ちょっとだけ、手伝ってあげようか?

原神3周年おめでとうございます!!!

それを記念したお話になります。

フォンテーヌで、水元素の力を手にしてから、まだ水元素の扱いに不慣れな空くんの特訓に付き合うタルタリヤの話です。

時系列的には、魔神任務"白露と黒潮の序詩"で再会して一度別れた後、色々とぶらぶらしていた時の最中くらいです。

・空くんが複数の元素を扱えることをタルタリヤが知っている前提のお話です

・ゲーム内の操作では、戦闘などで水元素を扱えていますが、もしかしたら、密かに練習していたのでは?というでのお話です(メタいな…)

・少年漫画の修行シーンを意識(但し曖昧)

・空くんの剣術に関することや、元素の扱い方について捏造及び自己解釈多々気味です

・囁く場面があります
その為、区別を付けるために、囁きセリフは『』で表現しています

参考資料

・黄金屋の闘いの最中のタルタリヤの一部セリフ

・空くんの釣りをしている時のボイス

・Ver.4.0で追加されたチーム編成画面のタルタリヤのポーズ(一部)




フォンテーヌ とある岸辺にて。

「ふっ……。」

短めの息を吐いてロマリタイムフラワーを見つめているのは、長い金髪を三つ編みにした少年、空である。胡座を組んで座り込んだ状態で、まっすぐに伸ばした手に何やら力を込めているような様子である。

グッ…
「んぐくっ、くっ………!!」

シュウゥゥ…

さらに、開いていた手を何かを掴むように半ば丸め込んで、ますます力を込めている。すると、それに同調するように、空中に凝縮された水分が収束しつつある。

コポッ
コポポッ

さらに、その水の塊は、空の意識に合わせて形を変えるように、少しずつ小さな水滴を表面に出している。その様子は、まるで、水の塊から花びらがひと片ひと片ずつゆっくりと生まれ出でているようであった。

(何とか、あの形になるかな…)

コポポポッ
コポン

その様子を見ながら、空は思案していく。その間にも、空中にできた水の塊は、ゆっくりと形を変えていく。その形は、先程、作り出した花びらの形から始まって、その集まり、がく、茎、といったように、徐々に水元素を当てて花開いたロマリタイムフラワーのようなものへと変わっていくようであった。

とはいえ、細かく見てみると、ところどころ形の歪みがある少々不恰好なものではあるが、空は手応えのようなものを感じていた。

(よしっ! なかなかいいぞ…)

そうして、完成を近づいていくことに手応えを感じた瞬間…

ヒョコッ
「何してるの??」

ビックゥッ!!
「うわぁっ!!??」

バシャアッ!!

急に、後ろから聞き覚えのある声をかけられたことによって、空は盛大に驚いて肩を揺らすと同時に、大声を出してしまう。

そして、空の集中していた意識が途切れた影響なのか、それと同調するように、空中で花開くロマリタイムフラワーの形を成していた水の塊は、勢い良く地面へと落ちてしまい周囲の土を濡らした。

プルプルプル…
「いきなり声を掛けるなよ…。」

クルッ

「タルタリヤッ!!」

あともう少しで………、と言ったところで邪魔をされた空は、怒りで肩を揺らしながら、後ろを振り返る。そして、声をかけてきた主の名前を思いっきり叫んだ。

「あ、あはは………。邪魔してごめんね、空??」

声の主…、メッシュの入った柔らかな茶髪に存在感ある仮面を着けた青年、タルタリヤは、眉を吊り上げて怒る空の様子に、少々控えめに言葉を紡いだ。いつもより乾いた笑いを溢して、ひと筋の冷や汗を流しながら頰を掻いている。その様子からして、流石に後ろめたさを感じているようであった。

しばらくして。

「水元素の力をコントロールする練習??」

コクリ
「あぁ、そうだ。」

落ち着きを取り戻した空は、ここで何をしていたのか、それを空から見て左隣に座り込んだタルタリヤに話していた。

それは、水元素を自由自在に扱えるようになる為に始めた練習である。

水神の国であるフォンテーヌに来た空は、七天神像に触れて、水元素の力を纏えるようになった。

今までに手にして来た風、岩、雷、草…。

どの元素の力とも違うそれは、これまでと比べて、扱いが断然難しいのだ。まだ扱えるようになってから日が浅いことも相まって、コントロールが上手くいかずもどかしい思いをしていた。

特に、水元素で既存の物の形を作り出すことに相当難儀している。

決まった形が無く万物へと変化する自由自在さを兼ね備えた水の性質故なのだろうか、戦闘中の主な攻撃法として、空中に放ったり、丸い塊を敵に向かって放出することはかろうじて出来る。

だが、それ以上の技術となると、実力に対してまだまだ伴っておらず、結果として不完全な状態であるのだ。

だが、そんな現状に納得がいかない空は、今後の旅の中で訪れるであろう危機に備えて、こうして練習をしている…、というわけである。まさに、備えあれば憂いなし、を実行中というわけだ。

しかし、それも、突然現れたタルタリヤによって、集中力が途切れてしまい練習が中途半端になってしまったわけであるが…。

(集中力も鍛えなきゃだな…)

しかし、逆に言えば、元素をコントロールする為に集中する時には、どんな状況にも左右されない精神面も必要不可欠であるということを改めて知った空は、今後の課題に追加しようと、心の中で決める。

じーーーっ

「……な、何だよ。」

そんな中で、左隣からの視線…、つまりはタルタリヤからの視線を感じて、思考を中断した空は、問いかけた。

ニコッ
「何でもないよ。」

「そうかよ…。」

どことなくおどけた表情でこちらを見つめていたタルタリヤは、見つめられていることに気付いた空が言葉をかけた瞬間、快活そうに笑いながら言葉を紡いだ。

それに対してどこかあしらうように言葉を返した空は、あまりにも飄々とした調子でタルタリヤが言葉を紡ぐものだから、次の言葉に対して反応がやや遅れてしまった。

それは…

「もし良ければ…、

俺が手伝ってあげようか?」

「えっ!?」

思ってもいなかった提案をするタルタリヤに、空は驚きの声を上げた。困惑を見せる様子から、どうやら、"何でそうなるんだ!?"と顔に書いてしまっていたらしくタルタリヤは補足するように続けて言葉を紡いだ。

「ほら。俺なら、今の空が知りたいことを伝えられるんじゃないかと思ってさ。」

シュンッ
クルクルッ、パシッ

そう言いながら、タルタリヤは瞬時に、戦闘中に使用する水刃を手慣れた様子で作り出してから、回転させた後に右手で軽快に掴んだ。

「なるほど…。」
(確かに、一理あるかもな…)

その流れるような動作を見て、空は納得の言葉を言いながら、考え込むように口元に手を当てた。

空が知り合った人物達の中で、タルタリヤは水元素で物…、特に武器を作り出す技術に長けている。それも、水刃だけでなく水槍も作り出せるのだ(さらに加えて言えば、形がカスタマイズされた水刃と水槍だ)。

まさに、今の空にとっては、これ以上にないくらい適任である。

「ねっ? 試しにやってみない?」
パッ
フッ…

そう言いながら、タルタリヤは持っていた水刃を離すと同時に消した。その手慣れた様子とコントロールの良さを改めて見た空は、なかなか上手くいかない水元素のコントロールに対して、藁にも縋りたい思いだった為に、観念したように言葉を紡いだ。

「わ、分かったよ…、

よろしく頼む。」

「うん! 空の役に立てるなら、大歓迎さ!!」
ニコニコ

改めて頼み込むのが何だか気恥ずかしくなってしまって、消え入りそうな声で答えた空である。だが、それに、気にした様子もなく嬉しくなったのか、タルタリヤはますます笑みを深くしていた。

「………で?」

「うん? 何かな??」

「何でこの体勢なんだよ!!??」

空の問いかけに、タルタリヤはとぼけたように返事をしたので、大声で抗議した。

だが、空が抗議するのも納得である。

何故なら…

座り込んだ空の後ろ、正確にいえば、やや右斜め後ろに座り込んだタルタリヤがぴったりとくっついているのである。

その上で、伸ばした空の右手に重なり合うように、タルタリヤは右手を添えている、という体勢である。

要するに、2人の距離がかなり近い状態なのである。

「だって、水元素をコントロールして、何かの形を作りたいんでしょ? なら、この体勢のほうがやりやすいかな、って思ってさ。」

「そ、そうなのか…?」

タルタリヤの言い分も一理ある。そもそも神の目の持ち主自体が、非常に少ないと言われているくらいだから、当然、指導する者となれば、ますます数も限られてくるだろう。

だから、まだ神の目を手にしたばかりの者が教えられるとしたら、このように指導されるのでは??と、タルタリヤの言葉を聞いて、空は納得してしまいそうになる。

しかし…

(でも、だからって…)

そう思おうとすればするほど、タルタリヤとの距離の近さをさらに感じてしまって、空はますます混乱してしまうのである。

「ほら…。目を閉じて集中して。」
スルッ

「!!」

まだ困惑する空を他所に、タルタリヤは耳元で囁きながら、さらに右手を重ねるように合わせてきた。半ば指を絡ませるように触れてくる仕草に、空はますます困惑する。

「っ、…分かった。」
スッ…

その感触を意識しなくてすむように、何とかして逃れようとしたい空は、言われた通りに目を閉じた。まだ羞恥心は残るものの目を閉じてしまえば幾分か気持ちは穏やかになった。

クスッ
「いい子だね…。」

ゴソゴソ…

微笑んだらしく笑みを溢すタルタリヤの吐息と優しく語りかけるような声を聞きながら、さらに近寄ったのか布擦れの音がした。

(って、これは訓練訓練…)

目を閉じた分、他の感覚が敏感になったのか、僅かな音ですら耳に届いてしまう。それに気を取られそうになりながらも、あくまでも訓練だと自分に言い聞かせながら、空は再び意識を手元へと集中させた。

シュウゥゥ…

そうして、再び空中に凝縮された水を出現させていく。

『うん。やっぱり空は手際がいいね。』

『でも、焦らないで。最初は誰だって初心者なんだ。』

『まずは、基礎になる丸い塊を作り出すんだ。』

至近距離で次々に、それでいながらゆっくりと囁かれるタルタリヤの声…。

その優しい声色は、まるで、学校の先生が生徒に優しく語りかけるように、空に指導をしてくれる。

しかし、タルタリヤの元々の声の良さも相まって、それは授業で内容を話す先生の言葉、というよりも、何故だかくすぐったさやこそばゆさが勝って、どこかむずがゆさを感じながらも、決していやではなく、むしろ心地良さを感じてしまう…。そんな代物のようであった。

しかし、長く聞いていると、何故だか分からないが戻れなくなるような…、そんなことを本能で感じ取れる気がしてきた。

(っ、気にしない、惑わされるな、集中集中…)

コポッ、コポポッ

しかし、先程のやり取りから、精神面を乱されないようにすることの重要さを学んだ空は、タルタリヤの言う通りに、集めた水を大きな塊にしていく。

『おっ、よくできてる。』

『綺麗な丸い形の水だ。」

『もしかしたら、俺が修行した時よりも、上手いんじゃないかな??』

喜びを表すように弾んだ声を出すタルタリヤは、ますます空に囁きかける。まるで自分のことのように喜びながら、空を鼓舞するように褒めてくるタルタリヤの指導のやり方に、何人も弟妹がいる兄である彼らしい一面を感じ取れる。

もし、テイワット大陸に、小学校のような機関があるとするならば、もしかすると、タルタリヤは教師に向いているのではないかと思ってしまうほどだ。

『じゃあ、次は、そこからゆっくり形を作っていこうか。』

『俺の場合は、塊から少しずつ取っていくやり方をするけど…

空はどうしたい??』

ビクッ
「!!!」

自分のやり方を空に試してもらうか。

もしくは、空のやりやすいやり方にしたほうがいいのか。

タルタリヤの声に聞き入っていた空は、そんな次なる指導をどうするか、という提案で囁いてきた声によって、ますますタルタリヤが近くなったことに気付く。

囁かれた空の右耳近くに感じられるタルタリヤの気配に、少しずつ落ち着きを取り戻しつつあった空は、再び動揺に身体を揺らしてしまう。

「え、えっと……。」

『? 空、どうしたの??』

「な、何でもない…。」

困惑して思うように言葉が出ない空に対して、疑問符を浮かべて問いかけるタルタリヤの声は相変わらず近い。しかし、動揺を悟られたくなくて、平静を装うものの、言葉を発した空の声に微かな震えとしてその動揺が現れてしまう。

そして、そんな空に構わず、タルタリヤはますます指導に熱が入ったようで………

キュッ
『ほら、

ちゃんと、俺に教えて…。』

「っ!!!!!」

左肩、より正確に言えば、マフラーを模したマントが重なり合う位置に、何かが触れる気配がする。温かいながらもしっかりとした存在感があるその感触に、恐らくタルタリヤの左手が添えられたようだと認識する。

それと同時に、ますますタルタリヤの声が近くなって、空の耳元からダイレクトに伝わってきた。

つまり、最初の状態の時よりも、タルタリヤと空は、より密着している状態といえるだろう。例えるならば、まるで、磁石のようにぴったりとくっついているようなものだ。

それも、タルタリヤの息遣い、鼓動、そして、匂いまでもが分かってしまうほどに…。

(………〜〜〜っっっ!!!)
カァァァ…

意識した途端、耳元から、まるで、火が燃え広がっていくように熱くなっていく感覚に陥った空は、それだけ羞恥を感じてしまっていることに気付いて、ますます顔が熱くなってくるような気さえしてきた。

それは、まるで、タルタリヤが囁いてきた耳元近くが導火線となって、徐々に火が巡り回るように、じわじわと熱を帯びていく。それは、空の耳元から始まって、徐々に、顔にまで広がっていくような気がしてくる。

(…も、もう、ダメだ…!!!)
ガクッ

この状況に耐えきれそうにない空は、右手を力無く下ろしてしまった。

そして、それは操っていた水の塊へと影響が出るのだった。

グァッ

「えっ??」

「えっ?」
パチッ

タルタリヤの焦ったような声に、つられて声を出した空は、ずっと閉じていた目を開けて状況を把握しようとする。光を取り込んだことによって、やや眩しさを感じながら、だんだんと光に慣れてきた視界には、少し上空に移動した今しがた作り出したであろう水の塊が、浮かんでいるのが入り込んできた。

グググッ…

さらに、水の塊は、まるで、内側に溜め込んでいた何かを出そうとしているかのように、小さく小刻みに震え出していく。

やがて…

パンッ!

盛大に弾け飛んでしまった。

バシャーン!!

ザーーー!!!

「わっ!!」

「つ、冷たっ…!!!」

当然ながら、その真下にいる2人は水を被ってしまう。雨粒のように降りかかったそれは、よく晴れた天気であることも相まって、近くに小さな虹を生み出していた。

「…ぷっ、…あははは!! 凄い勢いで弾けたね!!」

クルッ
「わ、悪い………!!!」

「大丈夫だよ。ちょうど水浴びしたかった気分だし。」

水の塊が弾けた上に、水を被ったことが何故かツボに入ったらしいタルタリヤは、水分を含んだ前髪がポタポタと水滴を垂らすのも気にせずに楽しそうに笑った。

そんな彼とは対照的に、動揺してしまった上に、水を被せてしまった罪悪感、加えて思うようにならないもどかしさに、後ろを振り向きながら、タルタリヤに謝った空は、項垂れた。

その際に、振り向いた勢いで空の左肩に移動した三つ編みにした長い金髪が、するりと重なった。濡れたことによって普段よりややボリュームを失ったそれは、空の落ち込んだ様子も相まって、まるで、ずぶ濡れになって落ち込む猫の尻尾のようである。

「それにしても、中途半端になっちゃったね…。もう一度やってみる??」

「!! だ、大丈夫だ!! 今ので、何か掴めた感じがするし…。」
スッ

スッ
「そうなの?! 流石、俺の相棒!! 飲み込みが早いね!!」
ニコニコニコ

「あぁ…。」

バックからタオルを取り出した空は、それをタルタリヤに渡しながら、彼の提案を断った。練習に付き合ってくれた上に、水を被せてしまったのに申し訳ない…、と、罪悪感を抱いていた空であるが、タオルを受け取りながら言葉を紡いだ当の本人は大して気にしていない様子であった。

その反応に対して、空は胸をほっと撫で下ろした。

何故ならば…

(あんな状況…

集中できるかっ!!)

あの状態では、集中しようにも出来ないと確信したからだ。

もし、また、先程のような状況になった場合、コントロールを失った水の塊がどうなるか分からない。万が一の可能性を考えたら、今度は水を被るだけでは済まないかもしれないだろう。

(………次は、もっと集中しよう)
スッ
ポスン

そう思いながら、空も自分の分のタオルを取り出して、頭に被って拭く。

幸いなのは、水を被ったことで熱くなった顔の熱が少しばかり引いて、タオルでそれを隠せてしまえることだろう。

(それにしても、なかなかよかったな…)
スッ
グイッ

ポスッ

こちらに背を向けて、頭に被ったタオルで髪を拭く空をちらりと見ながら、タルタリヤは、水を拭き取りやすいように仮面を外してから濡れた前髪をかき上げる。そうして、タオルを載せて拭いていく。その表情は、余程満足したのか、嬉しそうな笑みを浮かべた。

何故なら…

空の色々な表情を見れて大満足したからだ。

練習の指導を申し出たのは、少しでも空の助けになれればいいと思ったこと、それに加えて、さらに強くなった空と勝負が出来るかもしれないと思ったからだ。

空の剣術は面白い。

誰から学んだのかは分からないが、少なくとも、タルタリヤと渡り合える程の実力であることからみるに、いい師を持ったのだろう、と推測できる。

それに、元素の扱いも上手い。

複数の元素を操れることは、以前、空が話してくれていたので知っていたし、フォンテーヌを訪れると聞いてから、新たに水元素の力を纏った空と戦えるかもしれない、と密かに期待していたのだ。

それが、まさか、予想の斜め上の形で、しかも(中途半端に終わったが)指導することになるとは思いもしなかった。

しかし、元素の扱いに関して、既に上手いのに…、という旨を伝えれば、納得がいかない、と言わんばかりの空に、驕らない向上心がある姿勢にますます感心したタルタリヤは、嬉しくなってしまったあまりか、かなり距離を詰めてしまったと感じていた。

だが…

困惑しながらも素直に従う姿。

より聞こえやすいように、囁いて言った時に、華奢な身体を揺らして、震えながらも耐える姿。

そして、耳から頬、顔全体、さらには首元まで真っ赤にして震える姿…。

そんな可愛らしい空の姿に、思いがけず胸が高鳴ったことにも、タルタリヤは満足していた。

(俺だけの特権だと思ってもいいかな??)

ますます笑みを深くして思案するタルタリヤは、ふとある考えがよぎる。

空自身、もう指導はいらないようではあるが、もし、自分以外にも、元素の扱いに長けた者が現れて、指導してくれるとなったとしたら…。

ピタッ

スッ…
(…………ちょっとだけ牽制、しようかな…)

そう思った瞬間、急に胸中がモヤモヤとした気持ちに包まれた為、タオルを拭く手を止めたタルタリヤは、笑顔を浮かべる表情から急変して、真顔になった。そして、空にかけるべき言葉を考え始めた。

タルタリヤは、空が他者から指導を受けないように仕向ける言葉を考えていたが、杞憂であろう。

何故なら、今回、タルタリヤが指導(らしきもの)をしたことを思い出さないように、また、何故だか、心に秘めていたい気持ちになった空は、その後、ますます自身で練習に励むからだ。

だが、それを知らないタルタリヤは、ますますかけるべきであろう言葉を深く考えるのだった。

その後、ますます熱心に、そして、何故か時折のたうち回りながら練習する空の姿が見られたという。

-END-



後書き

改めて、原神3周年おめでとうございます!!!
めちゃくちゃ感慨深いですね…!!!
ずっと夢中にさせてくれる原神が、ずっと大好きです!!!

元素の力をよく考えてみたら、結構コントロールが難しいだろうな〜、特に水元素とか扱えるようになるまでに、練習いっぱいしそうだな…、と思い、そこから、

今までの元素と違って扱いに苦戦する空くんを指導するタルタリヤ

という、今回のお話を思いつきました!!

そして、パーソナルスペースが狭くなりがちなタルタリヤは、もしかしたら、指導に熱が入るとますます近くなるだろうし、魅惑のボイスで囁かれたら集中できないんじゃないかな…、と思って書きました!!

書いていてめちゃくちゃ楽しかったです!!!(小並感)

ここまで読んで頂きありがとうございます!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?