【タル空】交わる紅、やがて紫苑になりゆく おまけ

ひとつ前に投稿したお話のおまけです。

おまけ①

後日。

偶然、タルタリヤに合った空は問いただしていた(その前に顔を見合わせた瞬間、逃げ出したタルタリヤを追って、息も絶え絶えな状態であるが)。

ぜぇ、はぁ
「な、何で、あんなこと、したんだよ…。あと、足速すぎだぞ!!」

「ご、ごめん、つい…。」

ガバッ
「つい、って何だよ!?」

タルタリヤの言葉に、空は顔を上げて抗議した。そして、タルタリヤは改めてじっくりと空の顔を見つめる。

じっ
(やっぱり、空はこのままで充分だ)

「な、何だよ。じっと見て…。」

あの時の様に、じっと見つめながら黙り込むタルタリヤに、またも困惑する空だが、構わずに見続けてくる。

じぃ…
(あんな目張りなんてしなくてもいいのに…)

「ちょ、タルタリヤ…。」

じぃぃぃ…
(まあ、空のことだから、もしかしたら誰かに頼まれたんだろうけど…)

「〜〜〜っ!!!」
じわ…
じわ……

あまりにも見られ続ける状況に耐えきれずに、空は次第に顔を赤くしていく。

(あれ? 顔が赤くなって…って!)

「ご、ごめん! つい見すぎちゃった…。」

「な、何なんだよぉ…。この間のことといい…。」
バッ…

ようやく気付いたタルタリヤは謝る。だが、空はこれ以上見られない様にする為なのか、両腕で顔を隠した。

「似合ってないのは分かってるさ。でも…。」

そんな自信なさげに言う空に、タルタリヤは思わず叫んでいた。

「っ!! そんなことない!! 目張りをした君もいい、だけど、君はそのままで充分だから…。」

「ふぇっ??」

「あ。」

あまりにもしょんぼりしている空の誤解を解きたくて、必死になっていたタルタリヤは、丸く見開いた琥珀色の瞳を見て我に返った。

(し、しまった、つい本音が…)
「あ、これは、その…。」
カァァァ…

「!!」
(ま、また、そんな顔……)
カァァァ…

またしても顔を赤くするタルタリヤに釣られて、さらに空も頬を赤く染めて黙り込んでしまった。そうして、お互い顔を赤くしながら立ちすくむ、というシュールに絵面になった。

その後、通りかかった鍾離が2人の姿を見て、助け舟を出す様に空に問えば、ようやく動き出した空が、あの日のことを説明した。

それにようやく納得したタルタリヤが、普段よりぎこちなく笑うのに空がつられて笑う、というまたしてもシュールな事態になり鍾離は、目を閉じて考え込む様な仕草をしたのだという。

-END-

おまけ②

事情を聞いた後…。

「というか、そんなことしなくても…。」
グイッ

「わっ!」

チュッ

「!!!」

ひと言呟いたタルタリヤは、空の腕を引っ張る。そして、バランスを崩した空の目尻へキスを落とした。

「な、何するんだ!!!」
ガバッ

「さぁね〜??」
クスクス

突然の柔らかい感触に驚いた空は、キスされた箇所を隠す様に手で抑えた。それがおかしいのか、タルタリヤは笑みをこぼす。

「さぁね、って……。何がしたいんだよ、全く…。」

「ははは。」
(だって、こうすれば…)

呆れたように呟く空に対して、タルタリヤは笑みをさらに深くする。それは、空の反応が面白い、ということの他に満足していることがあるからだ。何故なら…

キスを落とした目元を中心に、空の頰が目張りをした時に引いた紅よりも柔らかな色合いで赤くなっていたからだ。

目張りのような目立つ紅もいいが、羞恥により色付いたそれは、より自然と空に馴染んでいる。

(俺が色をつけてあげる。だから、もう他人にやられたりするなよ? 相棒)

そう胸中で呟いたタルタリヤは、ますます満足そうに笑った。

-END-

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