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第1号

 何処にも当てつけることのできない焦燥感と共に、僕はタバコの煙を吐いた。

 早くバイトに行かなきゃと思うのだが、うまく足が動かない。何もやる気が起きないのだ。だが、暇さえあれば先の自分を考えてしまうから、うまく考えないように誤魔化して過ごしている。

 でも最近、良い事もあった。それは、素直にブラックのコーヒーが上手いと思えた事だ。大学のレポートを片付けるため、行きつけのデニーズに訪れた。その際に興味半分で頼んだブラックコーヒーが何故か美味しく感じたのだ。僕は少し感動して、調子に乗り、五杯くらいおかわりをした。後に腹を壊したが、無性にそれが嬉しく感じた。

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