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【読書 note】 「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」 moto (戸塚 俊介) (著)

 私の読書noteを訪ねていただき有難うございます。本noteは私の読書感想を紹介するものになります。




1.動機は”副業”というキーワード

 ふとしたきっかけでX(旧Twetter)の著者motoさんの投稿に目が入った。「転職と副業のかけ算」。書名が面白い。短い。でも伝えたいことが分かる。私は転職経験者である。転職で得られるものもあれば、失うものもある。転職に成功したとしても生涯年収が増えるとは限らない。転職したからこそ、転職しないことの価値も認識している。
 だからこそ”副業”が気になる。副業は本業に組み合わせることで相乗効果が期待できる。そして”副業”をしやすい環境になっている。ADSLの普及が進んだインターネット黎明期の2000年ごろは、動画のようなコンテンツ送信は単なる未来像だったが、リクナビCareerの様なインターネットを利用したサービスが登場することで人材中途採用市場が成長したのである。日経新聞のようなメディアを通じて、キャリアアップ=転職みたいな風潮があった。しかし今は圧倒的に個人の稼ぐ力が企業に対して強くなり、収入アップの手段は転職だけではないからである。
 Xのコメントを読んでみる。
 「トヨタやリクルートでよく言われてるけど「どこにでも転職できる人材を育てて、その人材が働き続けたいと思う環境を作れ」というのは組織作りに欠かせない格言。」
 ちょっと刺さるのである。気になる。じゃあ読んでみようか。 そして読むと分かるのである。それが著者の戦略だったと。Xの活用は著者の副業における計算ずくの戦略的活動なのである。
 では肝心の本は薄い内容だったのか。そんなことはない。自らの経験を集約した本になっているので、メッセージ性の強い内容になっている。そこで、少し内容を紹介してみたいと思ったわけである。

2.目次の紹介

 本屋に行ってこの手の気になる本を手に取ったら、パラパラとめくって目次を見る人は多いのではないだろうか。本の内容がおおよそ掴めるだろうから、下記に抜粋した。 

 はじめに 給料はもらうものではなく「稼ぐもの」
 序章 「個人で稼ぐ」サラリーマンが本当の安定を手にいれる時代
 第1章 年収240万円の地方ホームセンターを選んだ理由
 第2章 地方ホームセンターやリクルートで学んだ「成果」に繋がる働き方
 第3章 5度の転職で年収を上げ続けた「転職術」
 第4章 本業を活かして稼ぐ「サラリーマンの副業」
 第5章 生涯年収を最大化する生き方
 おわりに

3.この本の特徴

 この本のコンセプトは冒頭の”はじめに”の部分に集約されている。
 小学生のなりたい職業ランキングの1位はYoutuberらしいが、実際はサラリーマンを辞めて起業するのは難しい。だから著者は「サラリーマンでいること」のメリットを享受しながら、個人でお金を稼ぐ道を選んだのである。
 サラリーマンとして得られる経験に価値を見出し、同じサラリーマンにとって役立つ情報として著者ならではの言葉で発信することで4000万円もの副業収入を得ている。そしてそれは著者が「生涯年収を最大化する生き方や考え方」にこだわり、「稼ぐ」ために仕掛けてきた結果として得られたものである。
 「転職」や「副業」を自分の市場価値を高める手段として捉え、いかに著者なりに工夫してきたのか、そのノウハウを凝縮してまとめたものが本書である。

4.実践的な転職対策せよ副業にせよ「自分株式会社」の事業計画が大事

 著者のmotoさんは終始自分の言葉、自分のメッセージを伝えたいという思いでこの本を書いたということが分かる。うるさいくらい「」表現を使っているのだ。
 著者はどうやって成功を収めたのだろうか?
 本書によると、「自分株式会社」という視点である。つまり「株式会社motoの売り上げはどうやったら伸びるのか?」という経営者視点で仕事をしているというのだ。対価という定量的な物差しを導入して、客観的に自分を見つめ、ブラッシュアップする努力を続けているのだ。どんな労働が評価されるのか?自分はそれに見合った労働価値を提供できる経験をしているのか?どうやったら実績を上げられるのか?今の仕事で自分の楽しいと思う部分は何か?それを自分の価値に転換するにはどうしたら良いのか?
 自分の生産性を高め続け、それで市場の評価を上げられるよう、いつでもアピールできる準備を続けているのだ。
 こう言った姿勢は、副業にも活かされている。
 まず社長として副業の売り上げ目標を決めてしまう。これにより手段も定まってくる。副業の手段はいくつかあるが、著者はコンテンツ配信をベストと選択している。
 副収入源として提供するコンテンツを、自らの言葉で語ることのできる「サラリーマンとして苦労して得たこと」や「自分の転職経験」に設定。そのコンテンツのニーズがあるのか、いくらだったら売れるのかきちんとマーケティングを行っているのである。
 さらに副業のブランディング活動も行っている。共感性の高いコンテンツで自分を応援してくれるX上のフォロワーを増やし、そのフォロワーを大切にし、ついには自分からアピールしなくても「転職に詳しい人 = motoさん」というブランドを世の中に認めさせたのである。
 こうやって明確な戦略を持って副業を行っているため、私のように著者に縁のなかった一般読者を惹きつけ、本を購入させ、副業4000万円の収入に貢献させることができるのだ。

5.どんな人におすすめしたいか

 本書がターゲットとする読者層は本に書いてあるように「転職して年収を高めたい」「サラリーマンとしての市場価値を上げたい」「給料以外の収入が欲しい」「老後のお金の不安を減らしたい」人たちである。
 例えば、「転職して年収を高めたい」人たちは第3章に興味があるだろう。3章には転職のノウハウが極めて具体的に書いてある。
 一方、「給料以外の収入が欲しい」は第4章を読むと良いだろう。どうやって副業を成功させたのか、知ることができる。
 「転職」にも「副業」にも興味がない人には、本書は不要か?そんなことはない。自分の市場価値を上げる努力はこれからの時代を生き抜くために必要なサバイバル術である。単なるノウハウ本ではない。全てのサラリーマンに読んで欲しい良書である。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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