06年9月17日 田沢湖マラソン

 6回目のフルは2度目の田沢湖。43歳の当時、まだ経験が少なくてこのコースがとんでもなくエグいこともわかっていなかったな。結果は自己ワースト、SUB4生涯勝敗は6連敗となる。

 あ~ぁ、ちぇっ!ものの見事に返り討ち。34kmから今年も歩いてしまった。
 しかも、35km地点で、時計のLAPボタンとSTOPボタンを押し間違えて、自己計時もできなくなるし・・・・。70回以上のレース経験があるが、計時できなくなったもの初めてで、それに気がついたら、さらにやる気がなくなってしまった・・・。

 このコースは前半にアップダウンが結構あり、昨年は前半を自然体で走り31kmから歩いてしまった。今年は前半を意識的に抑えて、後半に粘るという目論見であった。「とある走友会のAさんが出場するならAさんに付いていこう」と思っていた。

 会場に着いたのは7:20。昨年停めた駐車場は満車でパス、その奥のスーパーの上に位置する駐車場に停めた。会場まで徒歩5分程度か?まあ、恵まれているほうだろう。
 すぐ受付を済ませプログラムをチェック。Aさんの名前を探す。AさんAさん・・・・・あった!!今日はAさんに付かせてもらおう。

 Aさんは50代の女性。口を利いたことはないが顔見知り。私が出場するレース(主にハーフ)でレース中に何度も遭遇している方で、年齢の割に背が高く姿勢がよく綺麗に走る方。ハーフでは私がだいたい5分ほど早いが、とある走友会のHPを拝見すると、フルでサブ4を達成されているし、100kmウルトラマラソンも完走されている。女性ならではの、長距離になればなるほど粘り強い走りをする方ということなのだろう。

 8:25、携帯がなる。仲間のSだ。駐車位置を確認すると、遠く離れているので、昨年同様、スタート地点で会うことにする。
 9:00、オニギリ2個とミニ大福2個セットを食らう。多すぎるかもしれないが目論見4時間の長丁場である。腹が減っては戦はできない。9:30、スタートに向かう。白シャツに青ランパン、五本指ソックスはいつもどおり。雨予報だったが曇天なのでヘッドバンドで臨むことにしていた。すると陽が差してきた。太陽が出れば9月中旬の太陽はまだ暑いはず。目論見4時間の長丁場では予報どおりの雨が降る可能性も捨てきれず、結局車に戻り嫌いなキャップに差し替えた。
 9:45スタート地点に立つ。9:50になりSを発見。S曰く「相変わらず鍛えているなぁ!」。昨年も言われたが、なぜ一目見ただけでそんなことがわかるのだ?そうか、色が黒いというだけのことか・・・・。
 Sと話しながらもAさんの姿を目で追うが見つからない。Sを無視して、女性の姿を追うわけにも行かない。あとで何を言われるか、Sに「久々にあった俺を無視して年増女を探しに言った」とあらぬ噂を立てられても困る。探すのは諦めた。ちょっと抑えて進めばすぐ見つかるだろう。

 10:00丁度に号砲がなる。ここに立てたことを感謝。
 すべてのレースが一斉スタートなのは昨年どおり。スタート地点まで進んでから計時を開始した。ゴール後にもらう記録証と自己計時の差が、スタートまでのロスタイムなのだから・・・結局、自己計時ができなくなったのは冒頭のとおり。いつもは号砲と同時に計時をスタートさせるのだから、いつもと違うことをやろうと思ったのも、今日の敗因の一つかもしれない。
 Sから「じゃ、ゴールで!」、「おう!元気で会いたいな!」と返し別れる。Sはすぐに前に消えて行った。スタート直後の下り坂。ふと前を見ると、まさにAさんが走っている。幸先よし!ただ非常にゆっくり。思わず抜いてしまった。5mほど前を走っていた別の女性のキャップが風で飛ばされ私の2mほど前に着地。仕方ない、身を屈めて拾ってやる。女性は「ありがとうございます」と当たり前の礼を言い、前に消えて行った。走っている最中に、地面のものを拾うのは結構負荷がかかる。レース後半ならとてもできない芸当であったろう。
 左の靴紐がきつい。スタート前にはちゃんと走って確かめたはずなんだけどな。下りで締まったのかもしれない。4時間以上もストレスを感じるわけにはいかない。コースアウトして靴紐を緩める。ロスタイムは10秒程度のものだろう。そこでAさんに抜かれた。そのままAさんを含む集団となり前に行ったり抜かれたり。途中、招待ランナーの山田敬蔵さんを発見。究極のマイペースなんだろうが、ちょっと遅く感じるので集団でパス。
 そのまま5kmを28’31。28’00程度で行くつもりであったがこのくらいなら構わない。下りになったらAさんに置いていかれた。20mほど差が付いたが慌てずに進む。8km付近の上りでまた追いついて追い越した。10kmまでを27’05。ちょっと早いがAさん達と同じだし、ゆっくりめのマイペースで苦しくない。
 上りに差し掛かると、Aさんが遅れていく。私が上げたわけではない。そのままのペースで進むと、結果的に引き離す形になった。後の祭りであるが、この時点で前に出るべきではなかったのだろう。ただAさんにあわせてペースを落とす勇気はなかった。住宅街の15kmまでの間5kmは27’52でほぼ設定どおりであったし・・・。

 ここらあたりは住宅街でもあり応援も多い。園児がずらっと並んでハイタッチをしたりした。どうせなら若い保母さんもハイタッチの列に並んでくれればいいのに。
 「おっ!大丈夫か!?」思わず大声が出た。住宅街で応援していた小学校1年生くらいかな?坊主がずるっと側溝に落ちた。幸いにしてたいした高さではなく、皆、大笑い。和ませてもらった。
 20kmまでの間5kmも28’07。設定どおり。最近ではハーフでだいたい25’30程度で進むのだからほぼ10%増しのタイム。この時点でハーフに換算すると1:57台だしかなりゆっくり。これで走りきれるはずなんだけどな~。
 ここからスタート&ゴール地点まで約2kmの登りが続く。レース前半最大の難所といってもいいだろう。ようやく田沢湖畔についてほっとするが、ここから湖1周20kmが残っている。今年も「あと20kmもあるのかよ!」という感じであった・・・
 25kmまでの間5kmは29’26。長い登りがあってだから、ペースはそんなに落ちていないのだが、足はパタパタしてきた。「う~ん、このシューズ失敗だったかなぁ・・・」、この夏に購入したMIZUNO AERO。ソールが軟らかすぎるような気がする。どうも跳ねるような気がしない・・・。ま、シューズのせいではないだろう。28kmでSに追いつく。奴はかなりペースダウンしている。肩を叩いて追い越すが、自分のペースも落ちはじめている。30kmは2:51’54、間5kmは30’53!「えっ!30分超えちゃったのかよ!」。この時点でSUB4は無理と悟る。
 31km地点通過、「去年はここら辺で両足大腿が爆発して歩いたんだよな。今年もおかしくなりそうだな」と自覚。思い切って立ち止まり、ストレッチを敢行することにした。Sが抜いていく。腰、肩、足と3分程度かけたのではないかな。やはりストレッチをすると足が軽くなる。もう一度走り出した。
 「あ!Aさんだ!」、なんと、かなり引き離したはずのAさんにストレッチの最中に抜かれたようだ。「やはり、Aさんに付いていくべきだったのだな」と後悔の念が生じた。それでも自分が走り出したのでもう一度抜いた。Sもまた視界に捉える。
 34km地点、Sまでもう少しというところで、足が言うことを利かなくなる。「もう一度ストレッチだ」と立ち止まる。即、Aさんが抜いていった・・・・Aさんもkm7分程度に落ちているのだろうが、相変わらず姿勢良く綺麗に走っている。「あ~ぁ、置いていかれるのかよ!」と思うと気力が急速に衰えてしまった。この後、山田敬蔵さんにも抜かれることとなる。
 35km地点まで歩き、直後の給水所でしっかりと水を飲み、ガードレールを使ってストレッチ。35km過ぎからの「壁」に向かって「よし!あの壁を走って越えるか!」と気合を入れ直す。時間を確認するために自分の時計を覗く。なんと止まっている!!35kmのLAPから動いていない。「げっ!STOPボタンを押しちゃったのかよ!もう計時できない!」
 イヤになった!!なおさら気力を削がれたからトボトボ歩いて壁に向かう。なんかフラフラしてまっすぐ歩いていないような気もする。給水はちゃんととったし、暑くはないから脱水症状ではないのだろうけど・・・
 下りは一応ドタドタ走ってみる。あまり続かない。そこからは100歩走って100歩歩くの繰り返し。40kmまでの間5kmは50分程度はかかっているだろう。正確にはわからないが・・・わからないのが悔しい。最後1.5kmの給水では水分だけでなく、梨やオニギリまでいただく。梨はランナーが食べやすいようにかなり薄く切ってあるのだが、「うまいですね、これ」とか言いながら、何個も重ねて食ってしまった。情けない・・・。オニギリは何種類かある中から、焼きオニギリを選び、少々味わった後、アミノバイタルで流し込んだ。
 ラスト500mになると沿道の応援が格段に増える。歩いていると恥ずかしいので、ゆっくり走る。最後ゴールエリアに入ってゴールゲートをくぐる。4:40というタイム表示が見えた。通常なら自らの腕時計を止めてタイムを確認するところであるが、今日はそれも叶わない。最低のゴールであった。

 Sがまた待っていてくれた。聞けば4:24とのこと。昨年同様、疲れた体をまた待たせてしまった。
 一応、完走証を受領。4:40’18だと。昨年よりは良いのであるが、うれしくもなんともない。またしても失敗レースと相成った。

 座れる場所を見つけて、シューズの紐を緩めながら、Sと軽く懇談。「去年とまったく同じ展開だった。前半Sが飛ばして、28kmで私が追いつく。30kmで急速にペースダウンした私を31kmでSが再度抜く。二人とも結局歩いてしまった」・・・という総括。
 Sは来年7月に異動であろう。このレースで再会することは難しいかもしれない。「またどこかで会おう」と別れた。

 前夜は盛岡に泊まった。新しくオープンした「なか卯」で「牛丼+ミニ坦々ウドン」セットを食べカーボローディング。その後、庄やで日本酒2杯と串焼き2本、そして「スタミナ抜群ニンニク丸揚げ」をいただいた。それなのにニンニク効果は発揮されることはなかった。
 ホテルでは23:00には就寝、途中1度は目覚めたが、結構ちゃんと寝られて、5:30起床。6:00には牛丼吉野家で豚丼を食して、一路田沢湖に向かった。約50km1時間のドライブは快適であった。

 レース後、Sと別れた会場にて自分はさらに単独で休憩。「ごはん・味噌汁・お新香」のサービスがあった。引換券を車に忘れたが、係員は快く引き換えに応じてくれた。私は「味噌汁だけで結構です。おっ!お新香もおいしそうですね、これもいただきます」と2品をゲットして後ろを向く。すると係員が寂しそうに「ごはんもおいしいのに・・・」とつぶやく。しょうがねえなぁ。痛む体を捻って「ごはんもいただきます!」。係員は嬉しそうであった。
 仮設ベンチで表彰式を見ながらいただく。味噌汁は具沢山でおいしく、お新香もおいしかった。お勧めのご飯もぺロッといただいた。おいしかった。これ「あきたこまち」なのかな?フルマラソンで4時間超の激闘をしてきた疲労困憊の体である。胃腸も相当荒れているはずだが、そこにいきなり白米を詰め込むのもいかがなものかと思うが、おいしかったから良しとしよう。

 そこから車に戻り、搭載していた10ℓ灯油缶の水をかぶる。車中に置いてあった水はぬるま湯となっている。サーファーが浜辺で当たり前にやる行為であるが、マラソン大会会場ではあまり見たことがない。夏のレースしかできない芸当で気持ちよく水を浴びた。着替えてお土産屋に立ち寄り勤務先へのお土産を購入。あわせて500ペットボトルでファンタグレープなぞを久々に飲み干す。やはり体が甘いものを欲しているようだ。
 14:40にゴールして、田沢湖を後にしたのが16:00。少し走ったら(←車で)ものすごく眠くなった。寝るか!完走できなかったからフテ寝だな。20分ほど路側帯で寝込んだ。
 そこから雫石まで30分ほどか?道の駅の天然温泉500円也に浸かる。すっきりして、またも500ペットボトルでお茶を一気。ゴール後にもアミノバイタルを一気しているから、やはり体内水分は枯渇しきっていたということだろう。
 そこから20分ほどの盛岡市内のラーメン屋「滝村や」で家伝味噌ラーメンをいただく。走った後で口がおかしいのか、ものすごく薄味。うまいかまずいか全然わからない。ニンニクを足していただいた。
 そこから長距離ドライブ。スーパーで買い物。焼き鳥2本とキノコマリネだけ購入し、翌日分としてジンギスカンの材料(ラムと野菜)を購入した。

 社宅に着いたのが21:45。フテ寝、温泉、ラーメン、買い物で約2時間かな?それを差し引くと3:45のドライブ。ま、こんなもんだろう。
 22:00からささやかな独り残念会兼慰労会。発泡酒を開け、キノコマリネを開ける。マリネまずっ!食品を滅多には捨てない自分であるが、これは捨てた。あとは焼き鳥。1本だけトースターで焼きいただいた。日本酒も買ってきたのだが、とても飲めない。やはり体が参っているようだ。発泡酒だけでお開きとした。

 今日の敗因はわからない。
 コースのタフさは明らかであるが、31kmでストレッチをしても34kmで走れなくなったのは正直情けない。3月の荒川ではストレッチを入れてフルマラソンを完走したのに。

 Aさんに終始付いていくべきであったのかどうか・・・・主催者・秋田魁日報のHPで調べるとAさんのゴールタイムは4:16’。私との差24分。ラスト8kmで24分差だからkmあたり3分の差をつけられた。Aさんは最後までkm7分程度で走り抜かれたということ。やはり付いていくべきだったのだろう。

 ただ、私の当面のタイム目標はkm6’00ペースで刻む4:13。Aさんに付いていっても目標達成は難しかったわけで、結論は悩ましい。
 実は来月にまたフルに申し込んでいる。どういう形で準備するかよく考えたい。
                                以上

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