『こどもさんびか』にキリスト教の俗っぽさを見た

昨日書いたこちらの記事に引き続き、今日もキリスト教にまつわる話をします。

上の記事でも触れましたが、在学中は何十曲と賛美歌(聖歌)を毎日歌っていたので、刷り込み効果で今でも何曲かは歌詞まで覚えています。プロテスタントの小学校で歌った『こどもさんびか』の曲は特に印象深いです。

今回はその『こどもさんびか』から、好きだった曲を一曲、紹介します。音源はネット上にはちょっと見当たらなかったので、思い出しながら弾いてみました。拙い演奏なので、あくまで参考程度に「こんな曲なんだな」と聴いてくだされば嬉しいです…。ちなみにこの賛美歌集は、どの曲も小さな子どもが弾けるような簡単な伴奏になっています。

こどもさんびか122番 『はじめて おいのり』

1.はじめて おいのり いたします
  かみさま
  うちのとうさん かあさんを
  おまもりください アーメン

2.はじめて おいのり いたします
  かみさま
  ※にわの ポチの はらいたを
  なおしてください アーメン
  (※部分は自由な言葉で歌ってよい)

3.はじめて おいのり いたします
  かみさま
  なにも いうこと ないけれど
  いっしょにいてよね アーメン

子供向けの、神様へのお祈りの歌です。覚えやすいメロディーも好きですが、もっと好きなのは「歌詞がなんか俗っぽい」ところです。私が俗っぽいと感じたポイントを2つ、書いていきます。

俗っぽいポイント① 「にわのポチ」

小学1年生で初めてこの歌詞を見た時は、「変な歌詞だな…」と子供心に思いました。

『こどもさんびか』のスタンダードは、神様やイエス様を讃えたり感謝する歌か、もしくは神様やイエス様にお祈りする歌か、聖書のエピソードを歌にしたものか、のいずれかでした。

なので、自分の事情を神様に伝えたり、お祈りするという内容が異色に思えたのです。

1番の「うちの父さん母さんを…」という歌詞でも自分の家族のことを祈っていますが、それより何より2番の「にわのポチ」=庭のポチ、ですよ。ポチとは、恐らくペットとして飼っている犬のことでしょう。

しかも、祈るのが「ポチが幸せで長く生きられますように」「ポチに御恵が与えられますように」とかではなくて、「ポチのはらいた」を治してください、とくる。「はらいた」=腹痛のことだと理解するのにも、ちょっと時間がかかりました。

他の賛美歌の祈りの内容といえば、「神様一緒にいてください」のように「祈ること自体」を重視する傾向にあって、具体的に「何について祈るのか」という祈りの内容はふんわりしている歌が多いのに対し、「庭のポチのはらいた」はめちゃくちゃ具体的です。(食前の祈りの歌などもありますが)なんて俗世間的なんだ。

すごく俗っぽくて、同時に「祈る対象=神様」の存在をちょっと身近に感じました。神様やイエス様は尊く聖なる存在として崇めるべきであり、もちろんそれはそうなのですが、実は私達人間の隣にいるのかもしれない。そして、お祈りの内容はそんな大層なものでなくても、現世利益的な身近なものでもいいんだ。そういう、ある種の親しみやすさを抱きました。

俗っぽいポイント②  神様にタメ口をきく

1、2番では「お守りください」「治してください」と敬語で祈っているのに対して、3番は「一緒にいてよね」と、神様に対して突然のタメ口です。歌を作る過程で、曲が最初にできて「一緒にいて"ください"」にするとメロディーに上手くハマらないので仕方なく…という大人の事情があるような気もしますが…

これも、他の賛美歌では神様に対して「神様に感謝しましょう」とか「イエス様一緒にいて下さい」などのように、多くが敬語です。「神様ありがとう」くらいはあったかもしれないけれど、「一緒にいてよね」。「一緒にいて”ね”」ならまだしも、「一緒にいて”よね”」って、何だか気の強い女の子が友達に言ってる風です。

神様に対して馴れ馴れしすぎやしないか?と思いましたが、やっぱりここでも、神様を身近に感じました。神様って雲の上の手の届かないところにいて、何となく厳しそうだと思ってたけど、友達に話しかけるようにお祈りしていいんだ!と。もちろん、学校のお祈りでは神様にタメ口はききません。あくまで自分の心の中でお祈りする時だけです。

お祈りの言葉って、「お与えください」みたいなガッチガチの敬語もしくは「与えたまえ」みたいな命令口調になるか、両極端な気がするんですよね。そういう語調からは神聖さや厳格さ、という雰囲気を感じます。

だけどこの歌詞からは、その中間地点の「ちょうだい」みたいな、親しみやすさというか俗っぽさ、人間っぽさを感じられるのです。案外、タメ口で話しかけても怒られないのかも。

おわりに

『こどもさんびか』には、これ以外にも小さな子供が歌いやすく、キリスト教の教えに自然に触れられるような素敵な歌がたくさんあります。他には『どんどこどんどこ』とか『かみさまにかんしゃ』なんかも好きでした。(分かる人いるかなあ…)今の子どもたちは歌っているのでしょうか。こうして書いている間に思い出した歌も何曲かあります。子供の頃に歌った歌の記憶って、結構残っているものですよね。