっぽいな、という野菜の様子
もう溶けてた


畑、とか土に触れる、とか言うと
「のんびり、丁寧に暮らす」みたいなイメージを持たれがちですが、常に忙しいです。
私は畑に行くと、植物たちがたくさん語りかけてくるような感覚に陥ります。
もうちょっと陽の光が欲しい…
栄養をください…
草を刈ってくれないかな…
わたしいま、めっちゃ採りどき!
とかね。笑

わたし、今、採りどき!の表情

畑に着いた瞬間、野菜たちの様子を見て、
「ああ、これやらなきゃあれやらなきゃ…」と追い立てられる日々です。
まあ、好きなので、非常にやりがいありますよ💪🏽

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?