かくれんぼ
小学生も低学年から高学年へと進級すると、身体は成長するものだ。
言葉の数も増える。
知恵もつけば、行動範囲も広がるものだ。
そんなボク達も小学校低学年までは、『かくれんぼ』をするにしても学校や公園の中で楽しんでいたものだった。
『もういいかい?』
『まぁーだだよ。』
隠れた連中を見つけ次第に鬼が変わったものである。
だが、小学四年生にもなると。
街中に隠れたり、ずっと見つからず、その日が終わることになったりと、収集がつかないこともある。
『あいつどこまでいってん?』
『もう、ほったらかして家に帰ろう。』
鬼になると、いつまでも鬼のまま。
隠れたら放置状態。
これでは面白くもなんともない。
そんな成長過程である小学五年のとき、ショッピングモールで、かくれんぼをすることになった。
『この建物から出たらあかんで!』とルールが説明されると鬼を残して、一斉にみんなが隠れた。
トイレに隠れる同級生。
2階婦人婦売り場に身を隠す同級生。
各店舗の中に消えた同級生。
ぜったい見つけっこのない場所へ身を隠していたのだ。
そんなときだった。
『ピンポンパンポーン。迷子のお知らせです。◯◯小学校5年4組の◯◯君、お友達がサービスカウンターにてお待ちです。ピンポンパンポン』
こうして鬼は1階サービスカウンターから隠れた全員をまったく探さず見つけ出した。
『うーん。なんて知恵者なのだろう。そして学校とクラスと名前まで放送させるあいつは末恐ろしいやつ!』
サービスカウンターを使うことは結局一度きりの荒技だった。
翌日学校で先生から、みんな呼び出された。
昨日のサービスカウンターの件であることは間違いない。
ショッピングセンターの警備員から大目玉を食らっていたからだ。
全国のよい子のみなさんはマネをしないようにしましょう。
よい子のお父さん、お母さん。
子どもの頃こんな遊びをしませんでしたかぁ?
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