女性の学位取得とライフプラン(3)

友人Aが学位取得を目指している。
会社の理解があって在職したまま進学したけれど、在学期間が長期になって指導教授が退職し、変更になった。
今年度こそと意気込んでいたが、かなり厳しくダメ出しされて断念した。
いつも前向きな彼女が、今回ばかりは相当なダメージを受けた。

仲のよかった友達数人で飲みに行かないかと誘ったらOKしてくれたから、友達に日程調整のLINEした後、夜中にAから「やっぱりメンタルがしんどいから、もう少し落ち着いてからでもいいかな、ごめんね」と連絡があった。
A自身が、前向きに気持ちを立て直したい思いと、しんどさの間で揺らいでいる。

Aは友達が多く社交的で、頭がよくて几帳面だ。
そして、純粋すぎる。
見ていて苦しくなるほどに真っ直ぐだ。
彼女がもっているものは私にないものばかりで、本当にうらやましい。
俗世にまみれて、忖度だらけの上っ面の会話の波を乗りこなし、作り笑顔とブチギレを使い分け、それなりに生きている私とは全く違う。
だから私はAが大好きだ。
何とかここで最後の踏ん張りを後押ししたい。
でも、彼女の気持ちがわかるから、そっとしておきたい気持ちもある。

私は修士は順調だったけれど、博士の学位取得には時間がかかった。
研究が進まなかったり、今年も出せなかったと落ち込んだときは、あまり人に会いたくなかった。
引きこもるほどの経済的な余裕はなかったから、バイトにはきちんと行ったし、そこでは普通に過ごしていた。
バイト先の人たちは私の研究のことなど全く知らないし、それについて話すことはなかった。
だからバイトがいい気分転換になっていて、そこでの人間関係が、狭くて息苦しい研究室から自分を解放してくれる大切な安全地帯だった。
でも親しい友人にこそ、会うことに抵抗があった。
そんな経験をしたから、Aの気持ちがわかる気がする。

だからこそ、出口はこっちだと、旗をふっていたい。
背中を押したり、がんばれ!の旗をふるのではなく、「あともう少し、こっちだよ」と旗をふりたい。

Aは、私が学位取得に苦労したことを知っているから、私に共感のような思いを抱いているかもしれない。

苦しいけど、見守る。
ここにいることを伝える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?