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【海に近い建物は傷みやすい?】塩害事例から見る…長持ちポイントと火災保険扱い

海に近い地域に建つ家…
見晴らしや景観の良さだったりその地域でなければ味わえない暮らしがありますね。一方では、海からの強風、風雨、台風など…気持ちよい日とそうでない日もあるでしょう。

海岸沿いを車で走るとき、風が強かったりすると車の窓ガラスに海水しぶきや霧がつきますね。
家も同様の環境で、屋根や外壁は車のように気軽に洗車出来ませんので、外壁はどうしても傷みやすくなります。いわゆる塩害です。

そんな海岸に近く立地する外壁は、海水の影響をどのように受け、どのように経年劣化しているのでしょうか。

●雨水が切れやすいかどうか…が影響

海側に面する外壁です。過去に塗装メンテナンスしているものの、雨や風に含まれる海水の影響を受けています。

海水を含んだ風雨が外壁に当たり、水が地面までスムーズに垂れにくい部分(水が切れにくい部分)は劣化しやすいです。外壁下端(鉄骨)はその影響で腐食しボロボロです。修理が必要です。

鉄骨土台の腐食



同様に、海側に面する外壁角です。配管類が密集して凹凸している部分も、地面までスムーズに雨水か垂れにくく、鉄骨が腐食しやすいです。

鉄骨土台の腐食


次も、雨水が停滞しやすい部分。やはり…雨に混じる海水の影響で傷みが早いですね。


●外壁目地が横か縦かでも劣化は違う

雨は、必ず垂直に降るとは限りません。巻き上げや横なぐりも普通です。
外壁に直接当たった雨水は、横目地で凹凸している外壁の場合、水特有の表面張力現象で凹み周辺で流れ落ちにくくなり、それが経年サビ劣化に繋がりやすくなります。海に近い建物は雨に含まれる海水で余計に劣化が進みやすくなります。

水切れしにくく、水が停滞しやすい部分が劣化傾向
水が切れにくく傷むイメージ

雪が降る地域では、横目地の外壁で塗装メンテナンス実施後、数年で次のような塗膜凍害がおきました。横目地は、立地環境と地域で注意が必要です。

メンテナンスした塗装の凍害例


●海側に面していない外壁はどうか?

海側に面していない外壁面は、海側に面する外壁に比べてサビ劣化していません。

やはり…風が吹く方向によっても違いがあるようです。海に近いからといって建物全方角の外壁面が違いなく傷むとは限らないと理解できます。

海側面と反対の外壁面


●工夫できるポイント

雨や風に含まれる海水影響を考えれば…塩害対策は立地条件により様々変わるでしょうが、この事例を見る限りで次のポイントか挙げられると思います。

① まず、塩害に強い材料を採用する
 海側に面する外壁材は特に、雨水が流れ落ち
  やすい縦目地の外壁材を優先
③ 配管類を集合させない
④ 凹凸が複雑になる外壁形状をできるだけ控える


●火災保険で塩害はどう扱うか?

塩害による建物損害は、基本的に火災保険では補償されないと考えられます。

塩害は「自然災害」ではなく、「経年劣化」にあたるからです。火災保険では、経年劣化による損害は補償外としている保険会社が殆どのようです。

だから…海に近い場所で建物を建て長く住みたいと思うならば、
① 形状や材料選定は工夫して建築
② 屋根や外壁は適切時期にメンテナンス
③ 塩害を知る地場の建築業者さんに相談
などが向いていると思います。


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