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ある日の授業 62fe

本日、修学旅行オリエンテーションの余った時間で、自分のクラスにて、以前のnoteでも紹介した、市川鉄工所のスマホスタンドの話をしました。生徒全員に見せて触れさせてから、以下のような流れです。


秋田「コレの用途と値段を当てたら推薦ね笑」

秋田「まず、今の段階でコレ欲しい人?」
男子が3人挙手。


秋田「なんで欲しいの?」

3人ともなんとなくカッコいいからと答えました。


秋田「わかるわかる。俺もそれはすごくある。じゃあ用途は?わかる人?」

数人答えるうちに、コードを通す隙間に気付いて最終的にスマホスタンドという答えにたどり着く。


秋田「じゃあ、用途が分かったところで改めて欲しくなった人?」

さっきの3人に加えて2人挙手する。

秋田「なんで欲しくなったの?」

生徒A「動画とか見るときに手を使わずに見れて便利だから。」

秋田「そうだよね。便利だよね。俺もそうやって使ってます。スマホを手ぶらで見るという用途で言ったら便利だけど、スマホ立てるだけなら他にもいくらでもあるよね。」

秋田「じゃあこれいくらで買う?」

500円、620円、2000円、100円…と数人が答え、2000円が最高額。

秋田「じゃあ2000円って言ったH君が最高値ね。他の人は『こんなものに2000円を払うH君ってバカだなぁ』と思ってるわけね笑。」

秋田「では正解です。俺はコレを5000円で買いましたー。」

少しザワつく。

秋田「なので、俺はH君よりバカってことになるのかな?でも、なんでこんなの買ったと思う?こんだけ(40人弱)いれば将来物づくりをする人もいるかもしれないし、買う側の考え方の参考のためにも聞いてみてください。」

秋田「コレは豊田のとある鉄工所で作られたモノです。そこの社長さんと知り合いになって、色々お話を聞くうちに、その社長のファンになってしまい、買っちゃいました。

この工場は基本的には車の部品を作ってる工場なんだけど、みんなも知ってる通り、コロナで仕事が減ってピンチになりました。でもこの社長は、たくさん考えて、車の部品作り以外でもやれることはあると決めて、こんなモノが生まれました。(細かいストーリーは多少省略してます💦)

ちなみに後から聞いたんだけど、コレの材料は車の部品になり損ねた、言わば落ちこぼれみたいなモノらしいです。そいつに社長が工夫と技術を注入して新しい命が注ぎ込まれ、こうやってお金を稼いでくれてます。

俺はこうやって頑張って、頑張って、考えて、工夫して信念もってやってる社長のストーリーに対してお金を払いました。限度はあるけど、ある程度の値段ならいくらでも買っていたと思います。

今の世の中には質の良いモノはたくさんあるから、もうそれだけでは売れないらしいです。なんなら、大きい会社なら良いものを安く作ることができるみたいで、いくら君たちが質の良いモノを作っても簡単には売れません。

でも、俺がコレを買ったように、質以外の部分にお金を払うという客がいることが重要です。もちろんスマホスタンドとしての機能性や鉄の無骨さやカッコ良さもあるけど、それ以上にこの社長のファンであることが今回の買い物のポイントです。

これからはその人のストーリーと、それを知って応援してくれる人がいることが大切になります。質を高めることは大事ですが、狭い視野にならずに、周りを見渡してください。受験勉強も大切ですが、周りから応援されてるか時々見回してください。

逆に買う側になったら、値段だけでなく、質やストーリーまで考慮して買える人になってください。『授業料が安いから公立!』と安易に決めずに、もっともっといろんなことを見て、知ってから決定できるようになってください。公立を否定してるわけではないですよ笑」

何人かの生徒は頷きながら聞いてくれていたのでありがたかったです。その子たちが大人になったときに、どんな物づくり、どんなお客になるのか少し楽しみになりました。

もちろん、まずはその前の進路が大切ですが…





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