見出し画像

第15回:ファイナルファンタジーVIIとモータリゼーション

クルマが一般的に使われる社会をあらわす、モータリゼーションという言葉があります。

ファイナルファンタジーにおいてモータリゼーションが始まったのは『ファイナルファンタジーVII』からです。

それはなぜなのでしょうか。

私は、プラットフォームがプレイステーションになり、表現の幅が広がった事で、ファイナルファンタジーの世界をよりリアルに描けるようになったからだと考えています。

開発陣達がそれまでのプラットフォームでも表現したかった、けれど様々な制約から表現が難しかった要素というものは沢山あると考えています。

モータリゼーションもその一つだったのではないでしょうか。

そして、リアルを追求していく上で、我々が住む現実世界の要素も加えていこうという流れが作られたのではないでしょうか。

実際、VII以降のシリーズでも、VIII、X、XVはクルマが登場しますし、 XII、XIIIでは空飛ぶクルマも登場します。このことからVIIにおけるモータリゼーションは、その後のファイナルファンタジーに大きな影響をもたらしたと言えます。

そんなFFモータリゼーションの功労者である『ファイナルファンタジーVII』には、クルマやそれに関連する要素を冠した名前がいくつか登場します。それは、乗り物の名前だったり、モンスターの名前だったりします。

つまり、FFVIIのモータリゼーションは、クルマが登場しただけにとどまらないのです。

ここからは、クルマに関連する名前を持つものを取り上げて、モータリゼーションの一端を見ていきましょう。

⚫︎ハーディ=デイトナ(ハーディーデイトナ)
クラウドが神羅ビルから脱出する時に乗ったバイクです。その名であるデイトナは、アメリカのサーキットであるデイトナインターナショナルスピードウェイが由来の可能性があります。

⚫︎モノドライブ
尖ったクラゲのようなモンスター。ドライブとは知っての通り、クルマを運転する事です。

⚫︎スイーパー、スイーパーカスタム
神羅製の兵器。車道を清掃する車両ロードスイーパーが由来でしょうか。

⚫︎モーターボール
ミッドガルハイウェイで対峙する大型の神羅兵器。6輪の車両のような姿なのでその名前は、クルマを意味するモーターカーが由来かもしれません。

⚫︎デビルライド
バイクのようなモンスター。乗り物に乗るという意味のライドが由来なのでしょう。

⚫︎ヘルハーレーVR2
魔獣に跨った騎士のような敵。その名は、おそらくアメリカのバイクメーカーであるハーレーダビットソンが由来でしょうか。

⚫︎フォーミュラ
滑空している鳥型のモンスター。モータースポーツのフォーミュラワンなどに由来するのかもしれません。

⚫︎ブルモーター
一輪のロボット。名前はクルマを意味するモーターカーが由来でしょうか。

⚫︎ヘビータンク
ウルトラ怪獣の恐竜戦車のような敵。きっと戦車を意味するタンクが由来だと考えられます。

⚫︎バッテリーキャップ
キノコのようなモンスター。クルマのバッテリーキャップが由来でしょうか。

⚫︎スピードサウンド
鳥型の敵。そのままクルマのスピードから取られた名前なのかもしれません。

⚫︎スラローム
配管のような機械。名前の由来は、クルマがくねくね曲がる意味のスラロームでしょうか。

⚫︎コルベット
魚型の機械。アメリカのゼネラルモーターズが販売するクルマのシボレーコルベットが由来かもしれません。

⚫︎ガンキャリアー
小型の戦車。輸送車を意味するキャリアーが由来でしょうか。

⚫︎クロムウェル
小型の戦車。クロムウェル巡航戦車が由来だと思われます。

⚫︎グロスパンツァー
大小の砲塔と車体に分かれている戦車。戦車を意味するパンツァーが由来でしょうか。

⚫︎ディアブロ
魔獣という表現がぴったりのモンスター。
イタリアの自動車メーカーであるランボルギーニが販売していたディアブロが由来かもしれません。

いかがでしょうか?このように、様々なクルマやバイク、またはそれらに関係するものにちなんだ名前があります。これは、FFではクルマを一般的にしていきたいという開発陣の意志のあらわれとも取れるでしょう。

さて、ファンタジーの世界にクルマが登場する事によって、私達は一種の安心感を感じると思います。

例えば、神羅ビル脱出の際にティファ達が乗った、神羅sA-37式自動3輪は、ダイハツのミゼットそっくりですし、コルベットやディアブロといったモンスターの名前を知って、シボレーやランボルギーニを連想する人もいるでしょう。

このように我々にとって馴染み深いクルマの外見や名前を使う事によって、このクルマ見たことある!とか、この名前のクルマあるよね!と言ったように安心感が生まれると思います。

その安心感こそが、ファイナルファンタジーの狙いであり、ゲームと私達プレイヤーの距離を縮める事は、リアルを追求する上で必然なのかもしれません。

実際、XIIIでは日産とコラボしましたし、XVではアウディともコラボを果たしました。

リアリティとは、現実感を意味する言葉ですが、ゲームがリアリティを追求するにつれて、現実世界との関わりが深くなっていき、言葉通り現実感が増していきます。

今回は、モータリゼーションを例に出しましたが、様々な要素で、日に日に近付いてくるファイナルファンタジーの世界。もはや第2の現実世界と言っても過言ではないでしょう。

仮想世界が現実世界に肉薄する時代は、もうそこまで来ているのかもしれません。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
次回もお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?