10年4月25日 とくしまマラソン

 19回目のフルは初のとくしま!46歳。良い大会だったなぁ。天・地・人、すべてに恵まれた大会で、予想もしていなかった自己ベスト(21年3月時点でも歴代2位)が出たのよね!47歳でした。

◆天
 好天微風。雲ひとつない晴天。前半は無風に感じるほどの軽い追い風、後半は心地よい程度の向かい風。前年は川沿い特有の強風に悩まされたと聞いていたが、今年は絶好のコンディションであった。
◆地
 標高差最大15m程度の平坦なコース。アップダウンは、吉野川を渡る橋およびその下を通るときのみ。また、コースの大半が吉野川の堤だというのに路面も良く整備されていてひび割れや轍、凹凸が非常に少ないコースであった。
◆人
 温かい応援。途切れることはあるものの老若男女の大応援団は皆一体になって応援してくれていた。東京マラソンは個々の応援者が個々のランナーを探して応援している感じだが、徳島では全応援者が全ランナーを応援しているようであった。また、充実した給水給食体制。アミノバイタルで水分補給をした後に必ず水もあり、顔をすすぎ、腕や首に掛けることができた。

 9:00丁度に号砲。陸連登録選手は最前ブロックからのスタート。私もスタートラインを12秒で通過。7,000人が参加のレースだから最後尾は恐らく7、8分かかるであろう。前方からのスタート故、大集団のストレスはすぐに解消。陸連登録料は、青梅と今日の若いゼッケン、すなわち特急指定券のようなもので元は取ったと考えてよいだろう。
 2km手前で沿道のTから声援が飛び、軽く手を上げて応えた。周りのペースに煽られないように脚を運ぶがどうしても早い気がする。2km通過がネット10:27(@5’14)。やはり早いな。でも苦しくはないし、そのまま進む。
 雄大な吉野川の堤に出る。往路は西向きの上流に向かう。吉野川って「四国三郎」といわれるだけあって想像していたより遥かに雄大な流れである。景観も明るく、抜群のコンディションの中、快調に進む。
 そのままのペースで5km地点までの3kmが15:34(@5’12)。やはりちょっと早い。
 フルの目標はいつもSUB4。今回も同様で、前半ハーフを1:55程度(@5’27)で入るつもり。ここまでのペースでは早すぎるゆえ少し落とすべきかと悩ましいが、周りのペースが良いし、応援も温かいし、若干の追い風であるから落とすのはもったいない。悩みながらもそのまま進んでしまった。
 10kmを過去最高(もちろんフルでは)の52’05で通過。この5kmを26’04<10’38(/2=@5’19)、15’26(/3=@5’09)>。むしろペースが上がっている。少しだけ自重。ここで沿道に招待選手の市橋有里を発見。そういえばスタート前のインタビューで「10kmだけ走る」と言っていた。荷物を係員に渡そうとして横を向いていた市橋有里に、私から「はいはいはい!」とオバハンのような図々しい声をかけてハイタッチ。満足満足。ちなみに市橋有里と遭遇するのは2度目だな。
 沿道はところどころに大応援団。老若男女を問わず、温かい声援を送ってくれる。往路は100人以上とハイタッチしただろう。
 途中でトランペットが鳴っているが、鉄腕アトムのテーマはどうも音程がずれている。近くまで来ると、奏者は限界なのかマウスピースを口から離しゼイゼイ言っていやがる。ランナーの私から「がんばれぃ!」と声援を送ると、ほかのバンドメンバーが受けていた。善行善行。
 15kmまでの5kmは26’11<15’37(/3=@5’13)、10’34(/2=@5’17)>。
 18km過ぎに堤から降りて並行する道路を進み、19kmあたりで第一折返し点。それまでに抜きつ抜かれつした印象的なランナーとの差をチェックした。
◆ 私より若干若い程度の年代の女性と20代男性のカップルランナー、あの2人はどういう関係なんだろう。若いツバメ??私より3分ほど先行していた。
◆ 小柄な白のホットパンツの女性。下にロングタイツを履いていなければそそられる感じ・・・・一時100m近くまで差を拡げられたはずだが、だんだん追い上げ、抜き返したところで第一折返し。またすぐに抜き返されたが併走する。
◆ なんかドタドタとバランスの悪い親父。何度か私を抜いたが今は後ろにいた。
◆ 阪神タイガース矢野捕手の黄色ユニホームを着た背の高い男性。応援団とエールの交換をしながら走っていて余裕をかましていたが、私より遅れだしている。

 20km手前で第二折返し。ここで堤に戻ってさらに上流に進む。ここの堤に上がる登りで白ホットパンツをまた抜いた。女性と併走したまま上りになると、必ず前に出ることになる。彼女がマイペースで進めるなら後からまた抜かれてしまうだろう。
 20kmまでの5kmは25’52登り<10’20(/2=@5’10)、15’32(/3=@5’11)>で、1:44’08。おいおい、ハーフ1:50ペースだよ。「さすがに早すぎるな~」と一抹の不安を感じる。しかし、戻るわけには行かないし前に行くしかない。ここでペースダウンしてしまえば、白ホットパンツや矢野捕手、あるいはドタドタ親父にもに抜かれてしまう。それもつまらん!
 24kmで吉野川を対岸に渡り、復路に入る。「残り18kmもあるのかよ~」というようには感じなかったから調子は悪くないのであろう。ただ、進路が東=下流になったことで、予想通り逆風を感じた。幸いにも心地よい向かい風といった程度だからたいしたストレスにはなりそうもない。安堵した。
 25kmまでの5kmも26’01と依然好調<10’31(/2=@5’16)、15’30(/3=
@5’10)>。ただし、かなり脚が重く痛くなってきたし、このあたりから左足親指が痛みだした。ちょっと爪を短く切りすぎたのかな。また1年前に傷めた左足大腿裏は、例によってドンヨリした重みに時折ツーンとした痛みを感じる。この2種の痛みには慣れてしまった感がある、良いことか悪いことかわからないが・・・。腰も痛い。先週、約4ヶ月ぶりにゴルフに行ったのだが、久々の回転運動はかなり腰にきた。ま、久々でも後半48が出たので結構機嫌は良い。前半が57というのは置いておこう。
 27kmまでの2kmは10’44(/2=5’22)と少々落ち込み、ここで完全に脚が伸びなくなった。「あと15kmならなんとか持つかなぁ」って感じ。苦しいのは私だけではない。回りも遅れだしているので、ペースダウンしても抜かれるより抜く方が多くなっている。
 30kmまでの3kmは16’29、すなわち@5’30。25kmまではだいたい@5’14±5と安定した感じだったので、@5’30となると自分でも急減速した感がある。通過タイムは2:37’34。残り12kmを@6’00で行けば3:49。私のベストタイムが3:49’15。「これはベストが出る!」と重たい脚を運びながら少しその気になる。
 そこからは1km毎に計時する。5’38、5’36、5’33、5’37、5’41と遅れたなりに安定したペースで35kmまで到達。この5kmは28’06で通過タイムは3:05分台。「残り7kmもこのペースなら3:45で行ける!大幅自己新か!」と取らぬ狸のなんとやら。
 ただ体は正直。ここから3kmはkm表示を見過ごす。疲労で視線が下を向き、さらに視界も狭くなったのだろう。
 後半では給水所に給食がある。フルーツやパン、ゼリーなど魅力たっぷり!係員も「食べていって!」と勧めてくれるのだが、自己ベストがかかっているから1秒が惜しい。給水だけは確実に摂って、給食コーナーは悲しいが素通り。38kmまでの3kmが17’30。う~ん、@5’50まで落ち込んだか!「3:45は無理でも@6’00は超えたくない」と一歩一歩脚を運ぶ。39kmまでを@5’59台ギリギリでクリア。
 40km手前に、このコースで一番の(ように感じた)上りがあった。せいぜい高度差で10m程度だが、ずーっと平坦だったコースではこの程度でも堪える。40kmまでの1kmはついに@6’08。「あ~、超えちまった!ちっきしょう!でも上りがあったからだ!」と自らを慰め鞭を入れる。通過タイムは3:35’06。「残り2.195kmだから@6’00だと13’00かかる。自己ベストがやっとじゃん!@6’30まで落ちると14’00かかるから自己ベストは微妙!」と計算は働くものの、疲労困憊の中、この暗算をするだけでも苦痛。出た結果も芳しくない。「時間との戦い」といえば格好良いが、時にマイナス思考にもなり、周りの応援に応える余裕もなくなる。恐らく必死の形相であったろう。考えたら後半は誰ともハイタッチしていない。
 41kmまでは6’17。これではイカン!直後に、係員が「急な下りですから気をつけてください!」と連呼している。堤から一般道に下りるようだ。「下りなら勢いを付けたい」と思いながら坂に差し掛かると想像以上の下り斜度。「勢いつけて駆け下りたら左足が爆発する」と瞬時に判断し、ブレーキをかけるような足の運びになる。「下りなのに、なけなしの勢いを殺してしまった」って感じ。「このままではいけない!気合だ!」、心の中で「ドリャッ!」と叫ぶ。沿道に一般大衆がいなかったら、恐らくリアルに吼えていただろう!
脚を伸ばす!「伸ばそうとする」が正しい表現かな?応援の方から「ゴールの競技場は見えているよ!」と声がかかる。「どこだ?」と前を凝視するが度無しのサングラスでは見えない。そこから少し進むと右に大きく曲がるコーナー。「さっきのオッサン、競技場が見えるって、方角が違うのかよ!」と毒づくが、聞く耳は誰も持っていない。
 そのコーナーの途中で後ろから「○○さん!」と声がかかった。Tの声だとはわかり、振り向いて手を軽く上げて応えたが、姿は見えなかった。後から聞いたら隣にはNもいたようだが、眼を合わせられなくて残念!
 ヘロヘロ走っている私の横を、黄色いお尻がヨチヨチ抜いていく。ドナルドダックだかヒヨコだが知らんが、いいおばさんの仮装ランナーに抜かれた。ちっきしょう!と思いつつ、一方で「これだけ失速しても白ホットパンツや矢野捕手は来ないな。皆、苦労しているんだ。」という思いも頭をよぎった。
 競技場の入り口が見えた。左に曲がって敷地に入る。42kmの表示。この1kmは6’02。ちょっと持ち直している。自己ベストも確信してちょっとほっとする。「ラストたったの195mくらいダッシュだ!」と脚に命じるが脚は言うことを聞かない。競技場グランドに入る。ラスト100m。30m前をいく黄色いお尻を抜きたいが差は詰まらない。とぼとぼとラスト195mは1’05でクリア。この195mは、後から計算したら@5’33ペースだから一応ちょっとだけスピードアップした勘定。情けないほどのラストスパートだが、それでもGOAL!!手元の時計は3:48’4○!よっしゃ!

 つっかれったな~。ふらふら歩きながらも、まずは時計のLAPメモリーをチェックする。スタートまでは12秒か。ってことはネットタイムは3:48’○。自己ベストだ!45秒更新!朦朧としつつもこれだけは何よりも先にチェックした。
 ただ自己ベストの割には感動がない。やっぱり最後に失速すると気分が悪い。去年の口熊野や福知山のときのように最後はスパートを決めてゴールラインを跨ぎたいもんだ。

 スタートからゴールまでのレース報告は以上。あとはレース前後を記録に残しておこう。

 この「とくしまマラソン」は今年が第3回大会。過去2回の大会が結構評判がいいことから申し込むことにした。人気のレースでもあるので、申込み初日11/1午前0:00を待って深夜に携帯からrunnetで申し込んだ。その翌日、わずか2日間で定員6,000人を超える応募があり申込みを締め切ったそうだ。
 申込み後に徳島在住のT、Nに大歓迎をするよう申し入れ。2人とも渋々(?)了承。11月以降はそれも楽しみにランニングを続けた。ところが2月に青梅30km、東京マラソンと2週続けての大レースを終えたら、すっかり気が抜けてしまった。練習日数はそんなに落ちていないが、長い距離を走るのが面倒で面倒で・・・体重も増え・・・気力体力の衰えは間違いなく老化現象なのだろう。4月のフルは無理かもな・・・と珍しく弱気に・・・それでもゼッケン通知が届き、大会プログラムを見ると最前ブロックからのスタートとわかり、意欲もちょっと出てきた次第。
 スタート会場内はわかりにくかった。大会プログラムではこれだけが不満。それでも予定時間通りに荷物を預け、スタートブロックに向かった。
8:30の整列時間に並ぶ。丁度、大会アナウンスが「気温9℃」と言っている。それだけ聞くと寒そうだが、陽射しはかなりきつい。「今日は温度との戦い」と判断していたのでネッククーラーを装着してる。これが大正解であった。10km行かないうちから背中に水を流すことになったもんな。

 ゴール後。さらにふらふらとトラックのコーナーを回ると、救護テントがある。なんとあの年の差カップルが収容されている!救護されているのはツバメの方で、オバサンはツバメの脇に跪いてマッサージでもしているようだ。本当にどんな関係なんだろう・・・・興味津々だが、どんな関係かわかっても私には何のメリットも無いはずだ。さっさと去ろう。
 10人ほどの一団がバンザイをしている。「ほ~、盛り上がっているチームだな」と思っていたら、その中のオバサンから手を引っ張られる。「バンザイ軍団か!」。たとえば東京大学の入試合格発表では、現役東大運動部の学生がバンザイ軍団を結成して合格者を胴上げまでしてくれるそうだ。それと同じようなバンザイ軍団が徳島にいた!年齢層は東大の学生より3から4回り位高いようだが・・・・その一団に周りを取り囲まれる。私のほかにもう一人オッサン完走ランナーが中央に引きずり込まれる!リーダーが音頭をとり「完走っ!バンザ~イ!バンザ~イ!バンザ~イ!」と派手に三唱してくれた。ありがたいこった。自分も拍手をしながら、にっこり笑って丁寧にお礼を言って辞去した。
 次のコーナーがドリンクゾーン。紙コップでアミノバイタルが配られ「お代わりもどうぞ」と、若い、おそらく高校生の係員が声をかけてくれる。まず一息に飲み干しお代わりをいただく。それも3,4口で空けて、再度のお代わりは同じ係員からだと恥ずかしいので別の人へ・・・・3杯目を持って芝生へ。紙コップ、CAP、サングラスを置いて、ストレッチ。とにかく腰をゆっくり大きく伸ばした。サングラスをはずすと強い陽射しを感じる。今日はサングラスをして正解だったな。
 続いてトラック出口横に手荷物受渡所があるのでそちらに進む。すると突然若いお兄ちゃんがニコニコ笑いながら真っ直ぐ走り寄ってくる。怪訝な顔の私に「どうぞ!」と差し出したのはまさに私の袋。遠くからフラフラやってくるランナーのゼッケンを見て、荷物を探し出し、わざわざ走って届けてくれたわけだ。男に追われるのは趣味ではないが、これには結構感動した。「おぉ!ありがとうありがとう。」と丁寧に礼を述べた。
 トラックを出るところでありましたわ!大会プログラムを読んだときに驚いた「フィニッシュゾーンのフィッシュカツゾーン」!徳島名物フィッシュカツが配られる。「42.195km走って疲れきった内臓にいきなり揚げ物を食わせるのか?」と思っていたが、きれいにビニールで包装されていた。揚げ物好きといえども、さすがにここで包装を破いてカツに食らいつく気にはなれない・・・・・次は米紛製の食パン(2枚入り)を配っている。これも喉が渇きそうでマラソン直後に食うものでもない。両方をお土産に持ち帰ることに。その次がやっとウドンコーナー。これはありがたくいただく。通常の半玉くらいのウドンでも十分、これ以上は食べられない感じ。「ご馳走様」と係員のおば様に礼を言って辞去。
 スタンド下の記録証コーナーへ。記録証を受け取るとネットタイムは3:48’32になっている。2秒損した気分。ま、今までも公式記録より自己計測記録を尊重しているので、今回のベストも3:48’30ということでいいだろう。
 そこにいた係員に「徳島駅はどう行けばいいのですか?」と尋ねると「この道をまっすぐ」と教えられた。大会プログラムには「ゴールからスタート地点までは徒歩7、8分」と書いてあったので、「スタート手前にあるホテルまでなら歩いて5分ってことだな」と歩く覚悟で進み出したところで、すぐ横にバスが停まった。どうやら選手送迎無料バスのようである。「どこまで行くのですか?」とバス係員に聞くと「徳島駅です」!「(ラッキー!)乗せてもらっていいですか?」「どうぞどうぞ」ってなわけでバスに乗り込む。ラッキーラッキー!でも記録証コーナーの係員も「徳島駅ならバスがありますよ」って教えてくれてもよかったのに・・・これって贅沢か??
 結局、(マラソンのせいで渋滞しているのだろうが)バスには10分以上は乗っていた。徒歩5分なんて距離では絶対になかったから、バスが横に停車し、即、乗られたのは本当にラッキーだった。
 駅の横でバスを降りる。この時点でもまだランシャツ・ランパンという格好で、かつ、ゼッケンまで付いている。ジェントルマンである私は「県庁所在地の繁華街を歩くに相応しい格好ではない」ということを自覚し、手荷物からTシャツを取り出して上に着た。脚はラインに自信があるからサービスに出しておいてやろう。この格好でもまだ街では浮いているけどね、まだ半袖で歩いている人もいないんだから。
 ホテルに着くと即シャワーを浴びて、ランシャツ類を水洗いして一段落。ふ~!
 当日夜中には目が覚めた。理由は日焼け。両肩がヒリッヒリッしていた。恐るべし4月の紫外線である。ちなみに3日後からボロボロに・・・。

 今回の総括。天・地・人に恵まれ、自己ベストも出て充実した2泊2.5日の徳島遠征でした。ただし、最後に失速したので、自己ベストの爽快感も喪失したし、課題も明確に。やっぱりまだフルを走りきる脚はできていないということ。まだまだ頑張ろう!
                               以上

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