【タル空】纏われるその身

ドラゴンスパインの休憩所でやり取りをするタルタリヤと空くんのお話です。
短めです。

ひとつ前のお話のおまけ的なお話です。

・タルタリヤの家族に関して捏造気味


参考資料

・旅の写真に閃きを 緑葉編

タルタリヤと宵宮の会話シーン


ドラゴンスパインの休憩所にて。

「分かっていてやっただろ?!」

「ごめんごめん。あまりにも似合っていたからさ。」

「謝りの心が込もってない!!!」

怒りを露わにする空に対して、かなり軽い調子、かつ、悪びれもしない様子でタルタリヤは謝った。

樹氷をひとしきり堪能した後、ふと湖面に映る姿を見た空は、自分がうさ耳が付いたフードのケープコートを纏っていることに気付いて、仕掛けたタルタリヤに猛抗議している最中である。

「全く、もう脱ぐぞ…。」
グイッ

「もう脱いじゃうの?」

「当たり前だ!!」

「折角、似合っていたし、トーニャを見ているみたいだったのに…。」

ピタッ
「待て…、今なんて言った??」

脱ぎかける空だが、タルタリヤのあるひと言に手をとめた。

「え? 折角、似合っていたし…?」

「その後だ!!」

「トーニャを見ているみたいだったのに…?」

「それだ…、って、えぇ!? この服、妹さんのなのか!?」

改めて聞いた事実に、空は驚きのあまりにケープコートをひとしきり眺めた。

「そうだよ?? 家族からの荷物に混ざっていてね〜。」

「かよ…。」

「え?」

「妹さんの大事な服…、俺が着ちゃっていいのかよ…。」

やや能天気に答えるタルタリヤに対して、空は少しだけ落ち込んだ様子で尋ねる。

いくら仕掛けられたとはいえ、不可抗力ながら家族の服を着るのはどうか、と思ったからだ。

クスッ
「大丈夫だよ。それに、あの子は身長が伸びるのが早いから、もうその服のサイズは合わないかもしれないからね。」

一瞬、キョトンとした顔をしたタルタリヤは、そんな空の気持ちを汲んでか知らずか、笑みを溢して、気にしなくていい、というニュアンスの言葉を伝えた。

「そう、なのか…。」

ハッ
(って、待てよ…?)

それに安堵する空だが、ふと、あることが思い浮かぶ。

妹であるトーニャの服だというケープコート。

それは、恐ろしいほど空にぴったりのサイズであるが、先程のタルタリヤの言葉を借りるのならば"まだ成長中"ということらしい。

ということは…

(妹さんの身長がこれくらいなら…、

今からどれだけ大きくなるんだ…!?)
しょんぼり

もしかしたら、空より背が高くなる可能性が出てきた、という事実にますます落ち込むのだった。

「? どうしたの、空??」

ハッ
「な、何でもない!!」
(もっと牛乳を飲もう…)

そんな空の気持ちを知らないタルタリヤは、俯いてしまった空に呼びかけた。それに慌てて何でもないように装った空は、内心でもっと身長が伸びるように努力する計画を進めるのだった。

その後、そのケープコート、良かったらあげるよ、というタルタリヤに遠慮する空だが、今後も寒い場所に行くだろうから、ね?と言いくるめられたので、受け取るのだった。

-END-

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