【タル空】温かさに包まれる

ドラゴンスパインで暖を取るタルタリヤと空くんのお話です。空くんが寒がっている様子としては、極寒ゲージMAX寸前のような感じです(メタイな…)

・空くんが猫舌設定です。
・空くん、いつもよりデレ&乙女度全開(当社比)です。

ドラゴンスパインの休憩所にて。

「うぅ…。寒い………。」
ブルブル

「大丈夫?? はい、ホットミルク作ったから。」
スッ

スッ…
「ありがとう…。」

バックから取り出したのか、ブランケットを頭から被りながら寒さに震える空に、タルタリヤはホットミルクを差し出した。それに寒さに手を震わせながらも、空は受け取るのであった。

探索に夢中になってしまっていた空は、うっかり松明などで暖かさを維持するのを怠ってしまい身体が冷えてしまった。

寒さに震えながら、休憩所を目指している途中、偶然タルタリヤと出会った。なので、こうして一緒に休憩所へと来たのである。

「まだ熱いから気を付けてね。」
スッ

「……あぁ。」

空の隣に腰を下ろしながら、タルタリヤは声をかけた。それに返事をする空であるが、まだ手をつける気配がない。

(ホットミルク、嫌いだったのかな…?)


ホットミルクを作ったのは要らぬ気遣いだったかもしれない、とタルタリヤが密かに気にしている一方で、空は静かに格闘していた。

(まだ冷める気配がないな…)

そう。

空は猫舌なのである。

霜焼けになりかけている手に、ホットミルクが入ったマグカップの温もりは、最初は熱さを感じていたが、次第にじんわりとした温かさに変化していく。

その温かさがタルタリヤの気遣いそのもののように感じて、空は内心嬉しい気持ちに溢れていた。

しかし…

スッ…
(まだ熱いな…)

近付けてみて、まだホットミルクが熱々で湯気が出ているほどだと感じた空は、懸念しながらも、いつまでも手をつけないのは不審がられてしまうので、少し傾ける。そうしてから…

フー…
フー…

熱を冷ますために、息を吹きかけた。


(あ…、空、猫舌だったのか…)

息を吹きかけ続ける空の様子を見たタルタリヤは、ホットミルクになかなか手をつけない理由を理解した。

クスッ
(良かった…)

どうやら自分の思っていたことが杞憂だったことと、空の様子が、まるで、飲みたくても熱くて飲めないので警戒しながら冷ます猫のように微笑ましいものなので、つい笑みを溢してしまう。

「手伝うよ。」
スッ

いつまでも眺めていたい気持ちがあるが、先程、空の身体に触れた時の冷たさを思い出したタルタリヤは、名残惜しい気持ちになりながら、言葉を紡ぎながら手を伸ばした。


「えっ…?」

目の前がほんの少しだけ暗くなったことと、両手に感じた温もりに、空は驚きの声を上げる。確認しようと、俯かせていた顔を上げた空であるが、後にそれがタイミングが悪かったことを知る。

何故なら…

フー………


空の両手を包み込みながら、目を伏せて、ホットミルクに息を吹きかけるタルタリヤの姿が映り込んだからだ。

タルタリヤの茶髪と空の金髪、2色の前髪があともう少しでくっついてしまいそうなほどに近い距離。

伏せられたことによって、いつもよりも鮮明に視界に映り込むタルタリヤの長い睫毛。

そして、両手に包まれたタルタリヤの大きな手と吹きかけられる息による温もり…。

(………〜〜〜〜!!!)
カァァァッッッ

それを理解した瞬間、空は顔から火が出そうになる感覚に陥った。

それは、先程まで寒さに震えていたことを忘れそうになるほどであった。

スッ
「よし、これで少しは冷めたかな…、って、空?? どうしたの??」

両手を離してから目を開けたタルタリヤは、ホットミルクの湯気が少し収まっていることを確認した。そして、空の様子を見ようとするが、何やら固まっている様子なので、声をかける。

ハッ
「な、何でもないっ! 冷ましてくれてありがとう…。」

「うん。どういたしまして。」

(………ブランケット、被っていて良かった…)

タルタリヤの言葉に、固まっていた空は慌てて言葉を紡ぐ。それに、返答したタルタリヤの様子を見て顔が赤くなっていることを見られていないことを悟った空は、内心安堵した。どうやら、頭から被ったブランケットが影になって、空の赤くなった顔に影を落としてくれたようだ。

コクッ
(美味しい…、温かい………)

ようやく味わえたホットミルクは、程よい温かさになっていて、冷えた身体にじんわりとした温かさが広がっていくような感覚になる。

だが、それ以上に、胸の奥底が、充分過ぎるほどに温まった気持ちになる空であった。

-END-

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