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中国改革開放の矛盾と日本企業に迫る選択肢

1、改革開放路線切り替えの背景
経済要因:1970年代末、長年にわたる政治運動や計画経済が原因で、国内経済は崩壊寸前まで悪化。それに伴う社会的不安定→政権崩壊を避けるために、計画経済から市場経済へ、鎖国から開放への路線変換が必要だった。
政治背景:毛沢東が死んだ後、一連の政治闘争を経て、鄧小平を代表とする「走資派」は実権の握るようになり、政策転換の政治的条件が整えた。
国際環境:ソ連との対立が激化し、安全保障の面で共通の敵を持つアメリカとの関係が急激に改善。改革開放すれば、西側からの援助が見込まれる。
・まとめれば、改革開放路線への切り替えは、共産党一党独裁の政権維持を目的とする、国内外の環境が必要条件とするものであった。

2、改革開放がもたらすもの
・成果:まず、著しい経済成長が挙げられる。国民生活が大幅に改善され、飢饉や物資不足は解決された。また、ソ連崩壊後もアメリカと良好な関係を維持することで、安全保障の状況が政権樹立後最もよい時期に。
・問題:深刻化した腐敗、人権侵害、環境破壊、所得格差、地域格差、などなど

3、顕在化した矛盾
改革開放によって、確かに大きな経済的成果を収めたが、それにともなう問題も山積みになる。それらの問題を解決するために、今の政治体制では機能しない。つまり、政権維持のために行った改革開放がかえって政権崩壊・体制変換を迫るという構造的矛盾は最初から存在していた。

4、二つの選択肢
・政治改革を行い、民主化するかシンガポール式の権威主義体制をとる。
・一党独裁を堅持し、改革開放を終結させる。

5、現状
後者の選択肢。つまり、改革開放を徐々に終わらせ、再び権力集中をさせ、計画経済・独裁体制に近い状態に逆戻り。

6、中国進出の日本企業に迫られる選択肢
残念ながら、日本がまともな国である限り、日本企業はいずれ中国進出を諦めるしかない。生活・小売→自動車・機械→精密機器→半導体という順番でチャイナリスクは顕在化していくだろう。中国以外の市場や製造工場を確保し、中国事業を縮小させ、最終的に完全な脱退を向ける脱中国のアジェンダ作りが必要。

7、最後に
2012年、前首相温家宝は任期最後の年に、記者会見で以下のような話をした。
「改革開放は陣地戦の段階に入った。政治改革をなくしては経済改革は最後まで継続できない。今まで収めた成果を失う可能性もある。新たに生じた社会問題も根本的に解決できない。文化大革命のような歴史的悲劇を繰り返す恐れもある。」


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