【タル空】まどろみの中で…

眠気を堪える空くんのお話です。


塵歌壺内の邸宅。

そのリビングにて。

カサッ
「……じゃあ、次は、この素材を………集めたいん、だ……。」

「うん。分かった。」

次に集める素材について、空は手に持つ紙に書かれたことをタルタリヤに説明していた。それに頷きながら、彼は楽しみでたまらない、という表情をしていた。

「空と一緒に行けるなんて、楽しみで仕方ないよ!!」

「………そうかよ…。」

(それにしても、眠い………)
うつら、うつら

タルタリヤの声を聞きながら、空は船を漕いでいた。というのも、ここ最近は素材集めに奮闘していて、この素材が集まり次第、次はこの素材を集める…、というようなスタイルになっていたからだ。

「空…、眠そうだけど、大丈夫??」

ハッ
「大丈夫だ!」
パンッ!
キリッ

タルタリヤの声に、我に帰った空は眠気覚ましをするように、自分の両頬を叩いて気合いを入れてから佇まいを直した。

「本当に? 無理してないならいいけど…。」

「あぁ、大丈夫だ!」

「それなら良かった。じゃあ、ここなんだけど…。」

心配そうにするタルタリヤに、何でもないように振る舞った空は、続きを再開しようと促す。そんな空に感心したように笑みを浮かべたタルタリヤは、作戦について話し出した。

(……タルタリヤの声、聞いてると、安心…するな………)

言葉を紡ぐタルタリヤの声は、まるで優しい調べを奏でるハープのようであり、眠気を吹き飛ばす為に気合いを入れたはずの空に、再び睡魔が襲いかかってくる。

(……ちゃんと、………起き、て………ない、と…………)

懸命に抗う空であったが、しだいにその意識は、霞がかかったようにぼんやりとしてくる。

やがて………

「………という感じでいきたいんだけど…。」

ぽすん

「? 空??」

話していたタルタリヤは、右肩に寄りかかる重みに、視線を送る。

そこには…

スゥ………、スゥ………

寄りかかって寝息を立てる空の姿が映り込んだ。

クスッ
「……眠そうにしていたもんね。」

安らかな寝息と安心しきったように眠る空の様子に、タルタリヤは慈しむように笑みを浮かべた。先程まで、まるで、懸命に眠気に耐える子猫のように眠気と格闘していた姿を見ていただけに、完全に夢の中に落ちているその様子を見て、微笑ましさを感じずにはいられないからだ。

スッ

ナデ…

「いつも頑張っていて、偉いね。

おやすみ………。」

そっと空の頭に右手を乗せて、優しくひと撫でした後、タルタリヤもそう言葉をかけた。そして、つられるように次第に眠りの世界に誘われていった。

そうして、2人は肩を寄せ合うようにして眠ったという。

その後、目を覚ました空が、タルタリヤの肩に寄りかかっていたことに驚いて叫び声を上げ、それを聞いたタルタリヤも飛び起きたという。

-END-


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