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「ベルギーは国だ。道ではない」 第一次世界大戦の主戦場となったベルギーの記録

メーテルリンク 『戦時下のベルギー』 初版 1918年 ブリュッセル刊 写真帳
Maeterlinck, Maurice et al, Belgium at War. Illustrated Album. [Brussels, E. Van Hammee, 1918].<R14-219>
First Edition. Folio, [52]pp, 36 photos, original decorated wrappers, joint broken

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本写真集の先頭を飾るのは、1915年3月にドイツ軍の砲撃で崩壊したフランドル地方レニンゲの聖リトルード教会。キリスト教会への攻撃=フン人の如き野蛮行為=ドイツの戦争犯罪という編集意図があったものと思われる。

1918年8月に刊行された、第一次世界大戦で主戦場となった戦時下のベルギーの様子を収めた仏文・英文併記の写真帳です(索引のみ、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語有り)。

アルベール1世、エリザベート王妃はじめとする国王一家。下段左には王太子時代のレオポルド3世。アルベール1世はこの大戦での断固とした外交姿勢で人気を得る。

第一次世界大戦における兵士だけに限らない、軍事労働、銃後、階層、フランデレンとワロンといった民族性、植民地の違いを超えた連携と国土を占領軍から解放した英雄主義の記録として刊行したのだと、前文で述べられています。当時のベルギーの国是であった「統一は力なり」を改めて強調する内容となっています。

最前線
救護活動
アフリカ戦線

合わせて、戦場でのドイツを中心とする中央同盟諸国の破壊活動の記録を加えることで、講和会議で賠償での有利な条件を引き出すことを目的として、国際的に承認された中立国だったにも関わらず攻撃されたベルギー側の正義を主張しようとしたものと思われます。

破壊されたフランドル地方

参考文献:松尾秀哉『物語 ベルギーの歴史 ヨーロッパの十字路』 中央公論社 2014年

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