【タル空】甘くて嬉しいその味を

喉を痛めた空くんにタルタリヤがのど飴をあげるお話です。

・弊ワット設定で、のど飴がある設定です。
・文章が箇条書き気味


「ケホッ…。」

「空? 喉が痛いの??」

「ああ…。ちょっと痛むんだ…。」

喉を抑えながら、少し苦しそうに咳き込む空に対して、タルタリヤは心配そうに声をかけた。

ここ最近の気候の寒暖差が激しい日が続いたこと影響もあって、空に対しては喉の痛みとして出たようだ。

「俺、のど飴あるよ??」
スッ…

「あぁ、ひとつ貰おうかな…。」

のど飴が入ったケースを取り出すタルタリヤの提案に、あまりにも痛むので、その言葉に甘えることにした空は返答した。

「うん、分かった。」
スッ…
ビリッ

(? わざわざ開けなくても…)

空の返答を聞いたタルタリヤは、ケースから飴玉をひとつ取り出すと、個包装となっている包装紙を破って中身を出した。

その様子に、てっきり渡してくれるものだとばかり思っていた空は拍子抜けする。

そうして見守っていると…

スッ

「?!」

タルタリヤの飴玉を掴む右手と反対の左手が、空の顎に手を添えられた。突然のこそばゆい感触に狼狽えていると…

「はい、口を開けて? 俺が食べさせてあげる。」

いつの間にかそばへと寄ってきたタルタリヤが、こちらに向かって飴玉を突き出していた。

「なっ! 自分でできる…。」

顎に手が添えられた時点で察しはついていたが、あまりの距離の近さに驚いた空は声を上げる。

しかし…

ズキッ

「っ!! ケホッ、ケホッ…。」

「ほら? 大声出すから…。」

(誰のせいだ!!)
キッ

喉に負担がかかったせいか、痛みに咳き込む。そんな空を少し嗜めるような口調で、タルタリヤは言うが、そもそもの原因でもあるので、空は少し睨む。

(すぐ終わらせよう…)
スッ

「あ…。」
スッ…

しかし、この状態のまま膠着しそうな気配を感じ取った空は、覚悟を決めて、目を閉じた後に、ゆっくりと、ほんの少しばかり口を開けた。

クスッ
「いい子だね。」

スッ…

視界を閉じた影響なのか、いつにも増してタルタリヤの声を機敏に聞き取れる気がすると同時に、ゆっくりと指が近付いてくる気配を感じ取る。

そして…

コロン

スッ

(やっと離れた…)
スッ

舌に感じ取れた甘みと、飴玉の丸み、そして、顎に添えられた手が離れていく感覚に、安堵とほんの少しばかり感じた寂しさを振り払うように、空は目を開けた。

モゴ…
(甘い…)

「どう? 蜂蜜入りだから、もっと喉にもいいと思うんだ。」

コクン

口を閉じて感じる甘み、そして、視界に広がるタルタリヤの笑みを見ながら空は頷いた。

(今度は普通に渡してくれ…)

飴玉を舐め終わってから、そう伝えることを決める空であった。

-END-

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