気をつけないと、ね?

ギターを練習するタルタリヤを見守る空くんのお話です。
めっちゃ短いです。

オーケストラCMを見て思いついたお話です(というか、急にアニメCMでめちゃくちゃギター弾くタルタリヤのかっこ良さズル過ぎないですか、色々持ってかれまし…ゲフンゲフン)

・タルタリヤは、辛炎にギターを教わった設定です
・空くんドジっ子全開です
・筆者は楽器の知識皆無なので、描写に違和感あるかもしれないですが、ご了承ください…

参考資料

・オーケストラCM
・イベント 謎境一騎



塵歌壺にある邸宅。

そのリビングにて。

ジャァンッ

「よしっ、こんな感じかな?」

「ギターなんか構えてどうしたんだ?」

ギターを構えているタルタリヤは満足そうな様子である。そんな彼に、空は不思議そうに尋ねた。

「実は、今度演奏会をすることになったから、その練習なんだ。」

「そうなのか…。」

(いつの間にそんな予定を組んでいたのか…)

タルタリヤの返答を聞いた空は、彼にしてみれば意外な予定を組んでいたものだと思いながらも納得していた。

「というか、お前、ギター弾けるんだな…。」

「ん? あぁ、辛炎に教わったんだよ。」

(いつの間に…)

まさに、それこそ意外だと言わんばかりの空の疑問に答えたタルタリヤの言葉に、妙に納得した。

以前、稲妻に出現した謎の秘境、陰陽寮に関して、空とパイモン、辛炎、タルタリヤ、そして、不思議な折り紙、式大将と調査したことがあった。

その際の辛炎とタルタリヤの様子が、意外にも意気投合していたことを思い浮かべて、空はますます納得するのであった。

「良かったら、弾いてみる?」

「えっ、いいのか?」

「うん!」
スッ

スッ

(結構重いな…)
ゴソゴソ

思案する空に、タルタリヤは意外な提案を持ちかけて、ギターを差し出してくれた。少しみじろぎながらも受け取った空は、恐る恐る身につける。

スチャッ

ギターを身につけた空の様子は、なかなかに様になっていた。

「折角だから、これで弾いてみる?」
スッ

スッ
「あぁ。」

(どれどれ…)
スッ…

続いて、タルタリヤにピックを渡された空は、試しに弾いてみようと、ギターの弦に添えて構えてみる。

しかし…

サッ!

ピッ!!

「痛っ!」

「空!?」

ピックをギターの弦に走らせると同時に、指先に痛みが走った。思わず声を上げた空は、慌てて駆け寄るタルタリヤの声を聞きながら痛みの元になっている指先を確認してみる。

すると、指先にうっすら赤い線ができているのが確認できた。

どうやら、ピックと弦の摩擦による振動が、指先に当たってしまったらしい。幸い血は出てはいないが、割と痛い。

(結構痛いな…)

「大丈夫?」
スッ

「あぁ。大丈…………」

空の右手を包み込むように、右手で取ったタルタリヤは語りかける。それに答えようとする空だが…

ちゅっ

「!?」

タルタリヤがその指先に口付けをしたことに驚いて、中途半端に答えて終わった。

カァァァ…
「なっ、何してるんだよ?!」
バッ

指先に当たったタルタリヤの唇の温かさと柔らかさ、その両方を自覚した途端、顔を真っ赤に染め上げた空は、右手を離して左手で抱え込むと同時に、抗議するように言葉を紡いだ。

「え? あぁ、これ? 俺も、慣れない時は怪我したから手当しようと思って。

結構、効くんだよ?」

ニヤッ

そんな空の様子を気にした風でもないタルタリヤは、言葉を紡いだ。そして付け足すように語るその顔は、まるで悪戯が成功した子供のような無邪気さと心底楽しくてたまらない、と言わんばかりに口元に弧を描いていた。

「っ!! 普通に手当してくれ!!」

「あははは。分かったよ。」
スッ

そんな彼の様子に、ますます抗議する空に、ひとしきり笑ったタルタリヤは、真面目に治療を始め、それにされるがままの空の様子が見られたという。

後日、演奏している様子の写真が送られてきて、その普段と違う様子に、何故かドギマギする空だったという。

-END-

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