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アルバトロスのシ者

秋田「はい、筆記用具置いてー。答え合わせするから赤ペン持ってー。」

生徒たちはゴソゴソと準備をする。

秋田「じゃあ一問目、『リンゴをかじると血が出る』をYESかNOで答える問題だな。答えは『どっちも』だ。そりゃそうだろ。血が出るかは人によって違う。歯槽膿漏の人は出るらしいし、そうでなくても出るケースもあるかもしれない。よってYESでもNOでも全員正解。」

シャシャッ。生徒が一斉にペンを走らせる音がする。

秋田「では第二問。この物語の主人公のセジ丸が肩に違和感を覚えたシーンだな。で、問題は『肩に小錦が乗ってるようだと言って全然働かなかった助っ人外国人ピッチャーの名前を答えよ』だ。正解は『エリック・ヒルマン』。肩にジャックナイフが刺さっているようだという表現もセットで覚えておくとように。」

クラス一の秀才のなまのが手を挙げた。

なまの「エリックなしで、ヒルマンだけでも正解ですか?」

先生「それはバツだなぁ。ヒルマンだけだと、日ハムで監督やってたトレイ・ヒルマンかもしれないし、カリフォルニア三丁目のダイゴロー・ヒルマンかもしれないし。」

クラス一同「ドッ笑」

なまのは残念そうな顔で赤ペンでバツをつけた。

秋田「では三問目。『ロケットパンチがどこへ行ったか、その行き先を次の記号から選び答えなさい』という記号問題だな。先生間違えて記号問題なのに2つしか選択肢を出してなかったよな。スマンスマン。まぁサービスサービスぅってことで許してくれよ。」

クラス一同「ドッ笑」

秋田「で、正解だが、イの『もともと肥溜めがあったらへん』だな。だってアの『金星』って遠すぎるだろ!いくらセジンガーZでも大気圏は越えられないぞ。」

クラス一同「ドッ笑」

秋田「次。四問目だが、これは三問目にヒントがあったよな。気づいてた人はいるか?」

なまのが手を挙げ、答えた。

なまの「ロケットパンチは『肥溜めがあったらへん』に行っただけで、実は肥溜めには直接あたっていない。なので肥溜めのうんこは飛び散っていないということです。」

秋田「さすがだ。なまの。」

なまのはさっきの挽回ができ誇らしげに着席した。

秋田「では四問目『童にうんこはついたかどうか答えよ』だが、なまのが言った通り、実はロケットパンチは肥溜めに触れていないというのに気づかないと回答できないように作ってある。なので、正解は『ついてない』だ。」

多くの生徒が間違えたのか、若干ざわつきながら赤ペンを動かす。

秋田「さあ終盤戦に入るぞ。ここからは一問につき5点問題だから一気に逆転のチャンスだぞ!」

りさ「せんせーい!クイズ番組じゃないんだから!(好き💓)」

秋田「おっと!ナイスツッコミ!では気を取り直して五問目。『童をキャッチしたタルえもんはうんこがつくことなく無事だったか』だが、正解は『無事』しかないな。これが5点問題って俺どんだけ優しいんだ!なぁ、みんな!」

一同「シーン」

秋田「もういい(プイッ)。じゃあ最終問題に行くぞ。『月並レイとは何者か』だが、これは最後の問題だから複雑な難問だと思っただろう?そこが落とし穴。正解はシンプルに『つきながさとみ』だ。なぜかって?そんなの行間を読めばすぐわかるだろう。野武士軍団の長であるさとみが、団員の体たらくに腹を立て、自ら組織を壊滅させるというストーリーを読み取れれば簡単な問題のはずだけどなぁ。」

ほとんどの生徒が悔しがる中、なまのだけはクールに赤マルを打っている。リサは秋田に見惚れている。

秋田「以上。これで小テストは終了だ。一番後ろの人回収してくれ。」

テスト用紙が順に回収される。秋田は受け取り、起立、礼をして教室を出る。

秋田「さーて、今日も一杯やってから帰るかぁ。」

秋田の目は、一切の曇りもなく、キラキラと輝いていた。


翌日の接待ゴルフで秋田はアルバトロスを連発し、教育委員会のお偉いさんは機嫌を損ねて帰っていった。


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