王冠の輝きを共に

タルタリヤに、何か渡したいものがある空くんのお話です。
めっちゃ短い&会話などが簡素な構成(当社比)です。

・謎時系列です
・知恵の冠の扱い及びトリクラしたらどうなるのかなど、完全自己解釈気味
・タルタリヤは、空くんが複数の元素を扱えることを知っている設定です

一応、右手と左手の指の意味を調べて…、みたのですが、小っ恥ずかしくなったので、お兄さん指と呼ばれる中指にしました(なんだそれ)

参考資料

・知恵の冠 テキスト


塵歌壺にて。

「それで、渡したいものって何かな、空??」

「あぁ。」
ゴソゴソ

問いかけるタルタリヤに、簡素な返事をした空は懐を探る。

「これだ。」
スッ

「これは…、知恵の冠??」

空の手にある物を見て言葉を紡いだタルタリヤが言うように、空が取り出したのは知恵の冠だった。

遥か昔に、知恵の伝承に使用していた儀式の器具と言われるそれは、元素力を始めとする能力を増強させる効果があり、ひとつでも十分な効果を得られる。だが、より潜在能力を引き出したい場合は、あることを行うのだ。

とはいえ、手段としては、至極簡単だ。

何故ならば、任意の指にはめた後、同じ指にひとつ、ふたつ、そして、みっつと、3個分合わせる、ただこれだけだ。

そうすると、不思議なことに、身につけた者の扱う元素の色を宿した小粒の石がどこからともなく現れて嵌め込まれた後に、最初の状態と比べてふた回りほど大きな冠を模した指輪へと変化する。

そうして出来上がったそれは、身につけるだけで以前よりも力がみなぎるのだ。

しかし、滅多に取れる機会がない貴重な物のため、おいそれと消費することはできない代物となっている。

それを、空は、3個…、つまりは、タルタリヤが最大限の潜在能力を引き出せるように出し惜しみをしていない証でもあるのだ。

「貴重なものだけど、いいの?」

「あぁ、いいんだ。貯め込んでいたから、数には困っていない。」

「………ありがとう、空。」

貴重な品であるが故に、慎重に尋ねるタルタリヤであるが、空は大したことないように答えた。ぶっきらぼうながらも、ここまでしてくれることに、不思議とタルタリヤは、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じながらお礼の言葉を述べた。

「あ、そうだ。空は着けてみたの?」

「俺か? まだだ。」

「じゃあ、折角だからお互いつけようよ。」

「何でだよ…。」

「だって、水元素はともかく、他の元素は、空はもう指輪をつけちゃってるし…。」

タルタリヤが疑問を問えば、空はまだしていないことを告げる。その後に続けられたタルタリヤの言葉に、"する必要があるのか?"と言わんばかりに空は答えた。

だが、タルタリヤの言うことは尤もである。

空は複数の元素を扱える分、指輪を多く持っている。

風は薬指に。

岩は親指に。

雷は人差し指に。

草は小指に。

それを付けた上で、尚且つ、それぞれの指輪の石は、既に各元素の色へと染まっている。

空が元素を変えるたびに変えているそれは、タルタリヤが存在を知った時点で、既に力を増した瞬間を見逃したことを意味していた。

どうやら、タルタリヤにとっては歯がゆいことであるようだ。

「だから、俺につけさせてよ。」

「何も面白くないぞ。」

「そんなことないよ。」

空が複数の元素を操れること。

それを知っているからこそ、タルタリヤはそんな提案をしてきた。面白いものが見れると勘違いしていそうなので釘を指す空であるが、タルタリヤはさして気にした風もない様子だ。

「……分かったよ。ほらつけるぞ。」

「うん。ありがとう、空。」

観念したように承諾した空に、タルタリヤはお礼を言った。

そうして、2人はお互いに、知恵の冠をつけるのだった。

タルタリヤは、空の右手の中指に。

空は、タルタリヤの左手の中指に。

奇しくも、お互いの左右対称の手に、同じ指に嵌めることとなった。

「おっ! 俺達って、考えることが似ているみたいだね。」

「偶然だろ。」

そのことが余程嬉しかったのか、タルタリヤは喜びの言葉を口にした。それに対して、ぶっきらぼうに空は答える。

何故なら、単に、タルタリヤの利き手や実用性を考慮したからである。

戦闘狂であるタルタリヤは、利き手である右手は、ずっと武器を握っている機会が多いであろうことから、空は利き手ではない左手を選んだのだ。

(これから、邪魔にならないからな…)

そうして考えながら、それぞれの指に嵌めた瞬間…

パァッ…

お互いの指輪が淡い光を放った。

その後、それぞれの石は、海のような深い青色へと染まって、ふた回り大きな指輪へと変化した。

(終わったか…)
フゥ…

指輪を嵌めるだけなのに、何故だか妙に緊張していたらしい空は、いつの間にか肩に入っていた力を息を吐くと同時に抜いた。

「もしかしたら、俺、貴重な場面にいるのかも…!!」
キラキラ

「何言ってるんだよ…。」

そんな中で、指に嵌められた指輪を眺めながら、深い青の瞳をより一層輝かせてタルタリヤは感想を述べた。

「だって、こうして"最高の相棒"と一緒に強くなれる瞬間を見届けたからさ!」

「!!」

その言葉を聞いた瞬間、タルタリヤからさりげなく凄いことを言われたような気がした空は、琥珀色の瞳を見開く。

(〜〜っっ、よく恥ずかしげもなく言えるな…)

よくよく考えてみれば、"指輪をはめ合う"光景は、傍から見れば仲睦まじい者同士がするような行為であるのではないだろうか。

それこそお互いを大切に想い合う関係の者達のように…。

ハッ
(って、あくまでも"相棒"として、だ!!!)
ブンブンブン

そこまで思い至って、空はその考えを振り払うように首を横に振る。

「ん? どうしたの??」

「!! なっ、何でもない!!!」
プイッ

「えぇ〜? 気になるよ〜…。」

「気にしなくていい!!」

そんな空の様子が気になるタルタリヤが声をかけるが、空は知らぬ存ぜぬ、という態度を通した。食い下がって聞こうとするタルタリヤに悟られないようにますますそっぽを向いた。

そんな2人の中指には、指輪がキラリと輝いていた。

-END-


後書き

知恵の冠を貯め込むタイプである私は、今まで各元素の空くんしかトリクラしていませんでした。

しかし、フォンテーヌが実装されて水元素を纏えるようになった空くんを見て、密かに抱いていた願望である

タルタリヤと空くんを同時にトリクラする

を叶えられたので、その記念に書いたお話でした!

完全なる自己満足なお話でしたが、ここまで読んで頂きありがとうございます!

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