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「闇の暁」A.E.

ひたひたと大地の小さな子らは丘の隠れがより来り
薄闇に輝く喇叭水仙《ダフォディル》はもの憂いこうべを垂れる
足下の谷間の芳香をついて漂う
震える小さな歌の滴は野を越え生け垣を越えてゆく
すべては彼方の山なみの薄青いマントの下
昼を追って飛び去る黄昏の髪がなびく
夜が来る やがてただ空想のみが去りぎわに悲しげに目を遣るところ
黄昏の炎の塵、光の足よりふり落とされ
無慈悲な壁をなして無垢なるもの、善きもの、真なるものよりわれらを隔て
涙下る目がそれらを求むとも、けしてふたたび見ることはない
つい昨晩のこと私は心やすらかに星雲が
天河のおぼろな輝きに茫と浮かぶのを眺め
静けさのうちにすべての人の子らの喜びと希望を見いだした
いまはなんという無言の苦悩がいっそう美しく夜を満たしていることか
地球の苦しみの時が来り、姉妹の惑星たちはこぞって涙を流し
地球の朝の炎が夢なき眠りに消えいるのを思うのだ
このおおいなる悲しみの周期にわれらが永らえる須臾の間のみ
われらもまた嘆きによって地球の偉大な過去につながるだろう
しかし来るべき種族を知らず、涙の泉は枯れ
人の乾いた心は砂漠の空のごとく乾くだろう
かくてわが心のうちに闇が明けそめ、周囲のいたるところ
黄昏とともに希望が去り、おし黙る絶望のみが残った

The Dawn of Darkness by A.E.
館野浩美訳

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