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MyNovel

友梨「お母さん、行ってきまーす。」

佳代「気をつけて行ってくるのよー。」

私の名前は吉田友梨。この春転職支援会社supportに入社した。社名自体はそのままだが、大手企業であり倍率も高く、内定をもらえた時は母と一緒に喜び、嬉しさのあまり眠る事ができなかった。大学2年のときから就活の準備をしてインターンにも足を運び、講師と何回も面接練習していたのが功を奏した。

元々私は人と話すのが得意ではない。小さい頃から人見知りの激しかった私は両親から心配されるほど人と接するのが苦手だったが、将来はキャリアアドバイザーになりたいと決めていたから、色々な人と話せるよう。アルバイトやサークル活動で準備をしてきたのだ。

私がキャリアアドバイザーを目指すようになったのは、母の影響だった。母は私を産む前はキャリアアドバイザーとして働いていた。母の所に転職相談にきたクライアントは皆、今も辞めることなく楽しく仕事をしているらしい。実際私の友達の兄弟も仕事を転々としていたが、転職を繰り返していたのが嘘のように。今は定職についているというから驚きだ。人の得手不得手を探し、その人がその人らしく働ける環境を一緒に探すだけでなく、その人が本当にやりたい事は何かを見つける母には素直に驚かされるのだが、何よりも驚くのは母が1番楽しそうに、働いていること。以前母にその仕事の楽しさの理由を聞いたことがあるが、母は教えてくれず、

佳代「知りたいのなら貴方もやってみなさい。そしたらわかるから」 と言われ教えて貰えなかった。

だからと言うわけではないが、他にやりたい事も無かった私は、母と同じ仕事をしようと決めた。

これで私も母と同じことができる! と期待に胸を膨らませたのだが、やる仕事は掃除や書類のコピー等の誰でも出来る雑用ばかり、、、、、。


私、こんな事がしたいわけではないのだけど、、、、、。

S「吉田さん。この書類。コピーお願いね!」

友梨「はい。分かりました。」

先が思いやられてしまった。

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