見出し画像

夏の不思議体験~お盆③~

今回は、お盆の夜のことです。
ちょっと怖い話を書いてみました。


やっぱり迷信じゃないんだ!

あれは、私が看護師になったばかりの頃
お盆に帰省した時のことです。

実家は兄夫婦とその子供達が同居していました。
その為、既に私の部屋はありませんでした。
そこで、私は母と寝ることにしていたのですが
母の部屋では手狭なので広い仏間に
寝ようということになりました。
昔から聞かされていた、
近所でお盆に起こった仏間での話も
しっかり頭に入れてのことでした。

その話とは近所にある大きな家の出来事です。

お盆になり、本家であるその家に
あちこちから親族が集まりました。
大きな家ではありましたが寝る所がなくなり
仕方なく、仏間にも沢山の布団が敷かれたそうです。
すると、夜中にガヤガヤとかなり多人数の話し声が
聞こえてきました。
「これでは足の踏み場がない」
「通れない」
「仏壇まで行けない」

仏間にいた人達は皆、それらの声を聞いたそうです。
そこで、布団を両側に寄せ
縁側から仏壇までの道をあけたところ
ガヤガヤしていた話し声は
ピタッと聞こえなくなったということでした。


私と母は、お盆で帰ってきた仏様の通り道の
邪魔にならないように、
私と母の間を広くあけて寝ました。

でも…
私は、なぜか寝つけなかったのです。
時間がたてばたつほど、どうしようもないくらいに
目がらんらんとしてきます。
眠いはずなのに、
周りの空気が張りつめていくような感じでした。
そのうちに、隣で寝ている母がうなされ始めました。

それまで聞いたこともないような
低音から高音に変わっていく唸り声を聞いていると
怖くなり、声をかけるのもはばかられました。
どうしたものかとじっとしていると
急に唸り声がピタッと止んで、母が私に
「ダメだダメだ!ここにはいられない。布団をよけよう!」
と言ってきました。

私もそう思ったので、仏壇に手を合わせてから
茶の間に二人で布団を敷き直しました。
移動すると、張りつめた空気感はいくらかやわらぎ
母はすぐに寝入ったようでした。

ですが、私はすぐには眠れませんでした。
何だか落ち着かない感じがしてくるのです。
何か、目に見えないものが
近くまで来ているような感じがしてなりませんでした。
しかもそれは複数いて、
明らかに怒りが感じられました。

母のいびきを聞きながら、私は怖くてたまらなくなり、頭からタオルケットをかぶって身を丸くしていました。
その見えない何かは、明らかに圧を強めて
タオルケット一枚挟んだ向こう側にいました。
『あぁ、うちの人達だから通り道だけあけていれば良いと思ったけど、お盆なのに仏間に布団を敷いていたのが良くなかったんだな…』

私は仏様達にひたすら謝りながら、
朝がくるのを待ちました。
結局、一睡もできませんでした。

それからは、お盆には仏間に布団を敷くことはなくなりました。
やはり、迷信ではなく、
お盆には仏様達は帰ってくるのですよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?