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パン作りたいのに…

休みの日にはパンを作るようになった。
もともとモノ作りが好きで、ハンクラもする。
作っている間は煩悩がなくなるし、発酵したり捏ねていると様子が変わってくるのがおもしろい。
失敗も楽しくて、次はどんなパンにしようかと、あちこちのレシピや動画サイトを見ている。

でも、困ったこともある。
私は糖質控えめ生活をしていて、体重のコントロールだけでなく、その方が体調がいいので続けている。
厳密な制限はしていないから作ったパンは普通に食べていたけど、そろそろ体調に影響がではじめた。
体もお腹の調子も重めだ。
米や小麦粉を若い頃より受け付けなくなってきたからだろう。
そして、食べきれないパンが冷凍庫に増えている。
残念なことに、誰かにあげられるほど上手ではない。
そして何より、人にあげるのが苦手だ。

若い頃、同じ部署に料理好きの先輩がいて、いつもお裾分けをいただいていた。
炊き込みご飯のおにぎりや煮込み料理、パンやカップケーキなどレパートリーが豊富で、料理ができない私はお裾分けしてもらえることが素直にうれしかったし、どれもみんなおいしかった。

その先輩は部署のみんなに配れるほど、たくさん作ってきてくれることもあった。
そのなかで「もらうの苦手。自分の好みの味付けではないし。」という同僚がいた。
こういう気持ちの人がいることも理解できた。
人それぞれだよねーと同僚達と話していたとき、カウンセリング系の資格を持つ同僚が「あれは一種の摂食障害だよ」と言った。
私は、摂食障害とは過食や拒食のことだと思っていた。
その人の話では「食というか食べさせることへの過度なこだわり、強制感が異常でしょ」とのことだった。

そういう解釈もあるのかと驚いた。
確かに、おにぎりなんて30個くらい持ってきたこともあったから、何時に起きてんだろ?と心配になったことがある。
もちろんお金を払ったこともない。

それ以降私は、食べ物を人にあげることが苦手になった。
今もお菓子を差し入れすることはあるけれど、一人一人に配ることはしないで、ミーティングの時に勝手にとっていってもらう方式にしている。
嫌な人はとらないでいいし、必ず個包装のものにするので、持っていって他の人にあげてもいいし。

でもあの先輩は、いろんな人に喜ばれて幸せそうだった。
まだ作り続けて、ご近所さんに配っているのかもしれない。


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