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銀行の“安全神話”は、本当なのか?

おそらく、多くの人は銀行に対して、
「信頼性が高い」「安全」「堅実」等々、
良いイメージをお持ちだと思います。
しかし、実は銀行とは、
イメージほど盤石な機関ではありません。

銀行とは、その昔、
金匠と呼ばれる両替商から始まりました。
昔のお金には、金などの金属が使われており、
重くて持ち運びに不便だったため、
人々は金匠に金を預け、
必要に応じて引き出して使っていました。

やがて、人々は一々金を引き出さず、
代わりに金の預かり証を取引に使うようになりました。
これが、紙幣の起源だと言われています。

ある時、金匠は預かっている金の量よりも、
払い出す金のほうが少ないことに気づきました。
そこで金匠は、手元に残っている金も
貸し出すようになりました。
これが、信用創造と呼ばれるものです。

本来、金は預かっているだけですから、
金匠はそれを手元に保管し、要求されたら
いつでも返却できるようにしておく必要があります。
ところが実際は、金の払い出しを希望する人が、
預け入れをする人よりも少なかったために、
手元にある金を又貸ししても問題は起きなかったのです。

現在の銀行も、17世紀の金匠と全く同じことをしています。

現在の銀行の信用創造(貸出)の源泉は、
顧客が預けている預金です。
よく、世間では
「信用創造とは無から有を生み出す仕組みだ」
と言われていますが、実際は
預金というベースがなければ成り立ちません。

現在は預金決済が主流となっているため、
もともと銀行はあまり現金を持っていません。
預金決済の場合、銀行は
通帳の数字を変更するだけでいいので、
手元にある現金以上の貸出が可能となるのです。

けれど、もし何かをきっかけに、
預金者が一斉に現金を引き出し始めると、
銀行は要求に応じ切れなくなって危機に陥ります。

これが現実に起きたのが、
2023年に破綻したシリコンバレー銀行です。
シリコンバレー銀行は、全米16位の地方銀行でしたが、
保有債券の売却損を計上したことをきっかけに、
わずか48時間で破綻してしまったのです。

【参考文献】
『金融の世界史ーーバブルと戦争と株式市場』(板谷敏彦著、2013年、新潮社)
日経新聞Web版:2023年3月21日、他


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