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団長様、こんな髪型はいかがでしょう?

ジン団長、誕生日おめでとうございます!!
また遅らせながらオルタコスチューム実装もおめでとうございます!!
その記念も兼ねてのお話です。
※書いた当時

とある漫画で、ポニーテール頭痛という言葉を見かけて突発的に思いついたネタです。ポニーテール、と言ったら、ジン団長!となったのと、そんな頭痛あるのか…!!と戦慄しながら書きました!!

ジン団長やバーバラたんには、もっと姉妹らしいことをして欲しいな…、と言う願望込みので書きました。

また、西風騎士団での真の愛されキャラが誰なのか…?
それを考えた時、個人的に真っ先にジン団長が思い浮かんだのでそれも込めてのお話です。

・全体的に弊ワット設定
・ジン団長の髪型変更描写あり
・バーバラたんが(ジン団長限定で)策士
・たまにボケちゃう空くん降臨中
・空くんは、三つ編み系統の髪型が得意な設定

参考資料
・伝説任務 仔獅子の章

※初出 2022年3月14日
(日にちがちょうどよかったので、本日投稿させていただきます)


トントン
ガチャ
「ジン団長〜。渡したいものが…って、あれ?」

「栄誉騎士! それに、パイモンも。」

「こんにちは! 何か用事?」

「あれ? バーバラも居るのか?」

騎士団長室にて。

用事があって訪ねた空とパイモンを迎えたのは、髪を解いたジンとそれを弄るバーバラの姿であった。普段のジンは、淡いミルキーベージュ色の先端が少しウェーブかかった髪を黒いリボンでポニーテールに結んでいるので、髪を下ろしたその姿は何だか新鮮であった。

お互いに挨拶をした後で、2人が居て尚且つ何かをしている不思議な状況にパイモンは疑問を投げかけた。

「あぁ。実は、バーバラの髪型研究の最中なんだ。」

「「髪型研究?」」

「うん! おね…、こほん。ジン団長の髪で色々な髪型を試しているんだ!」

ジンの言った言葉を揃って首を傾げながら、空とパイモンはそのままおうむ返しに言った。そんな2人に説明を始めるバーバラは、反射的にジンとよく似た淡いミルキーベージュ色のツインテールに括った髪を少しだけいじった(慌てて言い直していたが、バーバラのそれはいつものことなので、空とパイモンは気にしなかった)。

祈祷師兼アイドルとして活躍するバーバラは人の目に触れる機会が多い。その一環として髪型を研究することにしたのだと言う。無論、いつもの髪型も似合っているし、自分の髪でも弄れる程の髪量はある。だが、客観的に見るのも必要不可欠なのである。しかし、頼める人がなかなか居らず、バーバラは困っていた。

そこで、名乗りを挙げたのが我らが西風騎士団の団長、ジンであった。

お互いの仕事に支障が出ない範囲であれば弄ってもいい、ということで、ジンも容認している。さらに条件をつけてもいいのなら…、ということで2人は了承したようだ。その条件とは…

ひとつ。仕事の合間や休憩の時にすること。
ふたつ。非常事態に備えて、動きやすさ重視の髪型にすること。
そして、みっつ。あらゆる髪型を試すこと。

これを条件にしたらしい。

「それにね、前に雑誌で、ポニーテール頭痛、っていうのがあるのを知ったんだ。」

「ポニーテール頭痛??」

「あぁ! いつも同じ場所で結んだりしているとなるやつか。」

バーバラの言葉に、今度はパイモンだけ首を傾げた。それとは対照的に、納得したように空は言葉を紡いだ。空の言うように、"ポニーテール頭痛"とは、いつも同じ場所で髪を結んでいると起きやすいものである。結んでいる部分が、髪と頭皮、そのふたつが引っ張られてしまうので、頭痛になりやすいらしい。

「流石、栄誉騎士! 色々なことを知ってるんだね。」

「知ってるのか?!」

「あぁ。それで、みっつめの条件にも納得したよ。」

感心するバーバラと驚くパイモンに構わずに空は1人納得していた。みっつめの条件の意図が分からなかったのだが、"ポニーテール頭痛"対策の一環というものであれば納得がいく。

バーバラが"アイドル"の単語を知るきっかけにもなった雑誌の別の号に、その"ポニーテール頭痛"の記事を見かけて、真っ先にジンのことを思い浮かべたらしい。

というのも、ジンは、以前、無理をしすぎて倒れたことがあったのだ。その事態には空も遭遇したのでよく覚えている。それと、"ポニーテール頭痛"を照らし合わせた空は察した。どうやら、髪型研究以外にも、ジンの体調を気遣い、かつ無理をしすぎていないか監視する目的も含めているようだ。

「ところで、栄誉騎士とパイモンはどんな用事で来たんだ??」

「あぁ! そうだった!」

「実は、いい感じの翠緑の影シリーズの花が取れたから、渡そうと思ってさ。」
スッ

「わざわざすまないな。感謝する」

バーバラに髪を弄られながら、ジンは空とパイモンに尋ねた。その言葉に目的を思い出した空は、翠緑の影シリーズの花を差し出した。先日、秘境でいい塩梅のもの、それも神ジンに合うものを取れたので渡しに来たのだ。

「!!」
ピーン!

「バーバラ?」

「ちょっと栄誉騎士とお話してくるから待ってて!」
クイッ
「わっ。」

タタッ
ガチャ

「あ、あぁ。分かった…。」

「んん? バーバラ、どうしたんだ??」

「さぁ、私にも分からない…。」

空の手にした花を見て、何を閃いたバーバラは、その手を引っ張って廊下へと去っていった。その様子に、ジンとパイモンは疑問符を浮かべていた。

廊下にて。

「バーバラ、どうしたんだ??」

バーバラの急な行動に、空が疑問符を浮かべていると、手を取ったままバーバラは問いかけた。

「栄誉騎士…、

髪をいじるのは得意?」

心配そうに、だが期待を込めているようなバーバラの瞳を見て、尋ねられた空は、瞳を丸くする。だが、程なく意図を理解して…

パッ
フッ
「三つ編み系統なら…

大得意だぞ。」
スチャッ
キリッ

手をやんわりと離してもらって、バーバラに背を向けるように身体を半左回転させた空は、止まると同時に左手で自身の三つ編みを指差しながら得意げな顔をした。そして、どこから取り出したのか櫛を取り出した。

パァッ
「それなら、協力して欲しいんだけど…。」

空の様子に関して特にツッコミを入れず笑顔を浮かべたバーバラは、相談事をするように空の耳元ヘある提案を囁いた。

「は、派手すぎやしないだろうか…?

「大丈夫! 凄く良く似合ってるよ!! 」

「そ、そうだろうか…??」

それから戻ってきた2人によって、ジンはハーフアップに編み込まれた髪型になっていた。かなり細かく編み込まれたそれは、所謂フィッシュボーン、と呼ばれるものであった。それを普段より細めの黒いリボンで括られていて、とてもよく似合っていた。髪を下ろしているからこそ分かる先端が少しウェーブがかっているジンの髪と、その髪型は相性抜群であった。

バーバラの持っている手鏡でそれを確認したジンは、とても照れている。だが、口元は笑みを浮かべているので、本心は嬉しいのであろう。それがバーバラの言葉によってますます笑みを深くしているように見える。

「それでね…。」
ゴソゴソ

「? どうしたんだ??」

「この花をつけて欲しいの!!」
パッ

「バーバラ…! これは…!!」

そう言ったバーバラが懐から取り出したのは、愛される少女シリーズの薔薇の花であった。薄ピンク色の可愛らしい色合いのもので、幾重にも重なった花びらは、まるでドレスの裾のようでもある。

「し、しかし、バーバラの聖遺物を借りるのは申し訳ないし…。」

「あ、予備のだから大丈夫だよ!!」

「だ、だが…。」

両手で包み込むような手つきで、愛される少女シリーズの花を見せながらバーバラは懇願する。だが、戸惑いが強いジンは、しどろもどろになる。後押しするように付け加えるバーバラの言葉、それにジンはたじたじである。本音をいえば、一度は着けてみたいと思っているのだ。

しかし、こんなに可憐な花はバーバラのような守ってあげたくなるような気持ちを抱く子が着けるのであって、自分には似合わない、とジンは自負していた(無論、そんなことは一切無い、と西風騎士団のメンバーは口を揃えて言うだろう)。何とか打開策がないか思案していると…

「なら、俺が持って来た翠緑の影シリーズの花はどうだ?」
スッ

(!! これなら…)
「では、栄誉騎士の好意を受け取ることにしよう。」
スッ

「残念だなぁ…。」
ショボン…

空の提案に、ジンは翠緑の影シリーズの花を受け取った。この花なら、愛される少女シリーズの花よりは装飾が控えめであるので多少は問題ない。それに、空が尋ねてきた目的のものでもあるので無下にはできない。そう考えたジンは翠緑の影シリーズの花を受け取った。

一方、愛される少女シリーズの花を引っ込めながらバーバラを言葉を溢した。しかし、その表情はちっとも残念そうではなかった。目を閉じて肩を落としてはいるものの口元に浮かべた笑みが嬉しさを物語っていた。

(…バーバラ、良かったな)

それを見た空は、先程バーバラと打ち合わせをしているうちに、だんだん語りかけてくるように言葉を紡いでいた彼女の気持ちを理解した。

髪型の研究のため。
ジンの体調を気にかけるため。

バーバラの髪型研究に関する意図は、これらの目的を達成するためだと思っていた。だが、打ち合わせをした時のバーバラの表情を見て、それに自然と語られた言葉を聞いて、それはあくまでも目的の副産物に過ぎないのだろう、と悟った。

その真の目的は…

様々な髪型のジンを見たい、というバーバラの願望だった。

普段はオシャレに興味がない…、というよりそのことに関して、ジンは優先順位を下にしている節が強い。だが、内心はもっと姉妹として仲を深めていきたいと思っているバーバラは、このことを思いついたのだろう。それは、側から見ても普段の2人の振る舞いを見ていれば分かるものだ。

無論、髪型研究というのも目的のひとつではある。だが、最初に髪型を変えて、普段と違う姿のジンを見た瞬間、バーバラはもっと違う姿を見てみたくなった、と語っていた。何よりジンの照れながらも嬉しそうにする姿は、普段の凛々しい姿とはまた違う魅力があって、そのギャップにやられてしまったのだそうだ。

勿論、騎士として振る舞うジンも好きだという。だが、ちょっとオシャレに抵抗がある、だけど興味はあるからやってみたい…、そんな年相応なジンの一面をもっと見てみたくなった、とも言っていた。以来、こうして髪型研究、という名目で立ち寄っているのだという。

その気持ちは、現在進行形でバーバラの行動に現れている。例えば、今しがた渡し損ねた愛される少女シリーズの薔薇の花だってそうだ。

バーバラは、薔薇の花をかたどった愛される少女シリーズの花を敢えて最初に出した上で、次に比較的装飾が控えめな翠緑の影シリーズの花を見せた。こうやって最初に、"可愛すぎる花をつけること"というハードルを上げたことで、次に装飾が控えめな花を見せることで、"花飾りをつけること"自体の抵抗を弱めたのだ。

ジンの性格上、可愛いものは似合わないと思っている傾向が強い。それが、愛される少女シリーズのような薔薇の花であれば、尚更だ。それを見越した上で行われたバーバラの行動には、感心せざるを得ない。

(流石の采配だな…)
チラッ

「!」
(ありがとう、栄誉騎士!)
ニコッ

(…いいと思うぞ!!)
グッ!!

空が横目で見れば、それに気付いたバーバラは、ジンの髪を弄りながらも器用にアイコンタクトを取った。お互い顔を見合わせた2人は、バーバラは笑顔を浮かべて、空はしたり顔と共にグッドポーズをした。

その後、フィッシュボーン風の編み込みをして、それを翠緑の影シリーズの花で止めたジンを西風騎士団のメンバーは、微笑ましいものを見るような目で優しく見守ったと言う。

-END-


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