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旅路の記録

旅行日誌を整理する空くんのお話です。
空くん独自のお話です。

キャラストーリーっぽい感じで書いたので、短め、かつ、会話少なめ…というか、ほぼ心の呟き仕様です。

・塵歌壺に空くんしか入れない秘密の書斎がある設定です

・かつ塵歌壺の機能を自己解釈気味です

・旅行日誌について完全にSF(すこしふしぎ)扱い及び自己解釈気味

・ゲーム内の旅行日誌は、閲覧できるのは魔神任務、伝説任務だけですが(メタいな…)、このお話では、テーマイベントストーリー、ミニイベントなども読むことができる"記録帳"と呼ばれるものが登場します

参考資料

・冒険手帳及びついている羽根ペン
・旅行日誌全般
・テーマイベントストーリー全般
・tipsや旅行日誌のストーリーの章ごとにある国や双子ちゃんのマーク
・伝説任務ごとにある命ノ星座のマーク
・キャラストーリー部分
・スライム新聞 眼鏡をかけた空くん
・空くんと蛍ちゃん、ダインが関わる魔神任務全般(ちょびっとだけなので、ネタバレはありません)




塵歌壺のある一室にて。

カリ…

カリカリ…

スッ

パタン

「………ふぅ。」
カチャ

冒険手帳に付いていた羽ペンを使って、文字を綴っていた空は、その動きを止めて何やら分厚いものを閉じる。そうして、ひと息つきながら黒縁眼鏡を外した(空の視力は良好であるが、所謂気分として時折かけることがあるのだ)。

(取り敢えず、今日はここまでかな…)
ガタッ

スタスタ

スッ…

椅子を引いて立ち上がった空は、先程まで文字を綴っていたものを手に取って、本棚へと歩み寄った。空の手の届く範囲で本が取れるようにあつらえられたちょうど良い大きさの本棚は、今しがた本棚へとしまったものの他にも様々な冊子類がある。

それは、テイワット大陸に来てから、空が今までに経験した旅路の記録を綴ったものである。

塵歌壺は、持ち主の想いに呼応して、洞天内の邸宅や内装など、その形を変えることが可能な代物である。それは、持ち主である空と執事役であるマル以外は知らない部屋を作り出すことも例外ではない。

そうして作られた秘密の部屋にある本棚には、空以外が知ることがない秘密の冊子類が存在している。

その中のひとつが、旅行日誌である。

様々な国の冒険の記録がこと細やかに記されたそれは、テイワット大陸に由来する文字ではない空だけが読める言語で綴られており、その存在は、空しか知らないものであり、空以外には、誰も知る術はない。

だが、この旅行日誌なるものが、どのようにして空の手元にあるのか、実は、空自身にも分からないのであった。

というのも、この旅行日誌は、その存在自体がとても不思議なものであるからだ。

何せひとつの国の旅路の中で、何か大きな経験を経るごとに、あるいは、仲間達との交流を経る度に、いつの間にか空の元へ現れるのだ。

最近では、旅を経て休息をした翌日に、この秘密のテーブルに、ぽん、と置かれていることが多い。これがまた丁寧なことに、七国を模したマークの留め具まで着けられている。

その様は、まるで、見知らぬ誰かが本屋から良さげな本を買ってきて"読んでみたらいい"と言わんばかりに置かれている。

それは、仲間達の交流を経た際にも同様のことが起こる。唯一の違いは、留め具が各個人の命ノ星座を模したマークの留め具であることだろうか。

しかし、本人以外には、空しか知り得ることがない命ノ星座を模したマークを何故、知っているのか…。

疑問に思ったこともあったが、空は深く考えないようにすることにした。

そんな不思議な出来事は、まだ塵歌壺をもらう前から起こっていたことだった。

ある時は、野宿の準備をしている最中のバックの中に。

ある時は、厚意に預かって、西風騎士団に泊まった際、ふらりと立ち寄った図書館のテーブルの上に。

ある時は、講談を聞き終わった時に、ふとテーブルに目を向けた時に。

またある時は、ドラゴンスパインの休憩所にある錬金台を始めとする実験器具が置かれたテーブルの上に…。

あらゆることで、空が何かを体験した時には、この不思議な旅行日誌が具現化してそれを綴るのだ。さらに言えば、旅の最中の出来事や空の心情をこと細やかに綴られている。

それはまるで、空の心そのものが具現化したように…。

(それにしても、不思議だよな…)
スッ

本棚に納められた旅行日誌を指を滑らせて軽く触れるよう眺めながら、空はこの不思議な存在に首を傾げる。

そんな不思議な代物を最初は警戒した空であるが、いつしかこの便利な代物の存在に慣れてしまったのもまた事実である。今までの旅路での不思議な経験を経たことによる適応力、まさに旅人である空自身の立場があるからこそこの不思議な代物に"慣れて気にしなくなった"と言えるだろう。

しかし、まだまだ不思議なことは多い。何故ならば、これまた、不思議なことに、空が追加で綴りたい文章がある時に、羽ペンを持つと、まるで、最初からそこが空白であったように、ページにちょうどいいスペースが出来上がるのだ。

この仕様のおかげで、書いた文字を後から見返しても、文字が重なり合っていたり、書き綴りすぎて真っ黒になったりしないのだ。そのおかげで、自分なりの考察を気兼ねなく綴ることが出来る。

例えば、つい最近経験した出来事…。

スメールにてダインスレイヴと再会した後に、蛍の追体験を経験したこと。

それに、モンドで開催された風花祭に久々に参加したこと。

それは、今しがた空が綴っていた旅行日誌と記録帳(旅での経験以外、例えば、国ごとの催しに参加した時に現れる日誌を空はそう呼んでいる)にも当てはまることだった。

スッ
(蛍……)

指を滑らせて、風花祭のことを綴った記録帳の隣にある旅行日誌へと手を滑らせる。

そこには、空自身と蛍、2人の姿と星の煌めきを模したマークの留め具がついた旅行日誌がある。

ダインスレイヴと初めて会った時の出来事を綴った旅行日誌…。それを目にした時には、最初はとても驚いたものだ。あまりの出来事に、一瞬、誰かの罠かと思ったこともある。

それも相まって、蛍との思わぬ再会を果たした時に現れた時には、ひどく動揺して、数日はその旅行日誌に触れることさえ躊躇ったほどである。しかし、意を決して、読み進めると胸が締め付けられるほどに、こと細やかに詳細が綴られていたので、1度読んでから、また読み返す、ということができた。

他にも層岩巨淵でのダインの過去の片鱗を垣間見えた時にも現れた時があった。カーンルイアのことをさらに深く知ると同時に、添えられたインテイワットの花から蛍の考えも読み取ることができたことも鮮明に綴られていた。

(いつか、会えた時に、旅のことを話したいな…………)
スッ…

そんな思いを馳せながら、空と蛍のマークを模した留め具を優しく撫でて、空は切なさが入り混じった笑みを浮かべるのだった。

これからも、空の旅路は続いていく。

その度に、こうして旅行日誌、あるいは記録帳に書き綴るのだろう。

それは、単なる記録だけではない。

旅で起きた出来事、仲間達との思い出…。

それらを振り返って思い出しながら、いつか、再会を果たした蛍と話し合える日々が来ることへの一種の願掛けであった。

空と蛍。

双子である2人が、星空を眺めながら話し合った日々。

その日が再び訪れる日を願いながら…。

-END-



あとがき兼補足説明

(弊ワットの)空くん、蛍ちゃん、誕生日おめでとう!!

そして、世界一尊い双子ちゃんを産み出してくれたHoYoverse様………、いつも感謝しても仕切れない気持ちを抱いています…!!!

ありがとうございます…!!
(※あくまでも、空くん、蛍ちゃんの誕生日お祝いです!!(大きな声))

空くん(と恐らく蛍ちゃんも)は、パイモンとの掛け合いなどのキャラボイスは豊富ですか、キャラストーリーはまだまだ解放されている箇所が少ないです。

加えて、他のキャラのようにターニングポイントとなるようなストーリー(例:アンバーの冒険ノートなど)の解放がまだまだ先の気配を感じ取ったので、それに似たようなお話を書きたいな、と思って、今回のお話を書きました。

旅行日誌、とあるように旅人たる空くんor蛍ちゃんには、記録が必至でしょう!と思ったのも、このお話を思いついたきっかけのひとつです。もしかしたら、空くんor蛍ちゃんは、旅行日誌を全部手書きで書いているかもしれないですが、このお話では、SF(すこしふしぎ)要素がある代物としています。

ちなみに

魔神任務、伝説任務→旅行日誌
(ダイン初登場時や煙緋初登場時の塵歌壺任務も含んでいます)
※実際は世界任務扱いで、ゲーム内の旅行日誌には記録はないですが、私の中では、旅行日誌に記録すべきだと思っているので…(長い)

テーマイベントストーリー、デートイベント、ミニイベント、世界任務など→記録帳

と表現しています。

あと、旅行日誌、記録帳のデザインは、ヴィンテージ日記をイメージしています。というのも、宝箱を開けた時に手に入る印が、シーリングスタンプで作ったような大変お洒落なデザインであると感じると同時に、テイワット大陸は、まだまだ手紙の出し方や封の仕方は、各国共通で中世辺りをイメージしているのかな…?と思ったので、手紙を書く→それに準ずる日記、と連想して、日記も中世辺りの形式かも…?と解釈して、ヴィンテージ日記をイメージしました。

あとは、完全に私の個人的な趣味が入るのですが、たまに、ヴィンテージ日記を作るASMR動画を聞いたり見たりするのが好きなので、旅行日誌、記録帳、それを止める留め具は、そういったデザインのイメージです。

ちょっとセンチメンタル(当社比)なお話でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございます!!

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