君はもっとたくさん食べたほうがいい

月一でアルハイゼンが肉系統の料理をカーヴェに振る舞うお話です。

カーヴェのキービジュアルイラストを見て、

細っっっ………!!
ちゃんと食べてる…??

となって思いついたお話です。

時系列的に、アルハイゼンの伝説任務、隼の章の後くらいです。

※魔神任務 スメール編 第5幕終盤でのアルハイゼンとカーヴェのやり取りの部分を参考にした部分があり、若干ではありますがネタバレが含まれます。

少しでもネタバレを避けたい方は、閲覧を避けてください。

※未実装キャラであるカーヴェについて、性格、嗜好、持ち物事情や最近の悩み、さらにはアルハイゼンとカーヴェのルームシェア事情など、参考資料を元に私なりに分析及び自己解釈した捏造成分加味でしかないので、温かい目で見守ってください…←

参考資料

・カーヴェのキービジュアルイラスト

・魔神任務 スメール編 第5幕終盤
スメールにある掲示板
アルハイゼンの伝説任務 隼の章

などのアルハイゼンとカーヴェのやり取り

・アルハイゼンを始めとする各スメールキャラのアルハイゼンとカーヴェについてのボイス

・お酒を飲むと空腹になる原理について

https://www.reborn.co.jp/column/entry/post-121/



アルハイゼンの家にて。

ガチャッ

「ただいま。」

パッ
「あぁ、おかえり。夕飯はもうできているぞ。」
スッ…

ドアを開けたことによって、毛先に黒が混じるシャンパンゴールドの髪と向かって右側の髪に挿された翡翠色の羽根を揺らしたカーヴェを出迎えたのは、テーブルに所狭しと並べられた肉系統の料理だ。作りたてであるのか、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐった。

同時にカーヴェへと挨拶をする為に顔を上げていたアルハイゼンも出迎える。銀灰色のメッシュが混じるカデットグレー、さらにはエメラルドグリーンのインナーカラーが特徴的の髪は、左側の前髪がやや長めであり、その奥と右側の前髪がかかっていない両目から視線を送っている。そして、挨拶したことに満足したのか、再び本へと戻した。

(……そうだった、今日はその日だったか…)

「分かった。ちょっと待っていてくれよ。」
スタスタ

その様子に少し拍子抜けをすると同時に、納得したカーヴェは、ひと声かけてから持っていた重そうなカバンを持って家の奥へと歩いていく。カバンを部屋に置く為と手洗いうがいをする為だ。

本日は、アルハイゼンが月一で豪勢な肉系統の料理を振る舞う日である。

いつ頃から始まったのかは定かではないが、カーヴェがアルハイゼンの家にてルームシェア(という名の居候)をするようになってから、いつの間にか定着した恒例行事でもある。

キュッ
(毎月毎月、律儀にやっているな…)
フキフキ

蛇口を閉めた後に、タオルで手を拭きながらカーヴェは思案する。どんなきっかけで思いついたのかは分からないが、常人とは少し離れたところから思考すること、それがアルハイゼンだと理解してからは、深く考えないようにしている。

そうすることこそが、こちらが最も腑に落ちることだと理解してからはあまり考えないようにすることにした。

しかし、初めて肉系統の料理を振る舞った日のアルハイゼンの言葉は、否応にも思い出せる。

それは、カーヴェが疲れて帰った日のことだった。

疲れてクタクタになったカーヴェを出迎えたのは、今日のように、テーブルに所狭しと並べられた肉系統の料理とその傍で仁王立ちするアルハイゼンの姿であった。

何故か仁王立ち状態のアルハイゼンに気圧されながらも、黙ったままのアルハイゼンに疲れていたことも相まってやや苛立ちを覚えながら尋ねた。すると、彼は唐突に口を開いてこう言ったのだ。

"只でさえ君は頼りないんだから、もっと食べろ"

そう告げられた時は、一瞬、何を言っているのか理解するのに多少の時間を要した。

そして、理解した瞬間…

"君ってやつは……! 大きなお世話だっ!!"

と、苛立ちも相まって言葉を荒げたのだが、それと同時に、盛大に鳴った腹の虫にしばしフリーズしたことを覚えている。

途端に、怒り以上に恥ずかしさで顔から火が出そうになったカーヴェだが、そんな様子を指摘するでもなく、アルハイゼンは静かな動作で肉系統の料理を皿によそって

"腹が減っているから怒りやすいんだ。だから、食べるといい"

と言いながら差し出してきたので、まだ冷めぬ怒りと羞恥を感じながら受け取ったカーヴェは、折角作ってくれたのだから…と、手洗いうがいをしてから食べたのだ。

その時の料理の味は、疲れていた身体に染み渡るような美味しさであった。それだけカーヴェが疲れていた証拠であり身体がエネルギーを欲していたのだろう。何よりあのアルハイゼンが料理をした、ということが何より驚きであった。

それ以来、月に一度の間隔で、肉系統の料理を出されているので、それを食べているのである。

スタスタ
(今日は、どんな料理があるんだ?)
ワクワク

洗面台から歩いてリビングに向かいながら、カーヴェは胸を踊らせていた。密かに出される肉系統の料理を楽しみにしているのもまた事実であるからだ。

ガチャ

「戻ったよ。」

「あぁ。待っていた。」

うきうきとした気持ちのカーヴェを寸分違わず同じ位置で本を読むアルハイゼンが出迎えた。

「今日は、旅人から教わった異国の料理もある。」

「!! あのお友達からなのかい??」

「あぁ。」

アルハイゼンの言葉を聞いて、不思議な妖精、パイモン、それに、パイモンを連れた旅人の少年、空、この2人を思い浮かべた。

2人は、どうやら間接的にカーヴェのことを知っているみたいだった。だが、それを全く知らなかったカーヴェは、ただただ焦るばかりだった。あの時は、教令院に自身の場所がバレたのではないかと本気で焦ったものだ。

さらに、招いた張本人であるアルハイゼンが放ったらかす、という事態を引き起こしてしまったので、3人共に困惑することになった。幸いにも、こうした不測の事態には慣れているのか、ぎこちないながらも2人共に会話し合うことはできたので、そこまで困ることはなかった。

最終的に、その後のやり取りからやはり2人はアルハイゼンの知り合いである、ということが分かったので、少し苛立ちを感じながらも緊張は解けたものだ。

そんな空達から教えてもらったらしい異国の肉系統の料理と聞いて見渡せば、確かにいつもとは違う料理がいくつかある。しかも彩り豊かな料理ばかりである。建築や家具だけに留まらず料理にも味以上に、客観的な芸術性を求めるカーヴェにとっては喜ばしいことであり、尚更目を輝かせるのであった。

「あのお友達には感謝しないとな!」
ニコニコ

先程よりもにこやかな笑みを浮かべるカーヴェに、ほんの少しだけ眉を顰めたアルハイゼンは口を動かした。

「そうだな。それ以上頼りなくなったら、その一張羅も着られなくなるだろうからな。」

バッ
「どうしてそれを…!?」

アルハイゼンの言葉に、カーヴェは戦慄しながら思わずお腹あたりを抑えた。その言葉は、図星でしかなかったからだ。

実は、カーヴェは、以前に着ていた服が緩くなってしまって、着られずにいる、というのが最近の悩みであるからだ。

借金してからは、少しでも借金の足しになるように…、と質に入れられるものは質に入れたことがあり、その中には、衣服などの装飾品も含まれていた。そんな経緯もあって、カーヴェの持ち物の中でも、その数は極端に少ないのだ。

その上、以前と変わらない生活を送っているはずなのに、その数少ない衣服に袖を通した瞬間、サイズが緩くなって着られなくなっていたのだ。

だが、それはカーヴェの思い込みによるものであり、実際は借金をしてしまったことによる金銭面での工面などの苦労や心労によるやつれ、ルームシェアを始めたばかりの時のアルハイゼンとの大小あれどもの衝突、さらには、彼自身の食事スタイルが少ない量でも事足りることと、すぐに酔っぱらうために少量ではあるが酒を飲むことに重きを置いていることなど、元々の彼の食生活に加えて、彼を取り巻く生活環境の変化が、少なからずカーヴェの体型に影響を及ぼした結果であると言えるだろう。

そんなカーヴェの自覚の有無はさておいて、そういった事情もあって、唯一残った服、つまり今着ている服も、かろうじてサイズが合っている状態であり、腰巻きでなんとか上げて着ているのだ。もし、この服さえも着られなくなったら、アルハイゼンが言うように何も着られるものが無くなる…。文字通りの一張羅である。

建築家気質故なのか、自分自身を着飾ることよりも、建築や家具などの客観的な芸術性とロマンを求めるカーヴェにとっては、自身の服や装飾に対しては頓着があまりない。借金の足しに質に入れるものの選択肢の中に、衣服などの装飾品を選択したのも、その価値観故である。

もし、この場に第三者がいるのであれば、カーヴェのその考えと、彼が今着ている服を見ると意外に思われるかもしれない。だが、そもそもこの服も、まだ借金をする前に、比較的懐に余裕があったときに購入したものだ。

(誰にも言ったことが無かったのに…!?)

「以前に酒を飲んだ時に言っていたぞ。」

スッ
(ま、また僕はやらかしてしまったのか…!)

そんな事情を見抜かれた上に、話したことがは無かったはずだ…、と百面相をしているカーヴェの様子から、まるで思考を読み取ったかのように、アルハイゼンは添えるような言葉を付け加えた。それに、お腹から手を離したカーヴェは、今度は頭を抱えるのだった。

「まぁ、君の酒癖は置いといて、食べるといい。」
スッ

それ以上、追求するでもなくアルハイゼンは椅子に座るよう促した。最初に肉系統の料理を振る舞ってくれた時に、怒った気持ちだと食べる気が失せる、とカーヴェが言ったことを気にしているのか、それ以来、アルハイゼンは、この時にはいつも以上に口を挟まなくなるのだ。

スッ
(いつもこうならいいのに…)
ストン

頭から手を離して座りながら、内心でひとりごちたカーヴェは、目の前に並べられた肉系統の料理から発せられる芳醇な香りに自然と喉を鳴らした。

(………料理に罪はないからな)
カチャ

モグモグ
パァッ

(美味しい…!!)

そうして、フォークを手にしたカーヴェは、取り分けて食べると、その美味しさに目を輝かせるのだった。

(ようやく食べ出したな…)

やっと食べ出したカーヴェの様子から、まるで警戒心を出しながらも空腹に耐えられずに食べる動物を連想しながら、アルハイゼンはその姿を見つめる。

それを見ながら、アルハイゼンはこうして肉系統の料理をカーヴェに振る舞うようになったきっかけを思案していく。

ルームシェアを始めて間もない頃、何気なく掴んだカーヴェの手首の華奢さに、大層驚いたことを鮮明に思い出すことができる。具体的に言うと、手首を掴んだらアルハイゼンの親指と中指どころか、親指と人差し指でさえも余裕で届いたくらいであった。

そんな頼りなさを感じるほどのカーヴェの華奢さに、アルハイゼンは思わず目を見開いて固まって思考停止したものだ。そして、それ以上に、彼が今まで苦労を積み重ねてきたことを察して以来、こうして、月に一度の頻度で肉系統の料理を大量に振る舞っているのだ。

しかし…

(以前とあまり変わらないのは、何故だ…?)

アルハイゼンの疑問も尤もである。

何しろ肉系統の料理を振る舞うようになってから、幾月か過ごしてきたはずだが、カーヴェの華奢さは、依然として変わらないままであるからだ。

しかし、アルハイゼンにも心当たりがある。

それは…

(酒は飲むのに、食べないからな…)

そう。

カーヴェは酒を飲む機会は多いものの、大量には飲めない。おまけに、少量のお酒ですぐに酔っぱらってしまうが故に、"アルコールを摂取することによって、空腹になって食欲が増す"ということが滅多にないのだ。

まず、何故酒を飲むと空腹になるのか。

そのメカニズムは、酒を飲むとカロリーではなくエネルギーとして優先的に使用されるメカニズム、所謂エンプティカロリーと呼ばれるものが関係している。

要するに酒を飲みすぎた結果、脳が一種の麻痺状態となり、空腹であると錯覚させやすくなるのだ。

だが、そもそも飲む量が少ないカーヴェには関係ない話である。さらに言えば、建築家という職業柄、力仕事も担う場合があり必然的にカロリーが消費されていることになる。彼の仕事道具でもある重そうなカバンを軽々と持てるのもそれが理由だ。

このことから、アルハイゼンは、カーヴェの華奢さに対して、彼の食事量やカロリーの消費量に関しては"食べる以上に動いている上に、酒を飲んでも少量なので空腹状態になりにくいタイプ"に入る、と分析している。

より分かりやすく言えば、よく食欲旺盛な者がやってしまいがちである"動く以上に食べてしまう"という所謂カロリーオーバーな状態とは真逆な状態だと言える。

(だが、俺にとってはちょうどいい)

しかし、アルハイゼンにとっては、むしろ好都合である。確かに、驚きはしたもののアルハイゼン自体も食にあまり執着しないタイプだからだ。せいぜい本を読みながら食べるのに適さないからスープなどの汁気がある食べ物が嫌いなことくらいだ。

アルハイゼンの読書の癖により置かれたままの本や家具の彩りに関してなど、そんな口論はままあるものの、食に関することで言い争いになったことはほとんどない。

無論、味の好みや見栄えや出来などの差異はあるが、それに関して激しい口論になった記憶は、アルハイゼンが知る限りはない。

恐らくは、お互い食に対する根本的な部分が似通っているのだろう。それに、アルハイゼンは読書に、カーヴェは建築関連になると、つい没頭して、食事が疎かになることがある。そのことも、2人の共通点である、とアルハイゼンは考えておりそれ故に、それに関して、言い争いに発展しそうになったことはほとんどないのだ。

(本人は言わないがな…)

そこまで考えて、ふと、ルームシェアを始める前に訪れた少しふらついていた様子のカーヴェを思い出す。聞いてみれば、どうやら借金をしてからは、削れるところを削ろうと思って、食費を削っていたらしい。

そこで、さらに連想するのは、大先輩(と呼ぶがいいと、本人は言っている)にあたるファルザンが、経費が手に入ったら、カーヴェにご馳走したいと決めているが、なかなかできない、という話を聞いたことだ。

ここまでくると、カーヴェの所属する妙論派は、金銭に恵まれない者が集まりやすいのか、と錯覚してしまうほどである。

(これも、今は言わないほうがいいな…)

そう思考に耽りながら、アルハイゼンは密かに反省する。それは、先程のことも含めて、である。

空とパイモンの名前を出した途端に、喜色満面の笑みを浮かべていたこと。

その反応が、まるで、アルハイゼンの用意した料理は食べ飽きた、とも見て取れる反応だったこと。

そのことが、何だか少し腹立たしい気持ちになってしまい意地の悪いことを言ってしまった。食事の満足度には、感情も大きく関わる、ということを知ってからは、控えているつもりだったが、つい出てしまった。これでは意味がないのだ。

何しろ…

カーヴェには、もっと食べて体調は万全でいて欲しいからだ。

それに、せめて標準体型ほどになれば、こちらも気を揉むことが無くなるだろうし、何より安心できるからだ。

ガタッ
スッ
(少しでも栄養になればいいが…)
ジッ

そう思いながら、カーヴェの向かいの席に腰を下ろしたアルハイゼンは、食べる様子を見つめるのだった。

ジト…
「………そんなに見られると食べ辛いんだけど。」

「ん? 気にしないでくれ。」

「というか、君は食べないのか??」

いつの間にか、向かいの席に座ってこちらを観察するように見つめてくるアルハイゼンに、抗議するような視線を送る。まるで、監視されながら食べている気分になったからだ。そうして言葉を紡ぐカーヴェの口元には、食べかすがついている。

(ついているな…)
スッ

ビクッ
「な、何だい………。」

不意に指を近付けてきたアルハイゼンに、驚いたカーヴェは身体を揺らすが、それに構わずに、アルハイゼンの指先は口元へ触れるか触れないか、そんな絶妙な距離まで近付く。

そして…

スッ
「君が食べている姿を見れればそれでいい。」

そうして、カーヴェの口元を拭いながら、アルハイゼンは言葉を紡いだ。

その表情は、心なしか綻んでいるように見えた。

「なっ、えっ…、えぇっ…??!!」
ガタッ

スッ
「急に立ち上がってどうしたんだ。」

アルハイゼンの突然の行動と表情、その両方に狼狽えるあまりに、立ち上がったカーヴェを気にせずに、カーヴェの口元から指を離した後に、口元についていた食べかすを拭うアルハイゼンは、何ともない風であった。

その表情は、いつもの仏頂面に戻っていて、先程見たのは幻覚だったのかと思うほどであった。

「だ、だって、君………!! 今……!!!」

「?」

「い、いや。何でもない…。」
スッ

(アルハイゼンが突拍子もないのはいつものことだ…)

全く気にした様子がないアルハイゼンと、騒いでいる自身との差にまだ納得がいかないながらも、気にしないことにしたカーヴェは座り直した。

「それよりも、まだあるんだから、食べるといい。」

「君が作ったんだから、少しは食べるべきだとも思うが?」

「………それもそうだな。」
カチャ

パクッ
(…………美味しいな)

アルハイゼンがフォークを取ったのを目にしたカーヴェは、食べるのを再開して、その味を改めて噛み締めた。

そうして、2人は料理を食べ進めるのであった。

-END-


あとがき兼補足説明的な何か

カーヴェのキービジュアルイラストを見て、あまりの細さに心配及び大興奮した(おい)勢いで、筆が走っていました…!

また、同時に、纏っている服、特に腰元辺りに巻いているベルト代わりの腰巻き(で合ってるはず…←)で、ズボンがずり落ちないようにめっちゃ上げているように見えたのと、酒飲みなイメージがあるカーヴェに、食事、というのがいまいち想像できないことから、このお話を思いつきました…!!

借金をして、アルハイゼンの家に住むようになってからは、借金返済や酒を飲むこと以外だと、そのお人好しな性質故に、失業した人にモラを渡したり、医療系統の詐欺に遭ったりしている(もしかしたら、ルームシェアとしてアルハイゼンにモラを渡している可能性も考えました…!)ので、そういったことに金銭を使うカーヴェに、果たして身を着飾る余裕があるのかと疑問に感じました。

このことから、もしかしたら、今着ている服以降は、服を買っていないだろうし、件の食生活も相まって、前に着ていた服は、緩くなってサイズが合わない可能性があるかもしれない…!?

と自己解釈した後に、アルハイゼンに肉系統の料理を振る舞って欲しいな、と思って以降は、勢いで完成で書きました!

その他にも色々な妄想と自己解釈と捏造を詰め込んだお話でしたが、ここまで読んで頂きありがとうございます!

おまけも用意しましたので、よろしければどうぞ!!


おまけ

思わずフリーズしました

アルハイゼンとカーヴェがルームシェアを始めて間もない頃です。

ボスッ
「…っと、これで全部だ。」
フゥ

「随分と少ないんだな。」

「これくらいで充分さ。」

「そうか。」

アルハイゼン宅にて、持ってきた荷物を床に下ろしたカーヴェは一息ついた。その少なさに拍子抜けしたアルハイゼンは口を開いたが、あっさりとしたカーヴェの返答に納得することにした。

「さて、どこに運ぶかな…。」
ガッ

「って、うわっ!?」
グラッ

荷物をどこに運ぶかを考えながら動いたせいか、足元が疎かになったカーヴェは荷物につまづいた。

「!!」
シュンッ

ガシッ

そんな体勢を崩したカーヴェに、素早く駆け寄ったアルハイゼンは彼の手首を掴んだ。

「!!」

「あ、ありがとう…。」

お礼を言うカーヴェである。が…

「………。」

カーヴェの手首を掴んだまま、何故か、アルハイゼンは、掴んだ手首を見つめて目を見開いたまま硬直してしまっていた。

(どうしたんだろうか…?)

スッ
「………あまりウロウロされては困る。」
ヒョイッ

スタスタ

ようやく離したアルハイゼンは、カーヴェの仕事道具の入ったカバンを始めとする荷物を持って歩き出してしまう。

「あっ、ちょっと待ってくれよ…!」

ピタッ

それに困惑しながら、抗議するカーヴェの声を聞いてアルハイゼンは立ち止まる。

そして…

クルッ

「君の部屋はもう決めてある。だから、勝手に動き回るな。」

スッ

スタスタ

振り向いてから言葉を紡いだアルハイゼンは、そう言って奥へと歩き出してしまった。

「〜〜っっ、あぁ、そうかい! 動き回って悪かったね!!!」
プイッ

だんだん腹立たしい気持ちになったカーヴェは、その背に向かって声を張り上げるようにして言い放った後に、そっぽを向くのだった。

スタスタスタ
(……今度は、肉料理を振る舞おう)

一方で、見た目からして重そうなカバン、その重さとそれをカーヴェが持ってきた事実に対しても内心驚くアルハイゼンは、運びながらそんなことを考えていた。

-END-

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