神子様、お味はいかがでしょうか…?

本日公開された八重神子のエピソード動画で、油揚げが好きとあったので、もしかしたら、餅巾着とか好きなのかな…? と思って思いついたネタです。

・めっちゃ短い
・市井おでんの餅巾着が、空くんが作ったらますます美味しくなるんじゃないかな、と思って書きました。
・しかし、食べ物の描写不足気味…
・八重神子のしっぽについて捏造しかない

参考資料
・八重神子 エピソード動画「狐の愛するもの」

※初出 2022年2月10日 pixiv


「それで、妾に用とは何なのじゃ? 童よ。」

「前に見せてくれた映像のお礼がしたくてさ。」
ゴソゴソ

鳴神大社にて。

お礼をしたいと言う空にせがまれたので、八重神子は八重神子専用の社に案内した。

「ほぅ? 礼とはまた殊勝な心がけじゃな。」

「…借りを作りっぱなしなのが、いやだからさ。」

「素直に言うのもいいことじゃ。」
クスクス

「で、これを試食してもらいたくてさ。」
スッ

八重神子の揶揄うような口調を交わしながら、空は三〇式·携帯式栄養袋から市井おでんを取り出した。これに入れていれば、温かさを維持できて汁物であっても安全に運ぶことができる優れものだ。

「市井おでんの餅巾着多めだよ。」

ピク…
「餅巾着…。良いではないか。」

餅巾着、と聞いて、八重神子は薄桜色の狐耳を動かした。油揚げが好きな八重神子にとっておでんの具の中でも餅巾着は一番好きな具でもある。

「早速食べてもいいのか?」

「うん。味の感想とか聞かせてもらえると嬉しいな。」

「では、その言葉に甘えるとしよう。」
スチャッ
スッ

八重神子はどこからか取り出した箸を手に、餅巾着を掴んで口元へと運んだ。

パクッ

そして、ひと口食べると…

もちっ
じゅわっ

「!!!」
(こ、これは…!?)

口に入れた瞬間、八重神子は衝撃に目を見開いた。

黄金(こがね)色の油揚げに包まれた白くもっちりとした餅。
噛み締めると同時に、油揚げに染み込まれた出汁が柔らかな餅に絡んでくる。
噛めば噛むほど、溢れ出る出汁はその分だけ幸せを噛み締めていると錯覚するほどに、満足感を得られる。

ゴクン

名残惜しくも飲み込めば、胸の辺りがますます幸福感に満たされていく。

(何て…美味なんじゃ………)
ほぅ

あまりの美味しさに八重神子は、恍惚の表情とため息を吐いた。

時折烏有亭でも市井おでんの餅巾着を食べることはある。だが、空が作った餅巾着はそれとはまた違った美味しさがある。

(こんなに美味しい餅巾着は久方ぶりに食べたのじゃ…)

「あれ? 八重神子、後ろに何かもふもふしたものが…??」

ハッ
「な、何でもない。それより美味じゃったぞ。」
パッ

「? なら良かった!」
(気のせいだったのかな…?)

八重神子の髪と狐耳と同じく薄桜色のもふもふしたものが見えた空は、疑問を口にした。その言葉に、恍惚とした表情から一転して、目を見開いた八重神子は慌てて感想を言って誤魔化した。空も見間違いだと判断して、八重神子の言葉に嬉しそうに返事をした。

(まさか、思わずしっぽが出てしまうとは…!!)

空の見たもの、それは八重神子のしっぽであった。狐特有のもふもふしたそれは、普段は隠しているものだ。しかし、感情の昂りや幸福を感じると出てしまうのである。

(それだけ童の作った餅巾着が美味だったと言うことか…)

驚きで、慌てて引っ込めた八重神子だが、空の料理の腕、それと込められた想いを感じ取ってほくそ笑んだ。

何故ならそれは、ここ数百年で味わったことがないほどの衝撃をうけるほどであった。

(全く、いつも驚きをもたらしてくれる童じゃ…)

「八重神子?」

「あぁ、気にするな。考え事じゃ。それよりも…、

餅巾着、もうひとつ貰ってもよいか?」

「! うん!! たくさん食べてよ。」

八重神子の言葉、それに先程浮かべていた幸せそうな表情、それが嬉しくなった空は、餅巾着をよそって手渡した。

その後、またも八重神子に頼まれて、雷電将軍、もとい、影に市井おでん餅巾着多めを持っていった空は一緒に食べたのだと言う。

-END-

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