CDという媒体について

あなたは最近CD、買いましたか?
サブスクリプションという便利な媒体によって、片手に収まるほどの小さな機械に世界中の音楽が集約されるようになった昨今、パッケージを持ったメディアは衰退の1歩をたどる一方であるように感じます。

私が初めてCDを買ったのはたしか小学4年生か5年生だったか、その時ぐらい。
当時大好きだった175Rの「手紙」のシングルカットを家の近くにあったゲオにお小遣いを握りしめて買いに行きました。
新発売の棚に並べられた様々なCD、私はそのうちの一つを手に取ると勇み足でレジに向かい、お金を払って家路を急ぎました。
なかなか剥がれないフィルムと格闘しながら(あれほんと開けづらいですよね)、ハサミを使ってみたり爪でガジガジと擦ってみたりして。
やっと取れたフィルムを部屋に投げ捨て、当時親父がパチンコの景品でもらってきた安いコンポにCDを入れると「シャーシャー…」と音を立てて読み込みを始める。
この時間が待ち遠しい、早く早く、早く聴きたいんだと心の中で唱えながらディスプレイに表示されていたReading…を見つめていた当時の私。

読み込みが終わり、いよいよ再生ボタンを押す。
中身空っぽなんじゃないかと思えるほど軽いスピーカーからシンバルのカウントが聴こえてきて、ベースラインが歌いだすともう私はそこにはいなかった。
ここじゃないどこかへ、真っ白な部屋の中にいるのは私とバンドメンバーのみ。
今みたいに上等なシステムが無くても想像だけで私はそこまでのめりこむことができたのです。
オーケストラの音色、まっすぐで飾りっ気のない歌声、ちょっと泥臭いギター、どう弾いているのかなんて知らないし見たことも無かった私の脳内では、それでもしかし雄弁にその演奏する姿が想像できた。
部屋の隅っこに置かれたコンポの前で何回も何回も、CDが擦り切れることなんて決してないのに擦り切れるほど、耳にタコができるほど聴いたのを思いだします。

私はCDを買ってあの開けづらいフィルムと格闘するのが今は好きで、その時間すら楽しい。
ジャケットを眺めるのも、CDのデザインを眺めるのも大好き。
歌詞カードのレイアウト、聴くだけでは判断できない言葉の言い回し、ちょっとづつちょっとづつそれを楽しむのが好き。

便利な世の中で、私もその恩恵を大いに今受けているし、新しい音楽との出会いにも恵まれて幸せな瞬間もたくさんある。

でもだからこそ、私はこんな煩わしくてどうでもよい時間が失われていくのはどうにも惜しいなぁと最近感じています。
いつもいつでもどこでも音楽が気軽に手に入る時代。
たまにはそんな煩わしい時間を経て、音楽を聴いてみるのはどうでしょうか。
たまにはCDショップに出かけていき、名前も知らない国も違う歌詞もわからないかもしれない、でもなんか目が合っちゃったなというCDがあったらちょっとだけ財布のひもを緩めてレジに向かってみませんか?
昔聴いたあの音楽、今流行りのあの音楽、配信もとても結構、でもパッケージを含めた姿で楽しむのも結構乙かもしれませんよ。

決して配信はダメとかそういう話ではなく、ただ単純にCDという媒体にはまだまだ残っていてほしい、ただそれだけを遠回しにわかりにくく、締めもオチも無い文章に認めてみました。
たまには思い付きのまま書いてみるもの、悪いもんじゃない気がします。
ここまで読んでくれたあなた、ありがとうございました。
以上、ふぁむでした。

またお会いできたら。

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