【タル空】迷うな…

元素ごとに変える聖遺物を今日は何にするか悩む空くんと、相談にのる(という名の面白がる)タルタリヤのお話です。

※タルタリヤは、空くんが複数の元素を扱えることは知っている前提のお話です。


うぅ〜ん…
「悩むな…。」

唸るほどに空が悩んでいるのは、今日はどの聖遺物にするか、ということである。

現在、空は、風、岩、雷、草元素を扱うことができる。

通常の神の目の所有者であれば、ひとつの元素の力を強化するか、能力の向上を測るかの二択に絞られるが、空には、複数の元素を扱える分だけ選択肢がある。

だからこそ、今日はどの聖遺物にするか悩んでいるのだ(ちなみに今日は草元素である)。

「何が決まらないの?」

「今日、どんな聖遺物にするかなんだ…って、タルタリヤ!?」

「ははは。空はいつも反応がいいね。」

いつの間にかそばに来て聞いていたタルタリヤに、空は盛大に驚いた。そのリアクションが良かったのか、タルタリヤは笑いながら感想を述べた。

「ところで、何を悩んでいるの?」

「今日の聖遺物をどうするか悩んでいて…。」

「う〜ん、これが似合うんじゃないかな!」
スッ

「いや、そういう話じゃなくて…。」

空の悩んでいることを聞いたタルタリヤが選んだのは、旧貴族のしつけシリーズだ。確かに、纏う元素に関係なく選ぶことが多い聖遺物であるが、タルタリヤの選んだ理由に釈然としない空は、言葉を紡いだ。

「だって、空に映えるし、初めて出会った時からつけていたやつだから、目に止まってさ。」

「え……?」
(そんなところまで見ていたのか…?)

スッ
「うん。やっぱりよく似合っているよ。」

「!!」

そう言って、空の向かって右側の髪にそっと深い瑠璃色の花を挿した。タルタリヤからの視点で見ると、今の空はまるで花を髪飾りのように身につけているように見えるのだろう。

そんなタルタリヤの深い青の瞳が、愛おしいものでも見るように、こちらを見つめていた…。

「なっ、からかうなよ!!」
バッ

「え〜? 本当のことなのに…。」

その眼差しに耐えられなくなった空は、勢いよくタルタリヤの手を退けた。それを気にした風でもないタルタリヤはあっけらかんとした様子だ。

「………決まらなそうだから、これで行く。」
スッ

「! うん!! 嬉しいよ。」

このままだと埒があかない、と感じ取った空は、そのまま旧貴族のしつけシリーズの花を手に取る。それがよほど嬉しかったのか、タルタリヤは喜びの声を上げた。

「あ、あくまでも!! 決まらないから、だからな!!」

「分かってるよ〜。」
ニコニコ

(本当かよ…)

念の為、釘を指しておく空であるが、分かったのか分かっていないのか、タルタリヤはますます笑みを深くするばかりであった。

しかし、タルタリヤの言葉が存外嬉しかったので、そのまま旧貴族のしつけシリーズで行くことにする空であった。

-END-

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