読書感想文

皆様、お久しぶりです。またまた水泳にはまっていました。そして読書感想文も久しぶりです。私が卒業した高校は読書感想文の宿題がありませんでした。中学以来です。では書きます。

「嫌いなら呼ぶなよ」
 至極真っ当な言い分のタイトルであり、綿矢りささんが書かれる主人公たちのはちゃめちゃさにいつも笑わされ、フィクションのなせる技だと、このコンプライアンスの厳しい時代にああいう風に書かれている本は素直に楽しいし、声を出して笑ってしまう。彼女が書く冗談の時代はまさに私の世代のもので、ノリやすい。
この短編集はSNSの言葉とコロナについて書かれていて、時事問題にも触れたりしていて、創作物、そして書物でないと描けない爽快さを感じる。映像にすればモザイクかけざるを得ないとか、出てくる人の名前を変えたり、最後には「決してしないでください」とかの注意テロップが流れるだろうと思う。
私はSNSの言葉を知らず、“時すでにお寿司”を本当に誤植かと思い、出版社に電話した。そしたら編集部の方がそれは…と説明してくれて、誤植でないことがわかった。私が恥ずかしい。
タイトルの嫌いなら呼ぶなよの、男性主人公の視点について、なるほどそんな考え方の人もいるんだなという勉強になり、最後の老は害で若も輩では、女同士の熾烈な戦いに巻き込まれ精神をすり減らし、挙句女子同士が結託した時にプツンと切れて、あ、やっちゃった…の感じがわかりやすく、その先は読む人の数だけこの主人公の未来があると思った。この人の書く文はいつも魔法のようで、読むとその世界にすっと溶けていける感覚がある。短編の主人公たちの部屋の配置、どんな感じか、どんな姿かを想像しやすい。私は彼女の大ファンであるが、フィクションだからこそ出来ることの凄さにはいつも笑ったりする。
ただ、彼女の著書、憤死のトイレの懺悔室は出口なしという感じの絶望感がすごくて、怖いと思ったこともある。冬場にお風呂で読了してしまった思い出もあるが。
また本を読むということについて、基本的に日々の暮らしだのアイテムなど、一般的なものを知っていれば読めるものだと信じていたが、SNSの普及により、その中で使われる言葉とかかなり広範囲の出来事や物事について知る必要があると痛感している。でもそれは嬉しい発見で、また彼女のファンになった。
コロナという感染症をきちんと持ってくることには時代のリアリティを感じ、でも現実にあって不思議じゃないながらでもフィクションだというところに、私は安心する。
「嫌いなら呼ぶなよ」は私の中で「憤死」の進化系と捉えている。作家さんの作風は変わらないけど、時代やアイテム、小道具が増え、さらに楽しませてもらった。

上記みたいな読書感想文に38歳ではなってしまいます。
中学の頃読書感想文は得意でしたがどう書いていたかをすっかり忘れてしまい、今書いたらこれ読書感想文かなぁ?と自分では思いますが。

夏がやっと終わるような気持ちなので書いてみました。

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