【タル空】掴むその温もり
タルタリヤに腕を引かれないように警戒をする空くんのお話です。
ふと、書いていたタル空小説を読み返してみたら、私が書く小説は、大体腕引っ張りがちだな…と思ったので、別の展開を書いてみたくなりましたww←
「………空。何で腕組みをしたままなの?」
「気にするな。」
「そう?」
タルタリヤの疑問も尤もである。何故なら空は、話している合間もずっと腕組みをした状態なのだ。
しかし、これには、訳があった。
それは…
タルタリヤに、腕を取られないようにする為である。
まるで、忍者、あるいは刺客、そうした生業の者が、とても警戒をしているような言い回しであるが、空にとってはとても重要なことなのである。
というのも、タルタリヤと知り合ってからは、ことあるごとに腕を取られてしまいがちなのだ。
それは、空にとっては、力や経験の差を見せつけられているようであり何だか悔しい気がしてならないのだ。何より…
(は、恥ずかしいし…)
1番の理由としては、それが大きい。
空自身、変な部分でそそっかしい(所謂、ドジッ子であるが、空自身、心当たりがありながらも認めたくはないようだ)ところがあるので、一概には言えない。
そして、思いついたのが、腕を組めばタルタリヤに腕を取られずに済む、という案であった。
(こうすれば、タルタリヤだって…)
「やっぱり、危ないから腕を降ろしたほうが…。」
クルッ
「これくらい大丈…。」
ガッ
「わ、わわっ!!」
グラッ
「! 空!!」
タルタリヤの言葉に、身体ごと振り向いた空は、踵に感じる硬い感触につまづいた。転ばぬ先の杖、ということを見事に体現するかのように石につまづいた空は、バランスを崩した。タルタリヤの慌てた声と共に、地面にぶつかる衝撃を覚悟する空である。
だが…
(? 痛く……ない??)
いつまで経っても来ない衝撃に恐る恐る目を開ければ…
「ふぅ、大丈夫だった? 空??」
心配そうにこちらを見つめるタルタリヤの顔が視界いっぱいに映り込んだ。
(!!! ち、ちか………!!!)
「だ、大丈夫だ………!!」
グイッ
(!!??)
「そんなこと言って、また転ばない??」
腰あたりに感じる手の感触と引き寄せられる感覚から、どうやら、タルタリヤが咄嗟に空の腰を掴んだことを察知した。
カァァァッ
(〜〜〜っっ、こ、こっちのほうがよっぽど恥ずかしいっっ………!!!)
「こ、転ばないっ!! だから、手を離せ……!!」
まるで、ダンスをする男女のような体勢になっていることに徐々に顔を真っ赤に染め上げていく空は、その顔を見られないように必死に顔を背けながら、両手を伸ばして、抗議する。その様子は、まるで抱っこを拒否する猫のようである。
「えぇ〜? どうしようかな〜??」
ニヤニヤ
(何で楽しそうなんだよ!?)
声からして、楽しそうなタルタリヤに内心抗議する空は、今後は、腕を組んで歩かないように、ましてや転ばないように気を付けよう、と誓うのだった。
-END-
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