【タル空】寒氷を想う

瑶光の浜で話す空くんとタルタリヤのお話です。

最初にお迎えした時に、タルタリヤのレベル突破素材で、特産品で星螺が使われているは何でだろう…?と思っていたら、筆が走っていたお話です。

腐要素は薄めかもしれないです。

・唐突に始まる感強めのめっちゃ短いお話
・突破素材の扱い、及び、タルタリヤを知る・3のボイスついて自己解釈あり

参考資料
・タルタリヤを知る・3のボイス
・空鯨の章


瑶光の浜にて。


スタスタ
「またやってるのか??」

「ん?? …あぁ、ちょっと聞いてみたくなったんだ。」

「そうか…。」
ストン

タルタリヤと待ち合わせをしていた空は、歩きながら彼を探していた。そして、先に到着してらしく浜辺に座り込んでいるタルタリヤをようやく見つけたので、声をかけながら1人分ほどのスペースを空けて隣に座った。
タルタリヤにはとある癖があった。

それは、青空を見上げながら星螺を耳に当てて貝殻の中にある音を聞くことだった。

この星螺は、以前、空がタルタリヤに渡したものであった。強くなるために必要な素材の中のうちのひとつであるそれは、渡した本人達が自由に扱えるものであった。

例えば他にも澄明なラピスラズリや紀章、浄水の心を渡したことがあるのだが、それらはタルタリヤの神の目(正確には邪眼であるが)に吸収されて、彼の手元にはない。だが、それによって、より一層水元素の力を引き出している。

だが、どういう訳だが、特産品だけは手元に残るのだ。その為、その特産品は渡した仲間達が自由に扱えるものとなっている(現に、原素蜜などを渡したスクロースは嬉々として自身の研究に取り入れているのを見た)。そして、これまた不思議なことに、どれだけ使用して数を減らしたとしても、時間経過と共に元の状態に戻っていて、尚且つ、数も元通りになって手元に残っているのだ。

そして、タルタリヤもその例に漏れず時折こうして渡した星螺の音を海辺に近い場所でよく聞いていることがあるのだ。以前、その姿を目にしたことがあってから、時折見かけるようになった。今日は待ち合わせ場所をたまたま瑶光の浜にしたこともあって、見ることが叶ったようだ。

「スネージナヤじゃ、こんなふうに貝の音を聞くことはできないからね。」

「なるほどな…。」

それを聞いて、彼の弟であるテウセルの言葉を思い出した。璃月港の波を見たテウセルは、凍ったりしないのかと不思議そうにしていた。それを聞いて、逆に波が凍ることがあるのかと驚いたものだが、氷神が治めるスネージナヤであれば、それすら容易なのだろう。

納得すると同時に、そんな状態の海であれば、星螺はおろか他の貝殻でさえも浜辺にあるのは貴重なことなのだろう。もしかしたら、彼が強くなる為に必要な特産品が星螺な要因のひとつは、スネージナヤの海では滅多に現れない星螺を物珍しく感じているタルタリヤの気持ちを読み取っているのかもしれない…。そう空は推測した。

「それに…。」

「それに?」

タルタリヤの言葉に、改めて納得しているとひと言呟いた。それに耳を傾ければ…


「ここの空と、向こうの空は繋がっている。月光の夜空もいいけれど、晴れた空を見ながら聞いていると、テウセルは勿論、家族にも会えた気になれるんだ…。」


「…そうか。」
フィッ

その言葉を聞いた空は、つい顔を背けてしまう。何故ならタルタリヤが口にした"空"という言葉、それを紡いだ声がどこか寂しげな色を滲ませているような気がして、何だか複雑な気持ちを抱いたからだ。

(別に、俺のことを呼んだ訳じゃないのに…)

無論、彼が指すのは頭上に存在する"空"のことだ。空自身を呼んだわけではない。ただ、こうして星螺の音を聞きながら空を見上げている時や、時折故郷について言葉を溢す時、"空"と言われると何だか落ち着かないような、くすぐったいような気持ちになるのだ。

(…って、何だか、俺、自意識過剰じゃないか??)

意識してしまうと、途端に頰に熱が集まる感覚に陥る。自分が感じていることが、何だかとてつもなく羞恥を感じてきたからだ。

「?? どうしたの、空??」

「! な、何でもない…。」

「でも、何だか顔が赤くない?? 熱でもあるんじゃ…。」
スッ
ピトッ

そんな空を心配して、タルタリヤは声をかけると同時に、右手を空の額に押し当てた。どうやら空の赤くなった頰を見て熱があると思ったらしい。

「!! だ、大丈夫だ!!!」
パッ
ガバッ

「そう?」

誤魔化すように、空は額に当てられた手をやんわりと押し退けて、詰められた距離を再度引き離した。未だ心配そうにするタルタリヤに、意識を逸らしてもらう意味と彼の心配を払拭する言葉を告げる意味、その両方を兼ね備えた言葉を紡ぐ。

「それに…、

心配しなくても、テウセルもアヤックスの家族もちゃんと心は繋がっている、と思うぞ。」

「!! 空…。」

しっかりと言葉にした上で、空は言葉を投げ掛ければ、タルタリヤは少し目を見開いてから、穏やかに微笑んだ。

その様子を見た空はさらに推測する。もしかすると、家族の繋がりを感じられることができることも、特産品が星螺である理由のひとつかもしれない、と…。

(まぁ、俺の勝手な思い込みかもしれないからな…)

スッ
「俺も試してみていいか?」

「…うん。勿論だよ。」

考えを切り替えるようにすぐそばに流れ着いた星螺を拾った空は、タルタリヤと共に星螺の音に耳を傾けるのであった。

-END-


あとがき

いつも何気なく集めている突破素材や特産品は、もしかしたら、こうやってキャラの手に渡ったり、神の目に吸収されたりしているのかな〜、という自己解釈で書きました。

ちなみに、

宝石・敵ドロップ素材・秘境ボス素材→神の目に吸収される

特産品→手元に残る

という解釈です!

その中で、タルタリヤの特産品が星螺なのは、遠い故郷からどれだけ離れていても、繋がりがある海からの贈り物なのではないか、と解釈しました!!←ちょっとクサい…

あとは、タルタリヤのボイス、それに命ノ星座である"空"鯨座といった随所随所で、空くんを彷彿とさせるワードが多くて、ご馳走様です!!という気持ちも込めて書きましたww

恐らく、全キャラで1番"空"という言葉を使っていると言っても過言ではないのでは?と思いながら書きました!

ここまで読んで頂きありがとうございます!

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