読書メモ ワシとハト
図書館のリサイクル図書に並び、
本を散々物色して、
ホクホクとした気持ちで帰るのが好きな私。
リサイクル本の中には名作系もあるので、
読んでなかった童話や名作系を読む機会を得られるので、
おすすめです。
今回は、この本をまとめていきたいと思います。
岩波書店から出ているハードカバーの本です。
表紙がかっこいい
この絵は寺島竜一さんの絵だそうです。
寺島竜一さんは、トールキンの指輪物語の挿絵などを描いているかたです。
どおりでかっこいいわけだ。
ワシとハト
お話は、ワシがハトに追い詰められるシーンから始まります。
ひどい嵐に見舞われたあと、ワシがハト目がけて飛び降りてきます。
びしょびしょに濡れて寒いし、恐いしで最悪なハト。
間一髪、岩の裂け目に逃げ込みます。
確かに悪いことは重なるものだと言います。
災難が降りかかる時は、一気にきます。
裂け目に逃げ込んでも、食べられるのが少し先に伸びただけのこと。
そこでハトは、頭を使って、どうにか逃れる方法を模索します。
ワシがあわれに思ってくれることはない。
だからハトは、尊敬されれば、少しは言うことを聞いてくれるだろうと踏んだわけです。
圧倒的強者に、弱者ができることは、
あなたのことをありがたいと思っていると伝え、話を聞いてもらうこと
なかなか、この心境になるのは難しいですが、
勉強になるなと思いました。
ハトはワシと話をしている間にも、自分の尻尾の羽がかすかに揺れていることに気づきます。
怯えながらも、周りを観察してどうにか頑張る姿が素敵です。
岩の裂け目は掘れば抜け出すことができそう。
そして、アラビアンナイトのシエラザードが千一夜話続けて自分の命を助けた話を思い出すハトは、ワシと話を続けて、
尻尾で穴を掘り、逃げ出すことを思い付きます。
教養は身を助けるという教訓を感じますね。
ハトがアラビアンナイトの話を知らなかったら、思い付かなかったかもしれません。
ワシは、ハトにこう言います。
この一言を聞いたハトは、お話をひとつ思いつきます。
言い方が素晴らしいです。
間違いを指摘しつつも、尊敬もしつつ、偉大な方だから、当然知っていますよね?とプライドをくすぐる。
そうして、良し!話すがいい
と言わせるわけです。
クモのお礼は、人間にはありがたみがない
ヒヤシンス通り四番地の小さな一軒家
一人の絵描きさんが住んでいました。
この絵描きさん
かなり汚い家に住んでいます。
一年に一度しか掃除せず、クモが112匹住んでいるそう。
ヒヤァって感じです。
私は比較的キレイ好きで掃除も好きなのですが、
聞いただけでゾッとします。
クモは、年一回のクモ総会を開きます。
クモたちは、絵描きさんが、自分たちを可愛がってくれていて、
こんなに掃除しない空間で、ゆったりクモの巣作りをさせてくれているのだと勘違いします。
クモたちは、絵描きさんに手紙を書こうと言い出します。
自由にさせてくれてありがとうを伝えるためです。
クモの奥さんたちは、長い文章を考えたり、若いむすめのクモは、詩的な手紙にしようとしたり、色々考えを出します。
しかし、おばあさんのクモだけは、手紙を出さないほうがいいと言います。
結局出すことになり、
絵描きさんは、汚いのが好きでもないし、
クモを可愛がっていたわけでもありません。
絵を描くことに夢中で、掃除をし忘れていただけです。
この手紙を見て、怒りをあらわにします。
部屋の中を改めるとカチカチの筆や絵の具のチューブが数本出てきます。
そして、自分の部屋がめちゃくちゃだということに初めて気が付くのです。
絵描きさんは、次の朝、近所の掃除ばあさんを連れてきます。
掃除ばあさんにより、家の中が綺麗になると、
クモたちは家から逃げ出します。
112匹のうち、6匹は命を落とします。
逃げ出したクモたちは、口々に、
手紙が長すぎただの、短すぎただの、詩的な味わいがなかっただの言い、
悔やみます。
ですが、手紙を出すこと自体をやめた方が良かったと言ったのは、
利口なおばあさんのクモだけでした。
まさに余計なお世話だったわけです。
しかし、絵描きさんにとってだけは、良いことだったかも知れません。
家が汚いという現実に気づくことができたから。
そうすると、意外とありがたいっていう風にも取れるなぁ
ハトは、ワシに逆にありがたみあるよと気づかせたかったのかもしれません。
いや、ただ助かりたいだけの時間稼ぎか・・・
むほんをおこしたロバの話
イチジク島という小さい島に、
130のブドウ畑、300本のイチジクの木、500人の人間、200頭のロバ
ブドウとイチジク、そして人間はうまくいっていましたが、
ロバたちは、人間に虐げられていて、うまくいっていませんでした。
人間にたっぷり叩かれるは、餌はちょびっとしかもらえないわ
散々なロバたち。
ロバたちは、一生懸命ブドウを運んでいます。
こういうことありますよね。こうして欲しいと怒鳴るからやっても、
やったはやったで気に食わない。
ただ威張ったり、怒鳴ったりしたいだけの人。
勝手にストレス解消してる感じです。
ある日、子ロバのトニーが
ブドウ作りの百姓マルチンに酷い目にあったことがきっかけとなり、
ロバたちは反撃の狼煙をあげます。
ロバたちは、人間たちの育てたイチジクを食べ、
荷運びの仕事はボイコット。
人間たちが悪かったと、認めて、これまでのことを改めると約束するまでは、仕事をしないと決めます。
人間が優しく懐柔しようとしても耳を貸さず、
おどしや悪口も、いつもやってることだから効き目なし。
ブドウ作りたちは、ある提案をロバたちに持ちかけます。
こんな約束を飲めるはずがありません。
いじめてきた罪は、人間たちのほうにあります。
それに、ロバたちが手に入れたいことは、ちゃんと別にありました。
ロバのフロリアンは、こう言いました。
ちょっと長いですが、
ロバ代表のフロリアン演説です。
この なぜなのだ? という言葉が人間たちの意識に刷りこれます。
そうすると悪かったという気持ちが湧いてくるのでした。
個人差はあったようですが、どんな人でも少しは控えめな気持ちになったそうです。
そうした時、人間の一人が尋ねます。
自分の働きの報いに何を要求するのか?と
こんな当たり前の要求・・・・って思ってしまいますが、
まずは、第一歩ですね。
なぜなのだという言葉が人間に届かなかったら、
このあたりまえさえも手に入れられず、
叩かれて、餌のちょびっとな生活が続いていたことでしょう。
この後、日常が戻ってきて、
ロバたちは荷運びの仕事に戻るのですが、
最後に団結の歌を歌います。
この団結の歌、仕事をボイコットした時にも山で歌うのですが、
途中、ロバたちが団結という言葉を知った経緯が描かれていました。
他の人より安い値段でブドウ酒を売ろうとした男に、
ブドウ作りたちは団結という言葉を使い、値段を下げて売らないように言います。
独占禁止法的なイメージでしょうか。
価値が下がるのを阻止したい感じで使われていました。
最後ロバたちは、人間と団結したことを喜んでいます。
こんなに嫌な目に遭ったのに、
人間たちの罪を許して、人間との団結を喜び合うなんて・・・
なみだが出ます・・・
人間は自分の罪に気付かないことが多いと思います。
自分も多かれ少なかれ罪を重ねている気がしています。
気づいて改めるということの価値。
これが意外と重要だけどできないことです。
他にも短い文章の中に、いろんな格言が詰まっていますので、
ワシとハト面白い。
続きもありますので、
もし読みたいと思っていただけたら、
スキ!してくださると嬉しいです。
それでは〜
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