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”桃”の台木に梅を接ぎ木して生まれたつるっとかわいいトロピカルな希少梅、愛知県知多市の「佐布里(そうり)梅」来る~(愛知県産佐布里梅その1)

佐布里梅、という名前を知ったのは梅ボーイズさんの過去動画。全国の梅農家を巡るシリーズの1つとして投稿されたものだ。

全国で10農家しか育てていない・・・それは手に入れるのは相当難しそうと思いつつ、珍しい名称なので名前だけはすぐに覚えた。

その後、今年に入って実施された梅ボーイズさんのクラウドファンディングの返礼品のひとつに佐布里梅を含む梅干しの食べ比べセットがあり、さっそく支援。食べるのを楽しみにしていた。

ーーが。
ある日いつものようにメルカリで梅探しをしていた私の目に、「佐布里梅」の文字が飛び込んできた。なんと!メルカリで佐布里梅が買えるとは!!
もちろん即決。

そしてやって来た佐布里梅。

おお…なんというか、今まで見たことのないタイプの梅だ。
つるっとした卵型。香りもどことなく他の梅とは違っている。
まずは追熟前の全体と、一個あたりの標準的なサイズを計測。

いくつか計って重量は平均28g前後、直径は4.5~5cmぐらい。やはり全体的に「卵型」の印象が強い。そしてすべすべしている。
そのすべすべ感も他の梅品種の肌質とは感じが異なる。なつめとか、そういう他の果物に近い感じ。これまでおそらく二十品種前後の梅に触れて来たはずだが、杏系とも違うし一般的な梅品種とも違う、不思議な感じの実質だ。

佐布里梅は桃との交雑種だそう。それ故届く前は南高梅のような香りやかたちを想像していたが、全く違った。

なお、現在佐布里地区で植えられている佐布里梅は、全て接ぎ木で増やされた同じ遺伝子のクローンであることが確認されている。

元々は明治時代初期に佐布里地区内で鰐部亀蔵氏によって作られた。当時は梅といえば白梅ばかりだった中、鰐部氏が桃色の花をつける桃の木を台木として接ぎ木し、薄紅色の花をつける梅が誕生。その本数が徐々に増えていった。

その後、大正期には佐布里梅林は観光名所として発展。しかし昭和34年の伊勢湾台風により佐布里地区および佐布里梅は深刻な被害を受け、また工業用水の整備を目的として佐布里池が建設されたことで、従来の梅林の殆どが池の底に。
現在の佐布里梅は工事完成後に再び植樹されたもので、知多市の天然記念物に指定されている。(知多市のサイトより抜粋・編集)

いろいろあったがそれでも一貫して地域住民に大事にされて来た梅だということがわかる。
神奈川の杉田梅もかつて絶滅しそうになった時期があった。長い歴史の中で梅の木を守って行くのは大変なことだ。この歴史を読んで、佐布里の梅まつりにもいずれ行ってみたくなった。

さて、3日半ほど追熟させたところ、まだ少し青いものもあったが香りはかなり完熟っぽく変化した。桃と…それとバナナのような、南国のフルーツっぽいねっとりとしたトロピカルな香りがしている。マンゴーが近いかも知れない。そろそろ漬けなくては。
いつものように洗って乾かし、計量した塩をまぶしてホワイトリカーを吹き付けたファスナー袋に入れていく。

2個ほど傷があったため、その部分を切り取ると果肉の感じは梅というよりすももやぶどうに近い。やはり他品種の梅とはずいぶん違う。
佐布里梅は酸味が強くて肉厚だと聞いたが、もしかしたらすももっぽい酸味なのかも。

切り取ってこのまま漬けます

仕込み完了。トロピカルな香りの印象から、塩分は少しだけ低めの14%で漬けた。

軽く重石をして一晩経った翌朝、梅酢の上がり具合を確認して驚いた。すごくたっぷり出ている!しかも漬けた時点とは全く違う柔らかさ。びっくりした。こんなことは今までなかった。たっぷたぷである。

これ梅でしょうか…今にもつぶれそうで怖い柔らかさ

改めて脳内にふつふつとわき上がる「佐布里梅すももに近いのでは疑惑」
それはこの後梅干しが完成した時に判明するのかも知れない。
続きはたぶん天日干しのタイミング。



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