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裏金脱税事件を機に問う 自公連立政権〝税〞をめぐる闇 取材・文◉浦野広明(紙の爆弾2024年5月号掲載)

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裏金〝脱税〞事件国税局の義務

 自民党や同党議員の政治団体は、政治パーティー名目の催しで脱税し裏金を得ている。政治資金規正法は、政治団体が政治資金パーティーを開催した場合、対価にかかる収入・支出などについて政治資金収支報告書に記載したうえ、総務省および都道府県選挙管理委員会に提出することとしている。
 自民党の裏金事件は、同党の派閥が「裏金集会」の収支について、①政治資金規正法による政治資金収支報告書への過少または不記載②派閥の所属議員が販売割当額を超えて集めた収入を「裏金」として着服することを組織的に続けてきたものである。
 政治資金規正法上、収支報告書の不記載・虚偽記載には、5年以下の禁錮、100万円以下の罰金(第25条)のほか、一定期間公民権が停止となる(第28条)ことが定められている。
 さらに、裏金事件は政治資金規正法違反にとどまらず、以下の重大な脱税等の問題がある。

【法人税】
利益率が8割前後にもなる裏金集会には、普通法人(法人税法第2条第9号)として、また一歩譲って人格のない社団だとしても収益事業(興行業)に該当し、利益(所得)に法人税、法人住民税・事業税が課される。

【所得税】
裏金収入の全額が事業または雑所得として所得税、住民税が課される。

【消費税】
消費税の納税義務は、事業者(個人・法人・人格のない社団)が事業を行なっている場合に課税されるのであり、裏金集会は事業であるから消費税が課税される。

【附帯税(地方税は附帯金)】
延滞・重加算税(金)が課される。

【課税期間】
裏金集会に係る課税は偽りその他不正の行為(偽計行為)によるものであり、7年間課税される(国税通則法第70条第5号)。

【脱税の刑事罰】
偽計行為により脱税した場合、所得税法第238条、法人税法第159条および消費税法第64条によって「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれを併科」に処される。

【罰せられるのは国会議員】
裏金集会について、会計責任者や秘書等がやったことだという議員がいるがとんでもない。会計責任者は単なる名義人であって、収益を享受する実質の集会主催者は議員である。責任を問われるのは議員である。つまり実質所得者課税の原則の適用である(所得税法第12条、法人税法第11条、消費税法第13条)。

【国税局の義務】
国税局は、国税の犯則調査により犯則があると思料するときは、検察官に告発する必要がある(国税通則法第155条)。告発しなければ不作為責任が問われる。

【検察官の責任】
国税局が検察官に告発することにより、犯則調査の段階で作成された調書、差押物件やその目録等は、検察官に引き継がれる(国税通則法第159条)。検察官は刑事訴訟法に基づき刑事事件として捜査し、検察官が起訴(公判請求)をしなければならない。

 自民党の脱税裏金事件の関係議員は納税と議員辞職は当然である。それだけではない。懲役や罰金という厳しい制裁を科さなければならない。

公明党の連帯責任

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