めでたい君に贈る

※弊ワットでは、空くん&蛍ちゃんの誕生日を4月15日に設定しており、その記念を兼ねた小説になります。

ある日、不思議な夢を見る空くんのお話です。シュールさ全開です(´ω`)←

弊ワットの空くん&蛍ちゃんに捧げます…

※初出 2022年4月15日 pixiv


塵歌壺・邸宅内にある一室にて。

「次はどの素材を集めようかな…。」

椅子に座りながら、空は手に取った凝縮樹脂と睨めっこをしている。次に集める素材をどうするか悩んでいるようだ。

すると…

バンッ!

突然、ドアが勢いよく開いた。

ビクゥッ
「な、何だ?」
コトッ

驚きに肩を揺らしながら目を見開いた空は、テーブルに凝縮樹脂を置きながら、ドアの方を視線を向けた。そこには、向かって左から刻晴、タルタリヤ、綾人が居るではないか。前に思いっきり右手を伸ばしているのを見るに、どうやらタルタリヤが勢いよく開けた張本人らしい。

「3人とも、どうしたんだよ?」

パタン
スス…

「な、何だ??」

3人は空の問いかけに答えずに、(綾人がドアを静かに閉めながら)無言で空のすぐそばまで寄って来た。それに困惑する空が恐る恐る尋ねると…

"ハッピーバースディ、旅人〜"
スッ
コトッ

突然、バースディソングを歌いながら刻晴がどこからかケーキを取り出して、テーブルに置いた。空の目の前に置かれたそれは、凝った装飾のケーキだ。

「いいのか?」

ニコッ
コクン
スッ

空の問いかけに、刻晴は笑顔を浮かべながら頷いた。そうして、後ろを向いて歩を進める刻晴と入れ替わるように綾人が前に出た。

"ハッピーバースディ、旅人さん"
スッ

またも、バースディソングを歌いながら綾人が懐から取り出したのは、神里家の家紋を表した風呂敷だった。しかし、刻晴にも言えることだが、綾人の美声と歌の上手さで、普通のバースディソングも耳に心地よく、かつ豪華に聞こえるのは気のせいではないはずだ。

コトッ
スルッ

「!! これって…!!!」

綾人は両手に持っていたそれを、テーブルに置いて風呂敷の結び目を解いた。その中から出てきたのは、綾人の命ノ星座に該当する星屑だった。黄金(こがね)色の菱形の宝石に似たそれは、テーブルにころんと転がる。

途中、勢いがついて、床に落ちそうになった星屑を綾人が慌てて両手で取って、空に見せた。

「えっ!? 本当にいいのか??!!」

ニコッ
コク、コク
コトッ

「ありがとう! めちゃくちゃ欲しかったんだよ…!!」

スッ

興奮しながら礼を言う空に、にこやかに微笑みながら2度頷いて、テーブルに星屑を置いてから後ろを向いて去った。

そして、次に現れたのは…

"ハッピーバースディ、ディア、相棒〜!"

スッ
ブンブン
チョイチョイ

例の如くバースディソングを歌いながらタルタリヤが現れた。しかも、"ディア"の部分では武器を振り回す仕草、"相棒"の部分では、自身を指差している。どうやら、"戦わないか?"と言っているみたいだった。心なしか一筋だけはねているくせっ毛もピコピコと動いている、ように見える。

「いや、遠慮しておくよ。」
フルフル
ブンブン

"………"
ショボン…

しかし、戦う気分ではないので、手を横に振って空はやんわりと拒否を示した。するとタルタリヤは、笑顔で上がっていた口角を少し下げて、こちらを見つめてくる。同時に一筋だけはねているくせっ毛も、へにょん…、と下がってしょんぼりしているように見える。

(めっちゃ落ち込んでるな………)

まるで捨てられた子犬のような様子のタルタリヤを見ているうちに、何だかしょんぼりと下がった耳としっぽが見えてきた、ように見える。それに、心配そうに見つめてくる刻晴と綾人の表情に居た堪れなくなった空は…

「…ああ、もう分かったよ…!! 手合わせでいいなら、あとでいくらでも付き合うよ。」

"!!"
パァァァッ
グイッ

「うわっ!!」
フワッ

クルクル
ギュー

「ちょ、離せって!!」

3人の目線に耐えきれず渋々承諾をすれば、それを聞いたタルタリヤは、いい笑顔を浮かべた。嬉しさのあまりに、空を片手で抱き寄せて肩に乗せた後に、その場でくるくると回り出すくらいだった。

パァァァッ
コクン

ストッ
パチッ

コクン

そんな2人の様子に見守っていた刻晴と綾人は笑顔を浮かべた。そうして顔を見合わせた後に、空を降ろしたタルタリヤともアイコンタクトを取った。そして、意図を汲み取ったタルタリヤが頷くと…

"ハッピーバースディトゥーユー"
パチパチパチ

「あ、ありがとうな…。」
(何だか、不思議な感じだな…)

拍手をしながら、3人合わせて締めの歌詞を歌った。それにお礼を言った空が、不可思議な感覚を覚えたところで…

パチッ
ガバッ
「…夢か………。」

西風騎士団の応接間にて。

目を覚ました空は、突っ伏すように寝ていた顔を上げた。

(何だか、不思議な夢だった…気がする……)

寝起きでボーッとする頭を掻きながら、アンバーに呼ばれてここに来たことを思い出していた。もうちょっと待ってて!と、案内された場所で待っているうちに寝てしまったようだ。

「何かあったのか? だったら、直接言えばいいのに…。」

言葉とは裏腹に慌てていたアンバーの様子が妙に噛み合っていなかったような気がする。そんな疑問も兼ねて、空は言葉を漏らした。

「何か俺に隠し事をしている、のか?」
チラッ

続け様に言葉を紡ぎながら、確認も兼ねて扉の方へ視線を送ると…

ピョコッ

開いた扉から見覚えのある赤いリボンが覗いている。

時折片側のリボンが、まるでうさぎの耳のようにぴくり、ぴくりと動いている(どういう原理で動いているのかいつも不思議に思っている)。

「…………アンバー?」

ビクッ!
ピュー!!

何やらただならぬ様子に、呆気に取られた空はまるで誰かの耳元に囁くように、口元に手を添えた。そして、これまた囁くようにリボンの持ち主の名前を呼んだ。その途端、驚いたようにリボンが揺れてすぐさま去っていった。

ガタッ
「え!? ちょ、アンバー??!! 待ってくれよ!!」
タタッ

何故そんな反応をするのかが分からず困惑しながら、空は慌てて席を立って追いかけていった。

だが、空はまだ知らないだろう。

追いかけた先で、アンバーだけでなくガイア、リサを始めとする西風騎士団のメンバーが空の誕生日パーティの準備を万全に整えて、主役が来るのを今か今かと待ち受けていることに。

-END-


あとがき兼補足説明

(弊ワットの)空くん、蛍ちゃん、誕生日おめでとう!!
そして、世界一尊い双子ちゃんを産み出してくれた公式様、ありがとうございます…!!

…あくまでも、空くん、蛍ちゃんの誕生日お祝いですよ?

決して、自分で自分の誕生日を祝っている訳では断じてありません!!(震え声)

(でも、突破素材が4月の誕生石であるダイヤモンドなことに、運命を感じました…!!)

ちなみに、蛍ちゃんのほうは、きっと使徒・激流や詠唱者・紫電がこっそり誕生日パーティーを準備していて、その間の時間稼ぎを(私の書く小説にちょいちょい登場する気弱な)魔術師がしている、と思います。

それはさておき…

登場させたキャラは

刻晴ちゃん→初めてお迎えした☆5キャラ

タルタリヤ→空くんを助けてくれたキャラの第一人者及び色々な意味で色々なものをかっさらっていったキャラ←

綾人さん→初めて誕生日に命ノ星座完全解放を実行したキャラ

になります!

自己満足感溢れるものになりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

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