【タル空】前髪が気になる…

タルタリヤの向かって右側の前髪の長さが気になる空くんのお話です。

・空くんが、完全に子供の少し長くなった前髪を気にするオカン状態です。
・樹脂の使い道自己解釈気味


ジッ…

「ん? どうしたの、空…。」

「……ちょっと、しゃがんでもらっていいか??」

「うん? いいよ。」
サッ

じっと見つめてくる空の琥珀色の瞳に疑問符を投げかけたタルタリヤは、いつになく真剣な表情をした空に言われるがままにしゃがみ込んだ。

「どうしたの…。」
ガッ

「へっ?」

問いかけようとするが、その前に空が素早くタルタリヤの向かって右側の前髪を勢いよく掴んだので、続く言葉が少々間抜けなものとなってしまった。

「お前、こっち側の前髪長めだよな…。」

「そ、そうかな…?」

そんなタルタリヤを他所に、空は掴んだ前髪を吟味するようにまじまじと見つめている。

(やっぱり長いな…)

ますます困惑の声を上げるタルタリヤを気にせずに、空は観察を続ける。

前々から気になっていたことであるが、タルタリヤの前髪、特に向かって右側は特に長い。実際、若干左目にかかってしまっているし、戦闘の際に邪魔にならないのだろうか…。そんな疑問が、ふとした時に空の頭に浮かぶのだ。

そうした疑問を思い浮かべながら、空は掴んだ時の衝撃と異なるようなふわりとした感じに触れる。そうしてから、少し強めにくしゃっ、と掴んだ。

(確か、あれがあったはずだ…)

「そ、空? もうそろそろいいかな??」

「あ、あぁ。悪い。」
パッ

あるアイディアが浮かんだ空は、狼狽えるタルタリヤの声を聞いて、しゃがんでいる体勢を取って貰っていたことを思い出して空は離れた。

フゥ…
「そんなに気になる?」

「あぁ。だから…。」
ゴソゴソ

「??」

ようやく解放されたタルタリヤはひと息吐きながら、バックから何かを取り出そうとする空の様子を見守る。

そして…、

パッ
「これを使ったらどうだ??」

そうして取り出したのは、ヘアピンであった。

より正確に言うと、ヘアピンの飾りが樹脂で作られておりタルタリヤの命ノ星座である空鯨座、その鯨を模したヘアピンだった。

「へぇ…! こういうのも作れるんだね…!!」

「た、たまたま暇つぶしに作ったんだ!! ………要らなかったら捨ててもいい。」
プイッ

「そんなことしないよ〜。ありがとう、空。」

「……あぁ。」

満面の笑みを浮かべるタルタリヤに、ついそっけない態度を取りながらも、嬉しそうにするタルタリヤの反応に、内心穏やかな気持ちになる空であった。

その後、つけて欲しい、とねだるタルタリヤに根負けして、しぶしぶつける空と、つけられて満足した笑顔を浮かべるヘアピンをつけたタルタリヤの姿があったという。

-END-

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