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DIY 改良 ローテーブルの側板
概要
過去に家族から1人用のローテーブルを作って欲しいと頼まれ、制作した事がありました。
それがこちらです。
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今はこれを壁付けにして使用しているらしいのですが、そのせいで足もとが隔たれて暖房を使用したときにそこだけ全く暖まらないという状況になっていたそうです。
なので今回、足もとも室温と同じようになるために側板に大きく穴を開けて欲しいとのことでした。
こちらが今回の完成品になります。
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作業工程
側板加工
まず、天板とはビスで組むのではなくダボ組みにしていたため糊で接着していたのので、金槌で叩いて側板のみ取り外しました。
そして取り外した側板をNCという機械で加工しました。この機械は加工の指示をパソコンで入力することでその加工をしてくれるというベッドくらい大きな機械です。
僕が作る家具はフラッシュ構造(フラッシュ家具)と呼ばれるもので、簡単に説明しますと、中身が詰まっておらず中が空洞の構造になっています。
下写真がイメージ図です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98822164/picture_pc_d554a4b6bf6a72f5a8a770803f47b86f.png?width=1200)
作った時は今回の加工をする予定ではなかったので穴を加工したい位置に木材(芯)を入れていませんでした。なのでNCで穴を開けた時、両面のベニヤ板がプカプカした状態になってしまうので新たにそこへ芯を足すことにしました。
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これに糊を塗って横から金槌でコンコンと叩き込み、糊が乾くまで2時間ほどプレス機でプレスしました。
巾木加工
側板が乾くのを待っている間に下に取り付ける巾木にも加工をしていきます。
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こちらは側板と固定されているのではなく、取り外し式にしていました。
当時、座椅子を使って使用するか床に直接座って使用するかはっきりしない状況だったので、僕の方から「どちらでも対応できるように脱着できるようにしとくか?」と提案してみたところ、それでお願いされたのでダボとダボ穴に挿すだけの仕様にしました。右側の収納も同様の仕様です。
このローテーブルは和家具の文机を意識して作ったもので、この巾木も文机で言うところの「畳ずり」の役割を果たしています。
「畳ずり」とは、椅子のように脚が床に点で接地しているのではなく、面で接地するためにある部分のことです。
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これを一番下に取り付けることで、畳やクッションフロアなどに脚の跡が残らないなど、床を傷めずに済みます。
この巾木にどういった空気の通り道を作るか考えた時に、畳ずりの役割を消したくなかったので下側を丸く抉るのではなく、上側を抉ることにしました。大きさやRは実物のサイズ感を見ながら不要な木材に実際に加工してみて決めました。
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加工が終わったので、この部分に化粧材を貼って綺麗にしていきます。
ここで使用する接着剤はすぐに乾くゴム系の接着剤です。
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そして下写真が貼った直後です。
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この後はみ出ている糊の掃除とペーパーで痛くないように面を取っていきます。
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このままでもいいのですが、ペーパーを当てた角の部分が化粧の色と違うので近い色を塗って馴染ませます(タッチアップ)。
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だいぶ綺麗になりました。
これで巾木は完了です。
側板加工
プレス機から取り出します。
糊や足した芯がはみ出しているので、再びNCで最初に加工したプログラムを使って同じ箇所をもう一度加工します。
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だいぶそれらしくなってきました。
あとはこの芯が剥き出しになっている部分に化粧をしていきます。
このくり抜いた四角は刃が回転して加工されたものなので四隅がRになっています。
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これだと化粧板が曲がらないのでこの角をノミで落としていきます。
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そして全ての角のRが取れました。
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Rが取れたので巾木の時と同じように、ゴム糊を吹いて→貼って→面取り・掃除→タッチアップをしていきます。
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これで側板も完了したので、一度確認のために巾木と合体させてみます。
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いい感じになりました。
問題もなさそうなので、これらを天板に取り付けるための道具等持って取り付けに向かいます。
使ってみた感想
こちらが組んでみた完成形です。
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とても快適になったと満足してもらえました。
穴を開けたことで、使用しているダイソンの温風を直接足下へ送ることができるようになり、最初期待していた「室温と同じにする」こと以上のことができるようになったと、喜んでもらえました。
今回の作業は簡単なものに思われるかもしれませんが、これだけでも4時間以上かかりました。休みの日に職場に出てきて作業をするということもあり、大変なことではありましたが、やっぱり完成した時には「やってよかったな」と毎回思ってしまいます。
普段仕事での家具しか作らないわけですが、職人として、プライベートで相手の方から頼ってもらえて、その度に自分の中の技術を応用して要望に応えて、そして相手の方の生活をまた一つ快適にすることができたということが、とても誇らしくて嬉しい気持ちになりました。
以上、DIY 改良 ローテーブルの側板、でした。
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