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私の当たり前は誰かにとっての当たり前じゃない 映画『ビューティー・インサイド』

映画『ビューティー・インサイド』を見た。当たり前のことを淡々と描いている映画だと思った。私は興味を持った映画があると、Yahoo!映画のレビューの点数を見て、その映画を見るか判断する。2以下は絶対に見ない。4以上は期待大。この映画は4.1だった。

眠る度に体が変わってしまう男性が恋をするという話だ。心はずっと同じなのに、入れ物=体が変わるのだ。老若男女、どんな姿にでもなる。例えば、寝る前ははげたおじさんだったのが、起きると中国人の若い女性に変わっていたりする。本人の意思でコントロールすることはできない。テーマは「外見を気にせずに人を愛せるのか」という愛と外見の関係についてだと感じた。

私にとって「愛に外見は関係ない」ということは言うまでもないことだ。なぜこんな当たり前のことが映画になっていて、こんなに高く評価されているのだろう。レビューを読んで理由が分かった。多くの人にとって外見を全く気にせずに愛することは、感動するほど素晴らしいことらしい。それだけ皆外見を気にしているんだな。私にとっての当たり前は誰かにとっての当たり前ではない。当然のことだが、これをあらためて実感した。やはり映画は見る人によって受け取り方が全然違って面白い。

この映画を見て印象に残ったことが3つある。1つめに突拍子もない設定なのに、大きな違和感なくこの世界観に入っていけること。私は家で映画を見ることがほとんどだが、序盤は退屈に感じてしまい、映画の最中に携帯を見たりして映画の世界になかなか入り込んでいくことができない。この映画は始まった瞬間から引き込まれ、集中して見ることができた。これは私にとっては珍しいことだ。

2つめに男性が恋に落ちるときの女性の描写が素晴らしい。男性は家具職人、女性は家具屋の店員だ。男性はお店で女性が仕事をしているところを見て恋をする。このシーンの女性がとにかく魅力的に映されている。心から家具を愛しており、自分の仕事に誇りを持っている。好きなことを仕事にすると、人はこんなにも輝けるんだなぁ。

最後に世間体の恐ろしさだ。私は世間体なんて気にする必要がない。みんな自分のやりたいことをやりたいように、自由に生きたらいいと思っている。映画の中で男性は毎日外見が変わるので、女性は同じ人と付き合っているのに、周りからは毎日別の男性と遊んでいるように見えてしまう。世間体を気にしないと言っても、自分がこの女性の立場なら、世間体を気にしてしまうだろう。男遊びの激しい女だと思われたくない。この状況で周りの目を気にせずに、自分の思いを貫くには強い心が必要だ。どんなに自由でいたくても、世間体がそれを阻んでしまう現実を見た気がした。

1人の男性を123人の俳優が演じているそうだ。顔を知っている俳優が何人も出てきて、それを見ているだけでも楽しい。自分が愛に対してどのように思っているのかを教えてくれる映画だと思う。


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