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【要約】『マンガ脚本概論』さそうあきら

1:アイデアを発想する

【面白いってなんだ?】

「面白さ」には「新しさ」と「共感」が含まれている

新しいアイデアとは既存の要素の組み合わせに過ぎない

ダメなアイデアからいい、大量に発想して書き出そう

発想ツールを使ってみよう!
新しいエピソードを考える時にチェックリストを使ってみよう
①    登場人物を変えてみる
②    場所を変えてみる
③    季節・天気を変えてみる
④    道具・乗り物は使えるのか
⑤    五感を働かせてみる
⑥    アクションを変えてみる
⑦    目的を変えてみる
⑧    感情はどう動くのか

2:「はじめてのおつかい」というストーリーモデル

【よい作品に必須の「推進力」は「問題提起」によって得られる】

ストーリーとは「問題」と「解決」に過ぎない

もっともシンプルなストーリー「はじめてのおつかい」の構造は、
「問題提起」→「ハードル」→「ハードル」→「ハードル」→「ハードル」→「解決」
「最初に立てられた問題は必ず解決する」=予定調和の法則
予定調和はリアルではない

リアリティを持たせるハードルには質と量が必要

3:問題が提起される瞬間とは

【問題が提起された瞬間、読者はそのストーリーの全体を予測することができる】

ストーリーの中でもっとも重要な最初の部分
・人物の紹介
・舞台の紹介
・設定の紹介
・「問題提起」
「ハードル」を充実させるためにこれらをコンパクトに行う
読者が作品世界にソフトランディングできるような入り口を考える

4:問題の大きさとストーリーの尺

【小さな問題と大きな問題】

ストーリーをどこから始めて、どこで終えるのか

組織を描くことを侮ってはいけない
登場人物の数
設定説明がどれくらい必要なのか
バトル・スポーツは長くなる

短い作品を重ねることで成長していこう

5・6:身につまされる問題とは

【見につまされる問題】

カセ

禁止「〇〇してはならない」
義務「〇〇しなければならない」

ログライン

見につまされる問題が含まれている
よいログラインには「皮肉」がある
人間性が問われる場面では、より強い「見につまされる問題提起」がされる

7:二つの起承転結

【どの形式でも言っていることは同じ】
「起承転結」は東アジアの文化特有の概念である
ハリウッドの脚本術では「三幕の形式」と規定されている
一般的にストーリーを作る人が考える起承転結には二種類ある

「起承承承承転結」=自力で障害を乗り越える「はじめてのおつかい」というモデル

「全体が四等分された起承転結」=他からの要素によって気づきを得る

物語が持つ本質的な二面性を象徴している

8:ストーリーに原型はあるのか?

【結局僕らは「型」をどのように考えたらいいのかな】
・行きて帰りし物語
・起承承承承承転結
・貴種流離譚
・ヒーローズジャーニーのステージ

僕らは作品を重ねることでしか成長できない

だから「型」に物語を委ねて作品を重ねるのも良い

作品を重ねることで自分のできること、できないことが見えてくる

「テーマ」が見えてくる
そういう「お守り」のようなものだと思っていれば良い

9:「手錠の二人」というストーリーモデル

【人間描写で考える「リアリティ」】

リアリティ=読者をストーリーに引き込む「説得力」

「手錠の二人」
=「ある条件で縛られた」「対照的なキャラクター」が一緒に過ごすうちに少しずつ互いを理解するようになるストーリーモデル

10:一語で表現されるキャラクター

キャラクターは「ストーリーのテーマ」と密接に関係している
性格→造形の順番でキャラクターをつくる

①    「一語」で表現できるキャラクター

「〇〇坊」「〇〇屋」「〇〇虫」

②    「一言で表現されるエピソード」に展開する

一語キャラクター辞典
●精神力・活動力
●器が大きい
●真面目・頑固
●平和・純粋
●世話焼き・外交的
●能天気・コドモ・未熟
●お一人様
●変わり者
●三枚目
●目立ちたがり
●人間性の歪みと欠如
●アウトロー
●金に関わる性格
●寄生する生き方
●病気・性癖
●内向的
●冷静・大人
●比喩としての職業・役割
●頭の回転
●異性に対して
●短気・粗野・せっかち
●平凡

11:キャラクターの魂を吹き込む

読者の共感を誘う「二面性」

集団の描き方(ノッポ、チビ、デブ)

キャラクターの「成長」はフィクションの醍醐味

他者からの評判

全てのキャラクターは作者の中から出てくるもの

他者の異なる価値観について勉強する

12:五感に訴える表現

【この作品世界は本当にあるんです】

プロとアマチュアの境界線
プロの作品にはそれを証明する「アリバイ」がある
色・聴覚・触覚・味覚・嗅覚をどうモノクロのマンガの中で表現するか

エピソードで音を表現する

13:見てきたような嘘をつけ

【具体的な描写で嘘をつけ】

具体的に嘘をつくことの重要性

「取材」によって得られる情報の「新しさ」が「その作品世界は実在するとしか思えない」証明となる

ゲーム「見てきたような嘘をつけ!!」
相手の知らない世界(部活やバイト)をリアルに表現する情報をそれだけ具体的にエピソードを入れて嘘をつくのか

作家は経験が最大の武器

誠意を持ってインタビューしろ
それがプロとアマを分ける実在証明になる

14:「本当らしさ」とは何か

【フィクションを作る人間は、まずものの見方を変えることを覚えなければならない】
価値観の違いをどう表現するか
何を書くのかではない。いかに書くかだ。

テーマを表現するために創作するのではない。混沌とした自分の世界観に何らかの形を与えるために表現するのだ。

リアル=「作品が提示する新しいコンテクストが起こす、表現者と鑑賞者の間の新しいコンテクストの共有・生成のこと」
「演劇とはリアルに向かっての無限の反復なのだ」
エピソードを描くコンテクストも何通りもある。

読者が作品世界を眺める方法が異なると、読者の感じ方も変わる。

世界の見え方に対する思想の表現にもなる
エクリチュールでリアリティは変わる

15:テーマってなんだろう?

・「物語の法則」ボグラー・マッケナ
「テーマ」
=キャラクター・エピソード全ての場面において、その設計に一貫性をあたえてくれるもの
作品の早い段階ではっきりテーマを示す。テーマは残りの物語全体に反響しつづける。
・「シナリオの基礎技術」新井一
テーマから作品を作るべきである。
テーマを芸術化して、感動させなければならない。
・「きむら式 童話のつくり方」木村裕一
テーマは結果論
作品=いきいきとした「本当にあるかのように描いた世界」
作品は生き物。よって、ひとつのテーマでくくることはできない。
テーマで肝心なことは、1番言いたいことだけを抜いて周りを作り込むことで、読者の心がその肝心な部分を感じること
・「演劇入門」平田オリザ
テーマを先に考えてはならない。
テーマを考えてから書くのではなく、何かを描写したという表現の欲求が描かせるのではないか。
テーマを見つけるために書き始めるのだ。
・「書くことについて」スティーブン・キング

○「ストーリーに始まってテーマに終わる」

✕「テーマに始まってストーリーに行き着く」
第一稿でストーリーを書いて、第二稿でテーマを練る。
・さそうあきら

哲学的二種類の根本的なテーマに繋がるものが「テーマ」。

人間「外」の問題:宇宙って?世界って?
人間「内」の問題:人間って?私って?
「戦争反対」≠テーマ
「人間はどうして戦争をするのか」=テーマ

フィクションの使命=「世界とは?人間とは?」という根本的テーマに、新しいものの見方を提供すること

終章【引き出し】

好きなものを100個書いてみる
やりたいことを100個書いてみる
その1つ1つについて、掘り起こしをする

経験に勝る引き出しはない

「よい芸術はそれを体験した人のものの見方を変えるもの」

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