かくれて、みつけて、なかよしこよし

かくれんぼイベントを通して、ディオナと早柚が仲良くなった経緯を妄想して思いついたネタです。
かくれんぼイベント中に、ディオナをハンターにした時に、フレンドさんの早柚さんがレンジャーになって、ハンターとして勝った時に思いつきました。

性格とかが正反対の2人ですが、こんな風に仲良くなったらいいな、という願望込みですw←

あれ以降、この2人を私の中ではかくれんぼコンビと呼んでいますw←

・少し長め…?←
・突発なので荒削り
・ディオナと早柚は、かくれんぼイベントを通じて知り合った設定です。
・ディオナと早柚の性格&口調迷子気味
・ガイガックスの休憩時間等も捏造気味

※初出 2022年2月8日 pixiv


モンド城の隅にある場にて。

机の上に置かれた猫の模型と地図が置かれた場所、それは最近風の行方と呼ばれるモンドの歴史を模した遊びが開催されている。冒険者協会に属する冒険者は勿論のこと、旅人であり栄誉騎士でもある空も夢中になっているのだとか…。

そんな風の行方を楽しんでいるのが、ここにも2人居た。

「あー! 楽しかった!!」

「…また、見つかってしまった。」

得意げに伸びをして三毛柄の猫耳としっぽをぴこぴこと動かすのは、ディオナだ。反対にしょんぼりしたように肩を落としているのは早柚である。心なしかむじなを模したフードの耳としっぽも垂れているように見える。

ディオナはキャッツテールが定休日であるので、折角開催しているので遊んでみようかな、という気持ちで来たのだ。そして早柚は、空の話を聞いて、北斗の船に乗せて貰ってモンドまで来たのである。ちなみに、空は、どうしても今日中に取らなければならない素材があるらしく、秘境に行ってしまった。気にするな、と言う早柚に申し訳無さそうにしながら、急いで戻るから!と名残惜しそうに言い残してその場を去った。

「へへーん! あたしにかかれば朝ごはん前にゃ!!」

「悔しい…。」

喜色満面なディオナに対して、早柚が浮かない表情を浮かべているのは、先ほどの勝敗からだ。先程、ディオナがハンター、早柚がレンジャーとなった勝負では、怒涛の勢いでディオナが次々と捕まえて、最後に早柚が捕まったのである。目を爛々と光らせて"捕まえたにゃ!!"と言いながら捕まえるディオナの姿が、今も早柚の目に焼き付いている。

(これはふて寝するしかない……、それにしても動き回ったから眠い…)
コクン、コクン

「あれ? 眠いの??」

「う、少し……。」

勝負に負けた悔しさにふて寝を考える早柚だが、身体を動かした後なので、既に眠そうである。あまりの眠さに船を漕ぐ早柚にディオナは声をかけて、早柚も返事をした。

「ガイガックスおじさん! ここで休憩しててもいい?」

「あぁ、構わないよ。おじさんも席を離れるから、もしよかったらお留守番を頼んでもいいかな?」

早柚の返事を聞いて、ディオナは風の行方の主催者であるガイガックスに声をかけた。ガイガックスはにこやかに答えた。空の紹介で稲妻から来た早柚の参加を聞いて、そんな遠いところまで風の行方が知られているなんて…!と感動していたので、その喜びも加味されているのだろう。それに、いくら主催者とはいえ、1日中立ちっぱなしと言うわけではない。人が来ない時間帯を見計らって、休憩を取っているのだ。そのタイミングが訪れたのも彼にとっては好都合でもあった。

「了解にゃ!」

「…任された。」

「じゃあ、お願いするよ。」
スタスタ

ディオナと早柚の返事を聞いたガイガックスは、その場を離れていった。それと同時に2人は椅子に腰掛けた。

(…あの耳としっぽ、気になるぞ)

(あれはなんて動物なのかにゃ?)
「ねぇ、あなたはお名前、何て言うの?? あたしはディオナにゃ!!」

先程は勝負に夢中であったが、実はお互い初対面である。早柚はディオナの耳としっぽ、ディオナは早柚のむじなを模したフードを気にしながら、自己紹介をした。

「…早柚だ。」

「早柚ちゃん! よろしくにゃ!!」

「…よろしく。」
(元気だ…、でも、耳に響くぞ…)

お互いに自己紹介をしながら、早柚はディオナの声の高さと大きさに少々身をのけぞらせる。元来の声の高さに加えて、バーテンダーとして働いているディオナは、にぎやかな酒場では声が小さくては客に声が届かないので、自然と声が大きくなる。モンドでは周知ではあるが、初めて聞いた早柚にとっては、少々うるさく聴こえるのだ。

「被っているのは、なんて動物にゃ?」

「これは、むじなだ。」

「むじな?」

「あぁ、たぬき、じゃ、ないぞ…。」
コックリ、コックリ

ディオナの質問に答えるうちに、ますます眠くなったのか先ほどよりも船を漕ぐ早柚は、返答も怪しくなってくる。

「ねぇねぇ、むじなのこともっと教えてよ!」

「眠い…。」

「うぅ〜…。」

だが、ディオナにとっては、聞きたいことが聞けないので困ってしまう。自然としっぽがパタパタと揺れてしまう。

「あ、そうにゃ!!」
ぴん!

「??」

「ちょっと待ってて!!」
だだっ

何かを思いついたのか、しっぽをピン!と立てたディオナは、疑問符を浮かべる早柚を他所に、一声かけてから駆け出して行ってしまった。

(やはり拙と居るのは楽しくないのか…)

眠いために、ディオナのひと声が聞き取れなかった早柚は、立ち去った気配を感じたて、フードのしっぽをぎゅっと掴んだ。

実を言えば、最初は乗り気ではなかった。いくら終末番の端くれといえど、かくれんぼは修行を思い出してしまう。それでも早柚が参加したのは、噂によると背の高い人から逃げ切れたら身長が伸びやすくなるかも…?という空の話を聞いたからだ。

そうなれば、早柚も参加せずにはいられない。しかし、いざ来てみればハンターとなったのは、自分と背丈の変わらないディオナであった。それに、曲がりなりにも忍である早柚に追いつくほどの素早さに、流石に矜持が傷付いた。

それに、他にも早柚が懸念していたことがある。

過眠による眠気によりすぐ寝てしまうこと。
喋るのが遅いこと。

それが分かるとせっかちな人ほど、苛立ってしまい結果的に、早柚の話し相手となってくれるのは数えるほどしかいなかった。それは早柚自身も自覚はしていることではある。しかし、それはもう慣れっこである。現にディオナだって去ってしまった。きっと、早柚と話をするに値しないとなったのだろう。

(それもこれも、寝てしまえば、楽だ…)

眠れば、きっと背が伸びるし、話さなくて済む。苦楽であれば、間違いなく楽な方を選ぶ早柚はそうしてまた眠りにつくのであった。

「……て、起き………。」

(……うるさいぞ、拙はまだ寝ていたい…)

「起きてったら!」

「!!」
ビクッ
ガバッ

「やっと起きたにゃ!」

どれだけ寝ていたのかは分からないが、大きな声に、早柚は身体を揺らして目を見開いた。視界には、何か荷物を抱えたディオナが写り込んでいる。

「…帰ったのではないのか?」

「違うにゃ!! 待ってて、って言ったでしょ?」
ごそごそ

早柚が尋ねれば、ディオナはそれを否定して荷物から何かを取り出した。

「はい、これ!」

「何だこれは?」

「ディオナの特製ドリンク、アップルサイダーミント添えにゃ!!」

「さい、だぁ??」

「そうにゃ!!」

ディオナが取り出したのは、本人曰くアップルサイダーミント添えだ。酔い覚めのドリンクとして評判があるそれに、さらにミントを添えたのだ。仕込み中のキャサリンに無理を言って用意したのである。

(迷惑だったかにゃ…?)

いくら、話を聞きたいからとはいえ少々強引だったのではないか…と、用意をしてここへ戻ってくる最中にディオナは思っていた。空が紹介してくれた遠い地から来た早柚は、勝負中もディオナに負けずとも劣らずの素早さを見せた。眠そうな目から鈍そうな印象を抱いていたが、レンジャーとして素早く隠れて、偽装で欺く華麗さはディオナを大層驚かせた。勝負はディオナの勝ちではあったが、早柚の素早さはどう身につけたものなのか知りたくなったのだ。

それに、むじなのことも気になる。これは是非話を聞きたい、とまずは早柚の眠気を覚ますためにドリンクを用意したのである。しかし、後になって不安になってきたディオナは、心配からか自然と耳としっぽが垂れていた。

(少しだけなら…)
スッ
「!」
ぴんっ!

そんなディオナの葛藤を他所に、寝起きで喉が乾いていた早柚はドリンクを手に取った。それに不安そうにしていたディオナは、目を見開いて耳としっぽをピン!と立てた。

コクッ
シュワッ

「!!」
バッ

「にゃにゃっ!?」

早柚は飲んだ瞬間に広がった炭酸に驚いて、近くの家の壁にへばりついた。その跳躍ぶりにディオナは驚きの声を上げた。

「何だこれは…。毒か…?」

「違うにゃ!!」

早柚の発した物騒な言葉にディオナは猛抗議した。

ちなみに、早柚は炭酸を飲むのはこれが初めてである。

「………。」
ストッ
コクン
(美味しい…)

壁から降りて再度飲んだ早柚は、改めてその美味しさを味わった。慣れてしまえば、この炭酸もクセになる。それに、ディオナが言うように目が覚めてきた、ような気がする。

「……主は、何故、そうまでして…。」

「え? だって…、

早柚ちゃんともっとお話ししたいからにゃ!!」

「!!」

疑問を問えば、ディオナからの返答に早柚は驚いた。今までそんなことを言われたことは無かったからだ。

「…拙の話はつまらないだろう。喋るのだって遅いし…。」

「そんなことないにゃ!」

「え…?」

「むじなについてもっと聞きたいし、それに…。」

「それに?」

改めて疑問を投げかければ、ディオナは首を横に振って言葉を紡いだ。そうして、次の言葉を待つと…

「バーテンダーとして、酔っぱらいのおじさん達のお話を聞くのに比べたら全然へっちゃらにゃ!!」

「…むぅ。何だか納得がいかないぞ……。」

(しかし……、

悪い気はしない…)

些か納得がいかない返答ではあったが、それでも早柚は嬉しかった。だって…

話を聞いてくれる友達が出来たのだから。

「むじなについて知りたいのだな?」

「そうにゃ!!」

「分かった。教えよう。だから…。」

「にゃにゃ??」

「主の、ばぁてん、だぁ?についても教えてくれないか?」

パァッ
「!! お任せにゃ!!」

早柚の言葉に、ディオナは嬉しそうに返答をした。

そうして、2人は話し始めた。まずは、早柚がむじなについてゆっくりと説明を始めた。ディオナは時折頷きながら最後まで話を聞いて、きらきらと目を輝かせていた。途中、ドリンクと共に持って来たサンドイッチも一緒に食べながら、ディオナのバーテンダーについての話を、早柚が静かに聞いていた。

次第に話は、稲妻では団子牛乳が流行っている、という話になり食いついたディオナに、早柚はゆっくりと説明をしたのだという。

風の行方。

モンドの伝統をモチーフにしたその遊びは、時に美しい友情の始まりのきっかけにもなるのかもしれない…。

その後、休憩を終えたガイガックスと、秘境での素材取りを終えた空が同時に戻ったので、ディオナと早柚はまた遊ぶ約束をして別れた。

その日の夜。

ディオナは、新しい特製ドリンクのアイディアを思い付いて、1人微笑んでいた。
一方で早柚は、いつもよりも寝つきがよかったという。

-END-

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