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教授の音がこんなにも沁みて

台風はずっと続いているわ更新かけたら青い鳥が黒くなってるわ俵万智を思い出しちょっと元気を出す日々。

サラダ記念日じゃないけど。

著名人などが自分のチャンネルを持った際に体験談を語ってくれることはとても良いことの1つだと感じている。
トットちゃんの戦争体験と、ガンダム生みの親の富野さんのインタビューなど、貴重な声を聴けることは現代の良さだ。

その上で今年はこれを読んだ。

ガラスの梨 ちいやんの戦争」。

広島や長崎、沖縄や東京は舞台として読んだことや調べたことがあったものの、大阪は友人もいて楽しい思い出が多くとても過ごしやすい地域にもかかわらず、こと戦争についてはあまり知らずに来た。
児童文学ではあれど、濃厚に詳細に記録されている当時の空気感を行間から感じて、読み進めるごとにどうにもできない感情が生まれるのを無視できなかった。

いつだって犠牲になるのは武器を持たない市井の人間であり、優しい人の未来を容赦なく奪う。奪われ続けていけば人は簡単に変わってしまう。誰が悪い?時代や状況で、正義は変わる。その中でも主人公笑生子の家族は泣きながらでも自分たちの信じていることを曲げることはなかった。
生きて、帰ってきてと願った。

澄恵美姉やんのさっぱりときっぱりとした物言いが清々しい。自分にとって成年兄やんはこんなお兄ちゃんがほしかった、と思わせる優しい人だ。
普通に、周りにいるよね、こういう人たち。生活は現代と地続きで変わらない。背景が違いすぎるだけ。

梨はこの家族にとって、一瞬の充足、幸せの1つなのだと思う。

数日前に彩雲を見たのはこの物語のラストと呼応して、なんだか変な感じ。
教授の音が鳴るテレビ番組を見る。空の青さや蒸す空気に眩暈を覚えながらしばし時空を浮遊したのだった。

小さい頃「時間」を思ったときに途方もなくて怖かった。
点と点の重なり、離れ、を体験した読書だった。

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