2024年現在、夢中になっている作家

3冊目をフィリップ・K・ディックの「ユービック」にした理由は、2024年夏休みの今、ディックにどハマりしているのだが、そのきっかけになった作品だからである。今回のnoteでは、あえてユービックの内容に深く触れることはせずに、ディック作品全般について軽く触れたいと思う。まずディックの作品で初めて読んだものは、誰でも知っている「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」である。

この画像を貼ってから気づいたのだが、そういえばこれも"羊"や!!(アイコンの名前)。この作品を読んだ感想は、ほどほどに面白いなあって感じ。ディックの中では無難?な感じ。万人受けすると思うし、入門にうってつけの一冊だった。
この次に読んだのが、「ユービック」だった。この作品で、ディックの作り出す世界に夢中になった。癖がすごくて、今までにない読書経験になった。独特すぎて、好き嫌いは分かれるかも?読み終わるまで他のことが手につかなかった。ストーリーだけでいうと、今までに読んだ本で一番面白かったのではないか?と思えるほど。これは僕が、"時間"を扱った作品がとても好きだからということもあると思う。映画で言うと、「インセプション」や「バックトゥーザフューチャー」、ゲームで言うと、「ライフイズストレンジ」のような、"時間"を扱った作品がお気に入り。また、翻訳文学!って感じの文体も良かった。

3番目に読んだのが、この「トータルリコール」という短編集である。ディックの短編集は5つくらい?あったはずだが、その中では最も有名。正直、この短編集はあまり刺さらなかった。ただ、「マイノリティレポート」を除いて。ディックの良さは、やはり長編で活きるのでは?というのが、今の考え。
4冊目以降は、名前だけあげて、印象に残ったものだけ感想を書きたい。「時は乱れて」「高い城の男」「去年を待ちながら」「火星のタイムスリップ」「タイタンのゲームプレーヤー」。

ディック中期の傑作として、「火星のタイムスリップ」と「高い城の男」がよく挙げられる。「高い城の男」は本屋でよく並んでいるのだが、「火星のタイムスリップ」は、ハヤカワ文庫が重版をしないらしく、取り寄せもできないので、見つけるのにかなり苦労した。だが、偶然京都の本屋で発見することができて、その時点でもう思い入れは結構強かった。この本を探している時に、ハヤカワのディックの作品は、絶版になってしまったものがいくつかあり、入手困難であることが分かり、悲しくなった。「火星のタイムスリップ」は、かなりの衝撃を受けた。火星に住む自閉症の子供を扱った作品なのだが、各章ごとに、異なった人物の視点で物語が進み、ストーリーの流れも見事なので、一気に読んでしまった。また、印象に残る強烈な描写が多いように感じた。

この作品は、「高い城の男」と「火星のタイムスリップ」という2大傑作に挟まれて書かれた作品である。タイタンと聞くと、カートヴォネガットジュニアの「タイタンの妖女」が頭をよぎるが、タイタンというのは、SF作品によく出てくるものらしい。この作品は、読んでてずっと楽しかった。もっとも、作者本人の評価はあまり高くない(ディックは、聞かれた時によって講評が全然違うので、あまり参考にはならないらしい)。しかし、ディックお得意の、特殊能力、現実崩壊感覚、ミステリ、ラシュモア効果といったものがふんだんに使われており、退屈するところがなかった。ただ、謎が完全に解決されないまま、場面が展開しまくるので、人によって好き嫌いは分かれる作品なのは間違いない。個人的には、読み飛ばす?つまり、作品のスピードに乗って深く考えず読んで行くと言う読み方をするなら、最高の一冊になると思う。大森さんの訳は、とても読みやすく軽快なので、この読み方にも合っていた。

今読んでいるのは、この「パーマーエルドリッチの三つの聖痕」である。まずタイトルが素晴らしい。「火星のタイムスリップ」のところで述べたが、ディックの作品は、絶版となってしまったものも多く、これもそのうちの一つ。書店ではまず見つけられなかったので、ネットで、コレクターの方から購入した。この作品は、ディックの4大傑作(いろんな訳者、解説者が言ってるだけ。作者本人は言ってない)の一つとされるので、とても期待している。

先日、京都の本屋で、ハヤカワの名作選プロジェクトとというものを発見した。現在入手困難な作品を、数量限定で復刊するというものらしい。とてもありがたいプロジェクトなのだが、短編集ばっかりで、ちょっと残念。ぜひとも「パーマーエルドリッチ」を復刊して欲しい。ヴァリスは、全然手に入らなかったので、とてもありがたい。即購入した。

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