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この時期だけのお楽しみ、産地ならではの柔らかあっさり未熟落花生「しなす」

先週末、久しぶりに秦野のJA直売所「じばさんず」へ行くと、入ってすぐの売り場に採れたての落花生がたくさん並んでいた。

秦野は落花生の産地で、落花生を使ったお菓子や調味料等の土産品も多い。県内の他の直売所では見られない光景についうきうきして、落花生はあまり得意ではないのに棚に近付いてみると、一口に落花生と言ってもいくつかの品種があり、価格も異なる。どうやら「おおまさり」というのが高級若しくは人気品種のようで、他の品種よりも少々お高い。美味しいのかな?と思い、B級品でもいいから少し買ってみようかな、と思って見ていると、気になる袋を見つけた。

品種は「おおまさり」だが手書きで「しなす」と書き足され、C級品ということになっている。見ると落花生特有の表面の凹凸模様が浅く、なんとなく湿っているようにも見える。湿っていると腐りやすそうだからC級品?それにしてもこの模様が淡いのは何故なのだろう。生産不良?だからC級??

とは言え安い。とても安い。本来の「おおまさり」の半額からそれ以下である。「しなす」って何?との疑問は解決せぬまま、とにかくひと袋買ってみることに。レジでも「これ『しなす』ですがよろしいですか?」と確認されるがさも知っているかの顔で「はい」と答えて会計と袋詰めを終え、敷地内に併設のジェラートショップ「Sun's Gelato」で落花生ジェラートをいただいてひと息つき、帰途に。

落花生&マンゴー(夫)、ブルーベリー&ヨーグルト(私)

帰りの車中で調べたところ、「しなす」とは生産過程でうまく実らなかった未熟〜規格外の落花生を指すらしい。実の入りが悪いため、一般市場には出回らないそうだがそういう作物には特有の美味しさがある。この「しなす」もそれ故産地の人々に愛されているようだ。
直売所へ行くと、季節季節でスーパーには決して並ばない作物と出会える。ねぎ坊主や間引いた野菜、摘果等、たくさんは採れないが、野菜・果物を育てていると必ず発生するもの。「しなす」もそのひとつと言えるだろう。
一般的な落花生と違って柔らかく、薄皮を除くことができないため茹でて皮ごと食べるのだが、その独特な柔らかさや味わいを好んで産地の人々のお楽しみになっているようだ。これは楽しみ!

帰宅後、鮮度の良いうちに早速茹でる。
大きな鍋にたっぷりの水とその3%の塩を入れ、軽く洗った「しなす」を入れ、水から40分ほど茹でる。途中加水しなくて良いよう蓋をして、吹きこぼれない程度の火力でふつふつと。火を止めた後も鍋の中でできれば半日、少なくとも3時間は塩味を含ませる。

「おおまさり」は落花生の中でも特に大粒種として人気があるそうだ。だから「しなす」も殻がふっくらとしてかわいい。美味しそう!

殻の模様の淡い感じがかわいい

殻も柔らかいので、中央線に沿って爪を入れるようにすると割りやすい。
割るとこんな感じ。見慣れた茶色い薄皮ではなく、これまた淡い色の薄皮にそっとくるまれた柔らかな実が顔を出す。お姫様みたいだ。実によって小さいのもあれば、殻いっぱいに詰まったものもあるがいずれも柔らかい。

「かぐや姫」を思い出してしまった

そして食べてみると、非常に美味しい!初めての味だ。
そうか、未熟な落花生というのはあっさりしているものなんですね。「柔らかい」より「あっさりしている」の印象の方がより強かった。故に塩味の馴染みも程良く、癖になる味と食感である。好きな人は手が止まらなくなるというのも頷ける。これは美味しい。殻と実の間に水分がたまりやすいので適度な瑞々しさもあり、食べやすい。

私が落花生及びピーナッツ系加工品があまり体に合わないのは、その脂質の多さのためなのだが(脂質の吸収・代謝が良くない体質なのだと思う。肌荒れや胃腸トラブルを起こしやすい)、「しなす」は食べてもその「あーこの後お腹やられそう」な感じが全くしない。実際、あまりに美味しいので小皿を何度もおかわりして、500gほど入っていた袋の2/3程度をこの日夫と2人で食べたが、ちっともなんともなかった。
これは良い。良いです「しなす」。

「おおまさり」は大粒種なので未熟な「しなす」でも食べでがあるサイズだったが、もしかしたら一般的な大きさの他品種だともっと小さくて食べ難いのかも知れない。とは言え一度知ったら時期にはきっと食べたくなる「しなす」、すりつぶして和え衣や氷菓の材料にしても美味しいのではないかしら。それに何より安い。また直売所で見掛けたら是非買いたい。良いものを見つけました。

みなさんもどこかで「しなす」を見掛けたらぜひ買って塩水で茹でてみてください。美味しいですよ!

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