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はじめての歌舞伎〜お食事 編 (下)

お食事編も第3回目となりました。いよいよ、大詰め(かな?)です。

今回は、お弁当の適正サイズ弁当置き場といった、行かないとわからない困りごとに注目した記事となっています。

実際の座席写真とともにどうぞ!

お弁当は一段がベスト

お弁当ってサイズ、段数いろいろありますよね。
おいなりさんと巻き寿司が入った、助六寿司のような小さいものから、一段目におかず、二段目に季節のごはんが入った二段折弁当などなど。
食べたいものを選べばよいのですが、できれば一段のお弁当・折箱のものにしましょう。
その理由は座席のスペースにあります。

お弁当を劇場の座席で食べる場合、スペースはひざの上しかありません。さらにいえば、休憩中ですから、隣や近くの人がトイレにいくなどして移動する。その度に、弁当タイムを中断して席を立つ、なんてことも。

座席では、パンフレット(筋書・番附)を横長にして机がわりにすると安定する@南座にて撮影

二段弁当にすると、すぐ立てないし、慌てて弁当箱をぶちまけたりして大惨事。
そういえば、劇場内では最近は一段折弁当しか売ってないような気もします。

写真のように、パンフレット(筋書・番附)を横長に置いて、テーブルがわりにします。
歌舞伎の筋書・番附は厚めで、しっかりしていますから、安定感バツグン。さらに綴じ目を向こう側にすると、ストッパーにもなり、弁当が滑り落ちません
ぜひお試しください!

しかし、弁当を筋書・番附に直接置くのって抵抗ありますよね。高野豆腐の汁がついて、ネチャネチャとか最悪です。
汚れてもいい大きめのハンカチを一枚持っていきましょう。
お弁当を買ったときに包み紙があれば、それを敷けば良いですね。

お弁当は座席のどこにおく?

さきほども申しましたが、座席周りは意外とスペースがありません。
足の前に置くと、同じ列に座る人が移動する際に邪魔になります
すでに座っている方の前を通らないといけないとき、座っている方が、親切心で「荷物の上またいでください!」と言っていただくことがあります。
アレ、じつは困るんです。またげないし、たいがい端っこ踏みます。通る人にとっては、障害物走並みの難易度足の前には荷物を置かないようにしましょう

劇場にはロッカーもありますので、大きなカバンや冬ならコートなどを預ける方もいらっしゃいます。
ちなみに、座席の背もたれにコートをかけたり、背もたれと体の間にコートを入れた、前屈みの体勢はいけません!あなたのせいで、後ろの人の視界を遮り、観劇の邪魔をしてしまいます。気をつけましょう。劇場ではそのような行為をしている場合、案内係の方から注意されますので、指示に従いましょう。

(余談)背もたれに背中をつけてない人が前にいた時の悲劇はコチラ

わたくしは荷物は基本、座席下に入れてしまいます。座席下は誰も通りませんから(笑)荷物を置いても邪魔になりません。

ポイントは、着席前に、荷物を座席下に置くことです。
席に座ってから、椅子下に荷物を入れた場合、あとで立ち上がる際に、椅子が上手くたたまれなかったり、荷物が座面につぶされて紙袋などが破れてしまったりします。

2人で連番のお席の場合は、ひじ掛け下のスペースも使えます。そこに2人のお弁当を置くと良いでしょう。

南座にて撮影

「お弁当を床に置くなんて、袋に入っていても抵抗あるわ!」という方は、デパ地下などで買わずに、幕間(まくあい:休憩時間のこと)に受け取れるお弁当予約のシステムを使いましょう。

劇場のサービス精神

歌舞伎座をはじめとする、客席で飲食できる劇場は、お食事後のサービスもすごい。
お弁当ガラを捨てる大きなゴミ箱各階に多数設置されています。コロナ禍前は、案内係の方が、お弁当の食べ終わりを見計らって、客席にゴミを集めに来てくださってました。ありがたい!

芝居弁当といえば、幕の内に助六

ということで、ながながと、3回つづいたお食事編でしたが、あまりお弁当の種類について書いてませんでしたね。
さいごに、お芝居ゆかりのお弁当をふたつご紹介いたしましょう。

幕の内弁当

お芝居の休憩時間のことを幕間(まくあい)と申します。「がしまって、次の幕が開くまでのあいだ」だから幕間まくあいと読みますね、まくあい。「まくのあいだ」を省略して「まくあい」。「マクマ」じゃございません!
江戸時代は、幕間の時間に関係なく、お芝居上演中も売り子の人がきたり、お菓子などを食べながらお芝居観ていたそうです。しかしながら、幕がしまってるうちがゆっくりお弁当タイム。なんせ江戸時代のお芝居は幕がしまったら次に幕があく時間は未定なんてことも。
のんびりしてたんですねぇ。

そんなしまっているうちに出されたお弁当が「幕の内弁当」です。
仕出し屋さんが作っていたり、芝居茶屋と呼ばれる、お芝居のチケット斡旋からお弁当まで用意してくれる今でいう旅行代理店が、「幕の内弁当」を作っていました。
当時の幕の内弁当についてはこちらの記事がオススメです↓

助六寿司

もうひとつは、パッと食べられる、おいなりさんと巻き寿司のセット「助六寿司
最近、「助六寿司」という名前をご存知ない方が増えたようにも思います。

画像提供:いらすとや

このいなり寿司と巻き寿司のセットを、なぜ「助六」というのか。
こちらは歌舞伎「助六由縁江戸桜(すけろく ゆかりのえどさくら)」というお芝居をもとに名付けられました。
このお芝居では、江戸一のイケメン・助六が、親の敵を探しています。これを手助けするのが、助六の恋人「揚巻(あげまき)」という美女。
話をお寿司に戻しましょう。このお寿司は、いなり寿司と巻き寿司のセット。つまり、おあげさん海苔巻き。お「あげ」さんと海苔「巻き」で、「あげ巻き」=「あげまき」→「揚巻」となります。
そこから、揚巻から連想で、相手の「助六」の名前をとったというわけです。
お寿司を「あげまき」と呼ばずに相手の「助六」と呼ぶところに、江戸の粋さを感じますね。
助六由縁江戸桜のあらすじはコチラ↓

というわけで、お弁当話はこのあたりでお開き。
つぎは、おやつ編としまして、劇場限定のおやつをご案内いたします。
でも、その前に、歌舞伎・文楽のお話をお届けします。

ここまでお読みいただきありありがとうございます♪
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